宝永2年5月5日。昼頃、巾下米屋平七のところへ酒手代1人がやって来たので酒を出してもてなす。しばらくすると巾下の医者青木伯元がやって来て手代と仲良くなり、一緒に酒を飲む。伯元は盃を手代に渡すが、手代はこれを断るとはなはだ無理強いをする。また1杯飲んで盃を渡すが、手代は飲まなかった。伯元が言うにはなぜお手前は断るのだと。手代が言うには、初めて会ったのにお手前とはどういうことだと。伯元が言うにはお手前という字を書いてみろ、悪いことかと。その間に、亭主は酒手代のもてなしを邪魔されたのを不快に思い、伯元に向かってお手前はいつも酒に酔ってどうしようもない奴だと口論となる。そのうち酒手代の家は近所だったの…