内閣官房と外交について(その36)

さて、国家安全保障会議、通称、日本版NSCについてです。
もう安全保障会議設置法の改正法案提出まであと一歩です。
で、当然のことながら、新聞からの引用です。

日本版NSC、閣僚に情報提供を義務づけ…素案

 政府の外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)の創設を検討する有識者会議(議長・安倍首相)は9日、関連法案の素案を了承した。

 首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を新設するほか、事務局を内閣官房に置き、必要な情報提供を関係省庁に義務づけることなどが柱だ。10日にも内閣官房に法案の準備室を設置し、6月上旬に関連法案を提出する。今国会では法案を継続審議とし、参院選後の今秋の臨時国会での成立を図る。来春には日本版NSCを本格始動させたい考えだ。

 素案は、日本版NSCを担当する礒崎陽輔首相補佐官が示した。礒崎氏によると、日本版NSCは、現在の安全保障会議を改組して設置し、新設する4大臣会合が外交・安保戦略の実質的な決定機関となる。会合は「2週間に1回程度」の開催を想定している。防衛計画の大綱など長期的な方針を審議する「9大臣会合」の枠組みは現行のまま残し、重大・緊急事態に対処するため、4大臣に加えて、9大臣会合を構成する他の閣僚から事案に応じた人選を行い、「6大臣会合」「7大臣会合」なども開催できるようにする。

日本版NSC、地域・テーマ別で分析官 「北朝鮮・中東」「テロ・不拡散」 設置法案素案も発表

 米国の国家安全保障会議(NSC)をモデルに、安倍晋三政権が創設を目指す日本版NSCの組織編成の概要が9日、分かった。軍事的脅威が高まっている北朝鮮と中国を担当する北東アジアや、テロの危険性が増す中東・北アフリカなどの「地域分析官」を配置。国防戦略やテロ、核不拡散といった機能・テーマ別の分析官も置く。政府一体での情報集約・分析と政策・対処方針決定を効率化、首相の意思決定につなげる。

 政府は9日、NSC創設に向けた有識者懇談会を官邸で開いた。首相はあいさつで、「我が国を取り巻く情勢が厳しさを増す中、外交安全保障体制の強化は喫緊の課題だ。NSCは司令塔として強力に機能していくものにしなくてはならない」と強調した。

 政府は有識者懇でNSC設置関連法案の要点を提示した。それによると、NSCでは首相と官房長官、外相、防衛相の4者会合を定期開催し、外交・防衛計画の基本方針を決定する。NSC担当の首相補佐官も常設ポストとする。有事やテロなど緊急事態では状況に応じ他の閣僚も集め、防衛計画の大綱など国防の重要事項では財務相ら8人を参集させる。

 NSC事務局は内閣官房に設置。官僚出身者を充てる事務局長、官房副長官補2人を兼務させる局次長2人を任命する。政府機関の情報一元化に向け、関係省庁に情報提供義務を課し、特定の情報に関し収集を要求できる規定も盛り込む。省庁側に情報連絡官をそれぞれ置く。

 政府は6月上旬までに関連法案をまとめ今国会に提出、参院選後の臨時国会で成立を目指す。

 組織編成案の地域分析官は、北東アジアと中東・北アフリカが中核。外務省や防衛省が収集した情報を一元化し分析する。北朝鮮と中国の軍事動向、テロの兆候を継続的に分析することで首相の政策決定や外交方針に生かす。

 機能別では国防戦略担当を設け防衛大綱策定を官邸主導に移す。テロ対策担当も置き、地域ごとの視点では把握しきれない組織の動向を監視。海洋、宇宙、サイバー担当も検討する。

 緊急事態では、NSCは最初期の対処方針のみを決める。自衛隊など関係機関のオペレーションには踏み込まず、内閣危機管理監やその都度立ち上がる対策本部に委ねる。

 事務局は100人規模の態勢を目指すが、当初は数十人規模で来春に発足させる。スタッフには省庁や自衛隊で専門知識を蓄えた人材を起用する。

以上、引用終わり!

とりあえず、読売と産経の記事を。
私が読売、産経が好きというのも少しはありますが、他の新聞社よりも詳細を書いているので取り上げました。特に産経の記事は詳しいので、ありがたいです。

これらの記事からは、日本版NSCは分析に力を入れているように見えます。
となるとやはり問題となるのは内閣情報調査室との関係。そのあたりがどうなるのかがよく見えません。
加えて、産経の方にある、内閣危機管理監との関係。現在は内閣危機管理官は、防衛に関する事項以外の危機管理についての企画立案、総合調整がきますが、その関係がよく見えません。
やはり法案が閣議決定され、国会に提出されないと分析はできないので、ここで今回は筆を置きます。

法案は来月にでも閣議決定され、国会提出されるようですから、その際にでも少しだけ詳しい分析でもします。