バルビ・ベントン(Barbi Benton)


バルビ・ベントンは米「Playboy」誌を創設した実業家ヒュー・ヘフナーの最初のGFとして知られたモデルで、同誌のグラビアを何度も飾っています(プレイメイトとは違うみたい)。75年にヘフナーのPlayboyレーベルより「Berbi Doll」でデビュー。意外にもカントリーっぽい内容らしく、カントリー・チャートで#17とある程度の成功を収めました。北欧風の芸名でカントリーというのは結構落差があります。「Barbi Benton」('75)に続く76年の3枚目がこの「Something New」で、日本ではPlayboyの発売権があったトリオより(PB1009)リリースされています。注目すべき事はニール・セダカのカムバック・ヒットの"Laughter In The Rain"のprodを手掛けて注目されたロバート・アペルがprod。その人脈で当時のウエスト・コーストの連中が参加しています。まずタイトル曲"Something New"を書いたアンドリュー・ゴールド(kb,g,vo)。当時リンダ・ロンシュタット・バンドを卒業して本格的にソロ活動に入った時期です。そのゴールドのブリンドル時代の盟友(ウェンディ・ウォルドマンは参加こそしてませんが"Thinking Of You"を提供)のケニー・エドワーズ(g)、同じリンダ・バンドつながりでリー・スクラー(b)、ラス・カンケル(ds)、クレイグ・ダーギー(ds)、ダニー・コーチマー(g)のセクションの4人。エルトン・ジョン・バンドのリズム隊で当時はマイケル・ディナー・バンドだったディー・マレイ(b)とネイジェル・オルソン(ds)、フィートのビル・ペイン(kb)、スニーキー・ピート(steel)、ボビー・キーズ(sax)、ジム・ホーン(sax)etc

もちろん「名盤」でもありませんですし、バルビ・ベントンの名前も神通力を失って久しいのですが、忘却の彼方に押しやるにはちと惜しいかな、と。"Something New"、"San Diego Serenade"(トム・ウエイツ曲)での伸びのあるスニーキー・ピートのsteelはなかなか沁みます。クリスタルズの"He's A Rebel"のカヴァーもありますが、これですらジーン・ピットニーの曲云々としか書かれてない日本盤LPのライナーはいけません。
ちなみにこれぞノーマン・シーフ!といったジャケットはカーリー・サイモンの「Playing Possum」と並んでシーフのベスト作品ではないでしょうか?
Playing Possum
熱心なファンサイトもあります。
http://www4.big.or.jp/~yoxnox/rev_img/baclog6.html
ここの記事で、シングル"Ain't That Just The Way"('77?)がロジャー・グローヴァーのprodという情報がありました。

ジャスト・フォー・ラヴ

WC010★★JUST FOR LOVE−Quicksilver Messenger Service ('70)

ジャスト・フォー・ラブ(紙ジャケット・生産数限定)

ジャスト・フォー・ラブ(紙ジャケット・生産数限定)

他のシスコ勢はどうだったのかと調べてみました。

スティーヴ・ミラー・バンドは「Number Five」というナッシュヴィル録音作を。
・ジェファーソンからはヨーマ・コウコネンとジャック・キャサディの二人がホット・トゥナを結成してラグタイムっぽいフォークブルーズなデビュー作(ライヴ)「Hot Tuna」をリリース。また中心人物のポール・カントナーは「造反の美学」という邦題がついた「Blows Against The Empire」と言うソロをリリース。シスコロックの要人が勢ぞろいした1枚で、ジェファーソン・スターシップの名前が初めて使われています。
ウッドストックで注目されCBSからデビューしたサンタナは、その人気を決定付けた「Santana Abraxas」をリリース。フリートウッド・マックのカヴァー”Black Magic Woman”がヒットしています。
・モンタレー・ポップ・フェスで注目されたジャニス・ジョップリンは元々テキサスの人ですが、シスコに移ってきて人気が出た人。フル・ティルト・ブギー・バンドをバックにした「Pearl」('71)完成を待たずにドラッグで12月に命を落としています。
・69年のデビュー作が強烈な印象だった、イッツ・ア・ビューティフル・デイは、2枚目「Marrying Maiden」をリリース。サイケとか中近東とか不思議なムードが若干薄れ、カントリー=ブルーグラス寄りになっています。

そしてブルーズとサイケデリックが有機的に融合したクィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス(QMS)は、オリジナル・メンバーで詩人のディノ・ヴァレンティ(”Get Together”の作者)が復帰した4枚目「Just For Love」で一気に勝負をかけて来たようにも見えます。ゲイリー・ダンカン(g,vo)、ジョン・シポリナ(g,vo)、デイヴィッド・フライバーグ(b,vo)ら6人組。ジェフ・ベック・グループから加わった英国人kb、ニッキー・ホプキンスもフィーチャー。GSっぽい感じもある”Fresh Air”はやはり名演です。

原盤 Capitol:SKAO498 70年8月リリース。

ミッシェル・フィリップス

13006■ヴィクティム・オブ・ロマンス:ミッシェル・フィリップス(ユニバーサル:UICY-75306)

ヴィクティム・オブ・ロマンス(紙ジャケット仕様)

ヴィクティム・オブ・ロマンス(紙ジャケット仕様)

1. 恋の仕打ち
2. 音楽をはじめて!
3. 涙のロマンス
4. 恋のうわさ
5. ゼア・シー・ゴーズ
6. 愛の報い
7. ベイビー・アズ・ユー・ターン・アウェイ
8. ファンタジー・レイディ
9. ジャスト・ワン・ルック
10. 私の彼は?
11. 涙のロマンス (プロモ・モノ・シングル・ヴァージョン) (MONO)
12. ノー・ラヴ・トゥデイ (プロモ・モノ・シングル・ヴァージョン) (MONO)
13. ノー・ラヴ・トゥデイ
14. アロハ・ルーイ (シングル)
15. ゼア・シー・ゴーズ (オリジナル・ヴァージョン/シングル)
16. ザ・シュープシュープ・ソング (未発表曲)
17. 恋のうわさ (オリジナル・ヴァージョン/未発表ヴァージョン)
18. グェリータ (未発表曲)
19. エイシズ・ウィズ・ユー (未発表曲)
20. シャンペーン・アンド・ワイン (未発表曲)

77年に出た「Victim Of Romance」の2度目のCD化で、07年の「〜And Rarelities」(Hip-O)の紙ジャケ化。ジャック・ニッチェがprodした本編(1~10)は、60'sのガールグループサウンドを70'sに再現した3をはじめユルいスティールが心地いい1、sax(スティーヴ・ダグラス)のリフが繊細な8が出色の出来。
11以下がボーナスで、映画「走れ走れ救急車」の主題歌13(ロジャー・ニコルス作)がうれしい。

ウェイン・ベリー(Wayne Berry)

ホーム・アット・ラスト

ホーム・アット・ラスト

元ティンバーのメンバーで、Aristaから出た74年の初ソロはカントリー・ロック系のsswが都会的なポップ・ロックに挑戦し始めたあの時代らしい快作。トム・ラッシュの「Ladies Love Outlaws」で2曲取り上げられていた事が熱心なファンに注目されたきっかけ。LA、マッスル・ショールズ、ナッシュヴィルでレコ-ディングされた本作は、豪華なバックも含め良く練られている印象。prodは、ノーバート・プットナム。
この曲は未収録のA&M時代のシングル。

カレン・ベス(Karen Beth)

ニュー・ムーン・ライジング(紙ジャケット仕様)

ニュー・ムーン・ライジング(紙ジャケット仕様)

60'sにはColumbiaやDeccaからレコードを出していたカレン・ベスの一番有名なのは、ジョン・サイモンがprodしたウッドストックジョニ・ミッチェル然とした「New Moon Rising」('75,Buddah)でしょう。少なくとも日本のファンには人気あります。ジョン・ホール(g)、カル・デイヴィッド(g)、クリス・パーカー(ds)、ベン・キース(steel)らが参加。

ディッキー・ベッツ(Dickey Bettes)

Dickey Betts & Great Southern

Dickey Betts & Great Southern

オールマン・ブラザーズ・バンドのgtr。デュアン・オールマン亡きあとはバンドを支えたが、しばしばグレッグ・オールマンと対立する事もあった。最初のソロ「Highway Call」('75)はかなりのカントリー寄り。グレート・サザーンを率いての2枚はAristaからリリース。メルティング・ポットのダン・トーラー(g)、ケニー・ティベッツ(b)、ジェリー・トンプソン(ds)を含む6人編成。
流れるようなgは耳障りよく引っかかりも少ない。「Dickey Bettes & The Great Southern」('77)から"California Blues"が「ヤング・ジョッキー」でOA。DJは代役の今泉洋でした。