J・M・クッツェー/J.M.クッツェー(J.M.Coetzee)。作家。
1940年南アフリカ共和国生まれ。
主な作品に『石の女』(ISBN:4883190358)や『恥辱』(ISBN:4152083158)などがある。 1999年『恥辱』で自身二度目のブッカー賞受賞 (一度目は83年の『マイケル・K』) 2003年ノーベル文学賞受賞。 名前の読み方は「クツィア」が正しいようである。斎藤兆史・野崎歓『英語のたくらみ、フランス語のたわむれ』41ページ参照のこと。
2013年5月号掲載 毎日新聞郡山通信部長/藤原章生(当時) 小学校6年の秋だった。今はもうない、ねずみ色の立派な洋館、日比谷映画で『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』(1973年)を見た。当時、親に放任され、ませた子どもだった私は、クラス中から長期にわたり無視、今でいう心理的ないじめにあっていたのも手伝い、日曜になると3本立ての映画を見に銀座や新宿、渋谷をひとりほっつき歩いた。 隅から隅まで読んでいた月刊誌『ロードショー』や『スクリーン』で「アメリカで撮りたての西部劇」が来るのを知り、見たくてたまらなくなったのだろう。小遣いをかき集め、ロードショーで封切られたばかりの作品を見に行った。 講堂…
2020年7月号掲載 毎日新聞夕刊報道グループ記者(当時)/藤原章生 私の中のもやもやが少し晴れてきた。最近、アフリカのことをよく考えるからだ。 4月20日、ルワンダ人のモーリスから連絡があった。彼は妻と10代の娘2人と妻の実家があるベルギーの街に暮らしているが、このときはルワンダから電話してきた。 母親に会うため、ひとりで首都キガリに帰ったところ、新型コロナウイルスのせいで国境閉鎖となり、ベルギーに戻れなくなったという。 今はネット回線があれば世界中どこへでも無料で電話ができる。彼は暇だったのか、私に電話してきて、「俺たちはもういい年だよな。このルワンダで貧しい子供に教育を受けさせる活動をし…
【あ】アーモンドの樹(ウォルター・デ・ラ・メア)アイオワ野球連盟(W・P・キンセラ)愛しているといってくれ(マージョリー・ケロッグ)愛の果ての物語(ルイザ・メイ・オルコット)青い花(レーモン・クノー)赤い高粱(莫言)赤毛のサウスポー(ポール・R・ロスワイラー)悪魔なんかこわくない(マンリー・ウェイド・ウェルマン)悪魔に食われろ青尾蠅(ジョン・フランクリン・バーディン)悪魔の収穫祭(トマス・トライオン)悪魔のベッド(ジャン・レイ)悪魔はぼくのペット(ゼナ・ヘンダースン)悪夢の化身アシスタント(バーナード・マラマッド)明日に別れの接吻を(ホレス・マッコイ)熱い太陽、深海魚(ミシェル・ジュリ)あっぱ…
今日の夜は愛すべき大学時代の友人たちとの飲み会なので多分更新できないので今のうちに……。まあ、ほぼ昨日の話ですが。 【労働&雑感】 天皇陛下に心の中で「ごべぇぇぇぇん!!!!」って言いながら諸々に白旗を上げました。まあ、妙な意地を張ってもしょうがない。これでもう出世も職場での立場もなくなるのだろうけど、別にどうでもいいわな。逆にこれで何ら手当がなされなかった時のことを考えないといけないわけですが。何はともあれ、ここが人生の踏ん張り時です。 以前俺がどこかのエントリで年収600万円あれば万々歳の暮らしができると豪語した記憶があるのですが、下方修正して年収500万で生きていくことを目指したいと思い…
Blueskyで自作(流用)した海外文学B’フィードのリストです。自分の好みに全振りしており、いわゆるSF作家、ロシア文学、シェイクスピア、クリスティ、ドイル、ゲーテ、カフカなど文学以外の複数ジャンルでの言及が多いものを含んでいません。ALTテキストも検索対象。随時更新 カタカナフルネームでそのままソートしたので見づらいかも。 E・M・フォースターJ・G・バラードJ・M・クッツェーW・G・ゼーバルトアーシュラ・K・ル=グウィンアドルフォ・ビオイ=カサーレスアリ・スミスアルベルト・マングェルアレグザンダー・チーアレクサンダル・ヘモンアレホ・カルペンティエルアン・クリーヴスアントニオ・タブッキアン…
修羅の国、南アフリカで生きるということ 恥辱 (ハヤカワepi文庫) 作者:J.M. クッツェー 早川書房 Amazon 歴史的にも絶え間ない混乱と闘争の南アフリカ。アパルトヘイトが廃止されマンデラが黒人初の大統領となったのはつい最近のような気がしていたが、1994年のことなのですでに30年もたっているのか・・・(自分の成人後に起こったことはなぜか最近のことのように錯覚してしまう)。 南アフリカのノーベル文学賞作家クッツェーが1999年に発表した「恥辱」は、白人優位社会が崩壊していく南アフリカで生きて行く白人父娘を通して、修羅の国となりつつある南アフリカを描き、どこにも逃げ場のない閉塞感が濃厚…
Bartleby y compañía(2000)Enrique Vila-Matas 僕は以前から、作品を生み出さなくなった芸術家に興味がありました。 形として残さなくなったのか、創造すること自体をやめてしまったのか、はたまた、別の形を選択したのか。 人によって事情は異なるでしょうが、その理由の一端でも知れたらと考えたのです。 そうした疑問に向き合うために、古今東西の様々な「作品を生み出さなくなった」アーティストたち(主に作家)をまとめてくれたのが、エンリーケ・ビラ=マタスの『バートルビーと仲間たち』(写真)です。 僕にとっては非常に重要なテーマなので、もっと早く感想を書いてもよかったのです…
2023年の読書メーター読んだ本の数:130読んだページ数:33957ナイス数:749人が人を罰するということ ――自由と責任の哲学入門 (ちくま新書 1768)の感想議論の展開がダイナミックで目からウロコ。素晴らしい。読了日:12月26日 著者:山口 尚別れの色彩 (新潮クレスト・ブックス)の感想独特の重みがあって読み応えがある。読了日:12月26日 著者:ベルンハルト・シュリンク職場のメンタルヘルス・マネジメント ――産業医が教える考え方と実践 (ちくま新書 1714)の感想知ってることばかりだった。読了日:12月20日 著者:川村 孝日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか (光文社新書 12…
I found a book that I want to read. タタール人の砂漠 (岩波文庫) 文庫2013/4/17 ブッツァーティ (著)脇 功 (翻訳) 本と作家のリスト 2003年にノーベル文学賞を受賞した南アフリカの作家J・M・クッツェーは、『タタール人の砂漠』のプロットに触発され、1980年に出版された小説『野蛮人を待ちながら』を書いた。 夷狄を待ちながら (集英社文庫) 文庫 – 2003/12/16 J・M・クッツェー (著), 土岐 恒二 (翻訳) ディーノ・ブッツァーティの幼いころに過ごした故郷ベッルーノという町は、すぐ北に奇峰やのこぎり状の尾根が連なった特異な姿を…
本日はモンブランの日ということになります。もちろん我が家だけがそのよう に言っているのでありまして、どのカレンダーを見ても、そのようには記してお りませんです。 亡父が健在であったときから父の誕生日には、モンブランを食するということを やっておりまして、亡くなってもう17年になりますが、モンブランは続いているの です。 本日にいただいたのは、次のもの。 本日は シャトレーゼの和栗のモンブラン 近所のスーパーに併設されているシャトレーゼで和栗のモンブランというのを 見つけて、シャトレーゼかとちょっと馬鹿にしながらも、値段がそこそこ高いの で、これは食べてみようかと思って試したのですが、すっかり気…
注:二〇一七年十月十二日に書いた記事に、新しい長編を随時追加しています。そのたびに日付を更新します。 僕は昔から、他人とかかわり合うのが苦手です。 実生活では、生きてゆくためにやむを得ずある程度のつき合いをしていますが、インターネット内では一切の交わりをやめてしまいました(昔は少しやっていた)。 ブログ、ツイッター、インスタグラムで様々なボタンを押してくださる方がいらっしゃいますが、こちらは何もお返しできません。アクセス数やフォロワー数を増やすことや、読書を通じてコミュニケーションを取ることが目的ではなく、本を探している人の役に立ちたいと考えているだけですので、ご理解いただけると幸いです。 そ…
読んだ本 マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』ハヤカワ文庫 (2023) J・M・クッツェー『鉄の時代』河出文庫 (2020) シュテファン・ミュラー=ドーム『アドルノ伝』作品社 (2007) 森下伸也/君塚大学/宮本孝二『パラドックスの社会学』新曜社 (2015) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 マイケル・サンデル氏はまだ持論を展開していない。 今日まで読んだ内容は全て歴史の整理であった…
読んだ本 マーク・フィッシャー『わが人生の幽霊たちーーうつ病、憑在論、失われた未来』ele-king books (2019) J・M・クッツェー『鉄の時代』河出文庫 (2020) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 デジタルによって「失われるということが失われる」ということをマーク・フィッシャーが書いていた。そこが非常に印象的であった。もちろん良い面もあるだろう。無名の人間がコツコツとブログにいそしみ、亡くなったあとに書籍化された例もある。プラトンは魂の不死を主張したが、文字としての魂はたしかに文明が存在する限りほぼ永久的に生き残る。 悪い面…
読んだ本 くぼたのぞみ『J・M・クッツェーと真実』白水社 (2021) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『マイケル・K』を積読していたときに、ふと手にとって読んでからはクッツェーに魅了された。 読みやすく、時おり人間の闇や深いトピックを扱うことが多いので自分には合う作家だと感じている。 本書を読んで『マイケル・K』や『恥辱』の、翻訳者目線での読み方、加えて世界的な評価や読者層の受け止められ方などが語られた。 「そうも読めるのか」 「たしかにそう考えることもできる」 とうんうんしながら読んだ。 たしかに『恥辱』はフェミニストからすれば批判の対象…
J・M・クッツェー『恥辱』ハヤカワ文庫 (2007) つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 自分は読み終えてひとつ分かったことがあった。 哲学者と芸術家は相容れない。両立するものではないということを。 しかしながら自分は前者の理性を、後者の情熱を愛している。これはどういうことなのか。 プラトンが詩人を毛嫌いしたのは国家の秩序を乱すからであった。 そして芸術家は秩序を破壊するベクトルを持っている。 理性の力によってのみ幸福を得ることをプラトンは構想し、詩人は、つまりこの主人…
読んだ本 J・M・クッツェー『恥辱』ハヤカワ文庫 (2007) シュテファン・ミュラー=ドーム『アドルノ伝』作品社 (2007) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『人生と運命』を勢いで200ページ読んだが、読みにくさがネックとなり停止してしまった。とりあえずクッツェーに移行したが、クッツェーは読みやすい。小説は美的要素が重要であるかもしれないが、読みやすさも必要だと染々思う。 『恥辱』は52歳の文系学部教授が離婚後の孤独や欲望に抗えず、様々な女子学生に手を出して転落…