(※これは現代語と雅語のハイブリッドで書かれています。*1) 都の片隅、名もなき路地裏にて、誰が呼ぶともなく「猫都(ねこみやこ)」と囁かるる一画あり。灯の薄きその界隈には、常より少しだけ時間がゆるやかに流れ、風も、足音も、音なきもののように響く。 その奥深くに、ひとつの庵あり。名を「夜京(よるきょう)」といふ女、そこに独り住みけり。かつては、夜の都を賑わした女房なれど、今はすでにその喧騒を離れ、ただ猫たちと時を過ごす日々なり。 夜京の庵には、毛並みつややかなる白きペルシャ、漆黒の影のやうなる猫、金の斑を持つ者、ふてぶてしくも俊敏な泥棒猫まで、さまざまなる猫どもが自由に出入りす。人を恐れもせず、…