正徳3年5月15日。稲荷は水茶屋(境内などにある茶屋)を許可される。茶屋株は社の南隣の蠏江清次郎と門前町の町代井桁屋市左衛門へ申し渡しがこの日ある。蠏江清次郎は以前は以春といい、聖落ちの子で双子であった。同じ時に生まれた弟は真言の僧であった。市左衛門は人をだますような悪人であった。申し渡しには、18、9過ぎの見た目の良い者で衣服は汚くないようにと。何やら変な申し渡しであった。市左衛門には寺社奉行から、清次郎には御代官蛯江角右衛門から申し渡しがあった。角右衛門から直接聞いた話では、前々は7軒とのことだった、望む者が多くあれば次第に増やすと。大須の開帳は50日を迎え何の障りもなく、今月12日に午の…