高橋健太郎 反復性が強いリズムの中から“音を抜く”ことが与えた衝撃 ジャマイカにおけるダブの始まりはダブプレート製作時の事故に過ぎなかったのかもしれない。そこにキング・タビーが関わっていたかどうかも定かではない。だが、ボーカル・トラックがミュートされたダブプレートが人々を熱狂させるという事件が起こったときに、サウンド・システム・オーナーであり、レコーディング・エンジニアでもあったキング・タビーは、その先に開けた未来の音楽の可能性をつかみ取ったのだろう。 ダブ・ミックスにはさまざまな技法があるが、キング・タビーのそれの根幹をなすのはトラック・ミュートだった。リー・ペリーのダブがエフェクトや効果音…