宝永5年2月12日。文左衛門は役料手形を売り払う。1両で7斗6升8合、6両10匁ほど。和泉屋十三郎の芝居は5日で600貫の入り。おおいに人が集まる。尾崎重治郎に長く使える若い若党がこの日切米3分を借りる。駿河町の者に強く勧められて博奕をし、3分全てを失い、その上5貫ばかり貸して催促すること急であった。しかし金を返す術はなかった。このため重治郎に届けると言って夜に若党を引き連れてやって来た。相応寺の東、出来町で若党は酒を買い求めて飲み、酔ったふりをして雪駄を脱いで腰に挟んだ。男はが分を切るつもりかと𠮟りつけると、若党はそうではなくてとても酔っぱらってしまったと言ってよろよろした。男は何ともなかっ…