サン、マユ、タマキ、ヒナ、マリ、ユリ、カエデ、シホ。この漫画に出てくる少女たちには、カタカナの名前がひとつずつ振り分けられている。学徒隊、女子学生、犠牲になった少女たち——戦争を語るときの言葉は、たいていこの人数をひとつの集合に押し込めてしまう。『cocoon』は、そこを最初から手放している。 舞台は「シマ」と呼ばれる島だ。出版社が公表しているあらすじにも、島の名前は出てこない。サンはシマの女学校に通う生徒で、そばには親友のマユがいる。やがて彼女たちは学徒隊として戦地へ送り出されていく。 モチーフになっているのは、沖縄戦のひめゆり学徒隊。ただし実在した誰かを漫画化した伝記ではない。第14回文化…