ゲッサン201503

ゲッサン 2015年 03 月号 [雑誌]

ゲッサン 2015年 03 月号 [雑誌]

小学館漫画賞を受賞した『アオイホノオ』が表紙。
表紙はドラマ化の時以来2回目。意外と少ないのね...


市原編集長は「ホノオが受賞する訳がない!!」と信じていた事になってますが、
文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞に加え、ドラマがギャラクシー賞を受賞したので、
常識的に考えて小学館漫画賞の受賞は確実でしょう。
仮に受賞を逃した場合、小学館はこれら2つの賞に権威として対抗してると見做されかねませんし、
評価されている漫画を蔑ろにしている、といった誤ったメッセージを送ることにもなりかねません。


信長協奏曲』と違って一般向け部門での受賞だったのは、
元々週刊ヤングサンデーで連載がスタートしたからでしょう。


アオイホノオ
アオイホノオゲッサン2015年3月号 p17 島本和彦

私もきっちゃんと同様、この後のシーンを見て思わず固まってしまいました。
というか、バックギャモンを3人でやるという発想に思わず絶句w

BACK GAMMON(バッグギャモン)

BACK GAMMON(バッグギャモン)

ホント、どういうルールでやったのか謎だ...


アオイホノオゲッサン2015年3月号 p17 島本和彦

そーいや担当が横山さんなのは嫌だからと本名からペンネームに変えて応募してたりしたなぁw

いきなりのことなので
現実に何が起こったのか
まだ頭の中で
整理はできていないし
悲しいのか嬉しいのか
わけがわからなくなったが…

この辺りは共感できます。


◎ ひとりぼっちの地球侵略

マチ★アソビの時に『あやしや』の編集者☆野さんが「来月からは日常回に戻ります」と、
来月からどうなるかを聞いていないのにも関わらず話してくれてたんですが、
ナタリーの記事にもあったように、やはり日常回の方が反応がいいんでしょうなぁ。
ゲッサン201312

以前『あやしや』の記事でこう書きつつ、その号の『ぼっち侵略』の記事でも書きましたが、
『ぼっち侵略』も日常回の方が反応は良さそうで。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年3月号 p56 小川麻衣子

すっかり凪が焚付役にw
こっちで龍介を煽っておいて、
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年3月号 p49 小川麻衣子

アイラに対しても煽る煽るw
やっぱ読者が見たいと思わせるように動いてくれるキャラがいると、展開がスムーズになりますなぁ。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年3月号 p54 小川麻衣子

そして岬一も誤解を伴いつつ、結果的には龍介を煽る形に。
中学生くらいまでなら割と純粋に「兄を慕う目」ってのがあるので
(私は見られる立場だったのであくまで体感ですが)
ちゃんとしなきゃーなーってのがかなりプレッシャーになってましたねw
結局ちゃんと出来なかった訳ですけども。


ふだつきのキョーコちゃん
やっぱねぇ、構成って大切だと思うですよ。
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p81 山本崇一朗

アバン (導入) でこのセリフを出しておいて、
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p82-3 山本崇一朗


キョーコがケンジにこう言わせた後、
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p83 山本崇一朗

リン姉に阻止される。
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p96 山本崇一朗

なんだかんだ言ってハンバーグ作るキョーコを描いた後、罠の話を挟みつつ、
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p104 山本崇一朗

オチに繋げる。いやー素晴らしいと思います。


で、コレのどこが構成って大切だという話になるのか。


よくよく見てみれば、この一連のストーリーは「弁当作ったらペットに食べられた」という、
ベタ云々のレベルではなく、本当に他愛のない話だというのが分かります。
それでもちゃんと面白いのは、シーンごとに掛け合いの妙があるからなのでしょうが、
縫い目のようにリン姉のストーリー(こちらも他愛のない話です)と
交互に話を進めている点も見逃せません。

ただ、1話目でも感じた事ですが、どうも32p前後は長いような...
今回くらいの内容だと、もう一つくらい伏線入れても良いような気はします。
意外性も足りない気がしますしねぇ。
少しキャラ増やせば、それも解消されるのでしょうか。
3人のやりとりだけでは間が持たないという風にも取れますし。
16p×2話構成にする手もあるでしょうけど、16pはminiの方で連載してますから、
こちらは32pに慣れる方向で努力すべきでしょう。
ゲッサン201310

『キョーコ』2話目でこう批判しました。
現在『キョーコ』は36pですが、それでも今回間が持っているのは、
弁当の話、リン姉の話、そしてヒカルの話と
3つのストーリーを構成で上手く纏めているのが原因でしょう。
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p97 山本崇一朗

前半に弁当とリン姉の話を交互にしているからこそ、
ヒカルと遊ぶ事がさながら伏線のように機能しますし、
このシーンも3つの話を結びつける鎹 (かすがい) の効果をもたらすことができます。


この手法自体はさして珍しくもないですが、ストーリーの数を余計に消費する事になるので、
そこがボトルネックになりがちです。
しかし、元々が他愛のない話なのでネタはいくらでも転がっているはずです。
山本先生は他愛のない話でも面白おかしく描ける長所と、
内容がスカスカになりがちな短所を持っているので、
間延びしそうな時の保険として、自分の強みを活かし弱みを消すことができる手法ではないでしょうか。
そういう意味では、一つレベルが上がった印象さえ受けます。

何より最後までリン姉が札月兄妹とどういう関係なのか一切語られないのは良かったです。
もうちょっと引っ張ってみてもいいかな?
ゲッサン201502

余談ですが、先月こう書いたものの、
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年3月号 p98 山本崇一朗

今月あっさりバラしちゃいましたねぇ。しかも父方という事まで。



山本崇一朗(単行本2冊11/12 母をたずねて三千里を5話目までみてるんだけど全然母をたずねにいく気配がないぞ。 link


山本崇一朗(単行本2冊11/12 もう9話目。
父の仕事をみたマルコ、母を訪ねにいかない決心をする
link


山本崇一朗(単行本2冊11/12 これホントに母をたずねて旅をするの? link


かとそん 母をたずねて三千里があんなになかなかたずねに行かないとは…予想外でした link
引っ張れば、こういう感じで気になる設定になったと思うんですけどねぇ... あんまり引っ張りすぎると畑先生みたいに「あの伏線回収したっけ?」ってなっちゃいますがー。 第13保健室

関係性を出せているので前よりは遥かにマシですが、
こういったお話と、保健室の人気投票をどうシナジーとして織り込めるか。

AKB49~恋愛禁止条例~(1) (講談社コミックス)

AKB49~恋愛禁止条例~(1) (講談社コミックス)

ぶっちゃけ、そんなに難しい話でもないと思います。
ゲッサン201501

2ヶ月前にこう批評しました。
面白いと思えるまではまだまだほど遠い印象ですが、
『第13保健室』 ゲッサン2015年3月号 p124 あおやぎ孝夫

ようやくその傾向が。『GEKOKU嬢』も候補の一つだと思います。
何もこのメンバーで歌って踊れとは言ってませんけどねw


嘘つきは殿様のはじまり
確かに意外性のある話ではあるのですが、
わざわざ宗春が小太郎を励ます意味があるのかと考えるとちょっとうーん...
殿様と親密な人間に取り入るという視点なら意味あるんでしょうけど、
暗殺が成功すればお役御免になる小太郎相手に言うセリフなのかなぁと。


くちびるに歌を 公開直前レポート!!!
お前アイドルと会いたかったんだけとちゃうんか的なレポートw
似顔絵をカラーで描きたいという意向があってこういう形になったのかもしれませんが、
2pに収めるためなのか文章量が多い上に、文字に色が付いているのですごく読みにくいです。
内容的にはアンチモリ先生が読んだら毛嫌いしそうなものではありましたが、
創刊号付録に掲載された(『まねこい』巻末に再録済)漫画家飲み会のレポートとまではいかないまでも、
割と綺麗にまとまってはいるかと思います。最後の質問はともかくw


◎ アサギロ
根岸友山がお伊勢参りと称して浪士組から抜けたのは史実通りらしいですが、
それをこうも面白おかしく表現するとはねw


○ 四弦のエレジー
前回大絶賛しましたが、今回はうーん...
『四弦のエレジーゲッサン2015年2月号 p267 梅内創太

漫画においても、分かり易さが大切なのは論を俟ちません。
ただねぇ、作品の良さをブチ壊してまで必要かどうかは異論があります。
236pにノートルダム大聖堂の背景が描かれているように、
この作品の魅力の一つには、近世後期ヨーロッパの雰囲気があると思います。
『四弦のエレジーゲッサン2015年3月号 p272 梅内創太

分かり易さと引き換えに、その雰囲気をブチ壊す土下座。
コレ読んだ時にフランス人はどう感じるんでしょうかね?
意図的にやったというよりは、元々リアリティに課題のあった作家さんなので、
その辺りが災いしたのかもしれません。
むしろコレをチェックしなかった担当さんに責任があると私は見ています。


土下座の影に隠れていますが、「拝観料」という言葉のチョイスも若干問題。
拝観の対象となるものは神社・仏閣です。
比喩的に使うという手も無くもないですが、そもそも「観覧料」という
比喩を使わない表現があるのですから、そちらを使うべきじゃないかと。
「観覧料」が分かりにくいならば、演奏を聞いていないという意味が強まる「見物料」もアリでしょう。


ここ以外のストーリーは、序破急の序の段階としては比較的面白かったと思います。


アイドルマスター ミリオンライブ!
まー客観的にみれば◎なんでしょうけども。
原作があるとは言え、『第13保健室』がやらなきゃいけないような事を、
新人の漫画家がやれてるってのは皮肉な事ですなぁ(苦笑)


◎ LES MISERABLES
『LES MISERABLES』 ゲッサン2015年3月号 p357 原作:ヴィクトル・ユーゴー 漫画:新井隆広

こういう展開で話がつまらなくなる訳もなく。


ハレルヤオーバードライブ
やー素晴らしい。
ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2015年3月号 p389-390 高田康太郎


相変わらずセリフがメタ的。何を意味するかはあえて伏せます。


どうでもいい話ですが、
ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2015年3月号 p389-390 高田康太郎

えらい大人っぽく描かれているので、最初左灘さんだと気づかなかったよw


○ 忍者シノブさんの純情

何かすっかり普通の漫画になっちゃったなぁ感はありますが、
ベタにフツーな面白さはあったと思います。
ただまー読切の時に感じたゆずチリ先生のポテンシャルが発揮されているかと言われると...
ゲッサン201502

先月と感想変わらず。ただ、ツッコミどころが一箇所。
『忍者シノブさんの純情』 ゲッサン2015年3月号 p446 ゆずチリ

回転扉なのに回転軸の辺りを押しても回らんでしょうよw
『忍者シノブさんの純情』 ゲッサン2015年3月号 p445 ゆずチリ

前のページではちゃんと柱のすぐ側に立っているのに。
クルッと一回転して同じ位置に立たせたかったのかもしれませんが、
回っている間の足捌きをどうしていたのかも謎で。
ものすごく細かい事を付け加えると、校舎の床と外の地面の高さが同じってのも不自然。
まぁココは無視してもいい所ですけども。


端っこを押して回転扉が回ると同時にヒトヨシくんが倒れこみ、
それにシノブさんが覆い被さった方が、よりラッキースケベ感が出たんじゃないかと。


◎ あやしや
新キャラ2人の性格をきちんと表現しつつ、仁の着物に対する情熱も描く。
女装姿はずっと顔を隠したままでしたが、
最後逃げるシーンとかで読者には顔を見せて欲しかった気はします。


○ 月曜日は2限から
相変わらずgdgdですが、
そのgdgdさは漫画のgdgdさというよりはgdgdな空気感になってる辺りは魅力かなぁと。


◎ VANILLA FICTION
何故かじゃんけんで『あやしや』と被るというw
これって担当さんの問題かなぁ。
『VANILLA FICTION』 ゲッサン2015年3月号 p527 大須賀めぐみ

個人的にこういう演出好きですね。
この中のどれかが伏線になるかもしれないし、ならないかもしれない。
作者側からしても伏線として使えるし、使わなければならない訳でもない。


放課後さいころ倶楽部

今のところ、お気づきの方も多いと思うんですけど、
一番被ってるのってハナなんです。エミー(と)。
エミーとハナが一緒に出てきた時が超ヤバいっていう。
内面的な部分はハナに大分近い娘なんですけど、
他の属性が色々付いてるって事で、差別化を図ろうかなと。
ボードゲーム数寄語り。第50回「放課後さいころ倶楽部第4巻・その3」 15:20〜15:42

中道先生がこう予告していたように、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年3月号 p568 中道裕大

エミーに大食い、巨乳、方向音痴と記号を付け加えてきました。
一応、ミドリが巨乳と判明した際には「ありがとうございます」と書きましたが、
一方であんまり巨乳巨乳と言わないまでも、強調するのもどうなのかなぁとw
まぁ、女性がコレを見て気を悪くするのでなければいいんですが。


今回のゲームは『エルフェンランド』

エルフェンランド (Elfenland) ボードゲーム

エルフェンランド (Elfenland) ボードゲーム

作中でも触れられているように、
1998年のSDJ(年間ゲーム大賞)大賞受賞作で、作者はアラン・R・ムーン。
代表作は『エルフェンランド』以外にも
ブルーノ・フェデュッティとの共作『インカの黄金』や
2004年SDJ大賞受賞の『乗車券 (Ticket to Ride)』
他にもSDJノミネート作『ユニオンパシフィック』,『サンマルコ』(Aaron Weissblumとの共作)と
かなり打率の高いゲームデザイナーです。


今回の見どころは何といっても見開きですが、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年3月号 p582 中道裕大

素直にエミーとミドリのアドバイスに従ったにも関わらず、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年3月号 p584 中道裕大

この扱いを受けるアヤもいいですねぇ。
個人的には『ハゲタカのえじき』回で、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2013年8月号 p95 (1巻 p157) 中道裕大

アヤがこう言われた後に2を出したのを思い出しましたねw
以前もちょっと書きましたが、そろそろアヤが勝つシーンも...


放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年3月号 p600 中道裕大

そしてエミーの「ゲームデザイナーになりたい」発言。
こういう予想してた事はちゃんと書いておかないとなーと反省。


ドイツ人の留学生が来る事は結構前から決まってたらしです。
(ソースはボードゲーム数寄語り。第50回 上記引用の直前)

そこで、言葉があまり通じないドイツからの留学生 (女子希望) が来たとかなれば...
The Structure of "After School Saicoro Club" #3

私も1巻出て一ヶ月くらい後にこう書いていましたが、少なくとも1話目の扉を見る限り、
初期設定にエミーとレンは入っていなかったと思われます。
単行本読んでないので確認できてませんが、恐らく日本初ボードゲーム漫画
『アクア・ステップ・アップ』のシュナイダーさんをモチーフにしたのではないかと。

作中ではシュナイダーさんが作ったとされるゲームですが、
実際のクレジットは刈谷圭司とグループSNEです。
なので、エミーが出てきた瞬間、このキャラはミドリのライバルになるのでは?と思ってました。
ただ、今回の流れからすると、ライバルというよりはタッグを組む相手という事になりそうですけども。
二人の間でどう役割分担されるのか、少し気になる所です。


◎ ちろり
『ちろり』 ゲッサン2015年3月号 p605 小山愛子

確かに、関くんなら能動的にカモメ亭へと行かないかもなぁとw
ちろりがちゃんと覚えているのは記憶力が良いからなのか、脈ありだからなのか。


○ ぼくらのカプトン
3本ともまーまー。


終末風紀委員会
うーん、確かに意外性はあるんですが...
単行本買ってないので確認出来ませんが、
ドジっ娘演じる意味ってあるのかなぁ? 単に二重人格?


迷宮入り探偵
このネームを迷宮入りにした方が良かったんじゃないかなぁと思えるデキ。


信長協奏曲
信長協奏曲ゲッサン2015年3月号 p711 石井あゆみ

ひみつのかんけい。
これを森蘭丸の兄、森長可が喋ってるってのがまたw
その後の松永のセリフもBL匂わせてますなぁ。


ただ、何か物足りないなぁと。gdgd感が無いのもその理由のうちの一つでしょうけど。


◎ ツール・ド・本屋さん
後半はさすがに微妙と言わざるを得ませんが、前半はさすがと唸るデキ。
もちろん個性ある人々が出てるからってのもあるでしょうけど、
場の空気を絵と会話で表現しつつ、その解説も割と自然ですし、
レポート漫画描かせたらやっぱ上手いなぁと改めて。