人民思想の原点とその展開

まえがき
目次
人民主権に関する基礎概念と言葉使いについて
第一部 スアレス以前の契約思想および人民主権
1.イスレエル民族と神との契約
2.古代ギリシアにおける(社会)契約説
1)ソクラテスプラトンによる契約説
2)エピクロスの契約説
3)アリストテレスの社会に関する契約説の認否の問題
3.古代ローマ時代における契約説
1)ルクレティウス
2)キケロ
4.古代ローマ法から中世までの(社会)契約と人民主権の思想
5.イシドールスの『語源』にみられる潜在的人民主権
1)『語源』の権威と影響
2)当時の法思想にみられる潜在的人民主権
6.トマス・アクィナスにおける立法権の主体および霊的統治と世俗的統治権との関係
7.ヴィクトリアの人民主権
1)ヴィクトリアの人民主権論の登場
2)ヴィクトリアの『国家権力について』
3)『インド人について』にみられる人民主権の思想
8.1528年から1612年の間に公刊された正義および法・権利についてのスペイン学者の大作
9.フェルナンド・ヴァスケスの個人主義人民主権
1)フェルナンド・ヴァルスケスの法理論の特徴
2)ヴァスケスの個人主義人民主権
10.バルトロメ・デ・ラス・カサスの人民主権論(1571年)
11.フライ・ルイス・デ・レオンの人民主権論(1571年)
12.べドロ・デ・アラゴン人民主権論(1590年)
第二部 スアレス人民主権論と契約思想
1.スアレスの略歴
2.スアレス人民主権論および契約説の思想
3.スアレスの『法律および立法者たる神についての叙説』にみられる法学体系
1)この著作の内容と趣旨
2)法および法学の体系
 第1編:法の本質についての一般理論、その原因と結果
 第2編:永久法、自然法および万民法について
 第3編:人的実定法(lex positiva humana)そのもの自体、すなわち人間の単なる本性(pura hominis natura)にみられるものとしてのいわゆる市民法(lex civilis)について
 第4編:教会実定法について
 第5編:人定法の諸種類、特に刑法および「嫌悪される法律」(leges odiosae)について
 第6編:人定法の解釈、廃止および改正について
 第7編:不文法、すなわちいわゆる慣習法について
 第8編:優遇的な人定法ないし特権について
 第9編:旧約時代の実定神法について
4.人民主権と国家権力:『信仰と擁護』Defensio Fidei
第3編第1章〜第9章
1)『信仰の擁護』の概要
2)第3編 世俗的国王に対する教皇の卓越性および権能について
第1章 国家的首位権制は正当であり、かつ神に由来するか
第2章 国家的首位権制は直接神に由来するか、または神の設定したものであるか
第3章 前章の教えに反対するイギリス国王の根拠と異論に対して弁明する
第4章 キリスト教徒たちの間において、彼らが服従するよう義務づけられている正当な国家権力は存在するか
第5章 キリスト教徒である国王たちは、国家的ないし世俗的な事柄において最高権力を有するか、またいかなる法ないし権利に基づいて有するか
第6章 キリストの教会には、世俗的統治権とは異なる外的な、かつ準政治的な霊的裁治権が存在するか
第7章 霊的ないし教会に関わる事柄において、教会を統治する権力は世俗的国王または君主には存在しないということは、権威〔のある発言〕に基づいて証明される
第8章 同じ真理〔命題〕は理性によって確証される
第9章 上述の諸章で証明された真理〔命題〕に対する若干の異論は解決される
第三部 スアレス以降の人民主権および社会契約の思想
1.スアレス人民主権論の思想的および政治的影響
2.スアレスホッブズ
1)現在におけるホッブズ研究の盛況
2)ホッブズの法実証主義的な見解
3)ホッブズスアレス人民主権
3.スアレスジョン・ロック
1)個人から発する政治権力と共同体から発する政治権力
2)統治権と所有権との関係
3)ロックの政治思想の背景
4.スアレスとルソー
1)ルソーのいわゆる「社会契約」と人民主権との関係
2)ルソーとスアレスの思想にみられる相違点と共通点
結びにかえて―国家権力と人間の自由の間におかれている人民主権