①ファースト・カウ(2019) 随分と待たされて期待値MAXになっていたけれど、これはその期待を超える傑作でした。ある意味ジョン・ヒューストン的ともいえる西部劇としてはよくある一攫千金の題材が、ケリー・ライカートの手にかかるとマチズモとは真逆の印象で今まで誰にも語られていなかった未知の映画として21世紀に現出してしまう驚き。ショット/その連鎖の編集、先行する音響/アンビエントな音楽、スタンダード画面内に現れるフレーム内フレーム/フィクスとパンで被写体を的確に捉える撮影/映画館のみでしか体験できない夜の闇の黒さを再現する色彩、いずれもハイレベル且つライカートの比類無き個性が際立つ素晴らしい作品で…