僕は普段あまりミステリーを読まない。村上春樹や村上龍などの思想的な小説を多く読む。おそらく、ミステリーは大体予想ができて、あまり面白くないという固定概念があったからだと思う。でも、今回の「すべてがFになる」を読んで、その固定概念がひっくり返された。最後まで予想できない展開が続いたからだ。密閉空間で起きた殺人事件に天才少女とその教授が徐々に問題を解決していく様子が写実的に描かれていて、その情景がありありと浮かんできた。 今回は、この物語で印象に残ったセリフを一つだけ紹介したいと思う。 それは、真賀田博士の言っていた「人間は死が怖いのではない。死にいたるまでの生が怖いのだ」という言葉だ。多くの人は…