大阪府橋下徹知事は大阪府庁での記者会見で、「民主党の応援マイクは
握れない」と自民、公明両党への気遣いを見せたが、「民主党は本気で霞
が関と対峙する可能性がある」と政権交代に期待を寄せた。知事選で橋下
知事を支援した自民、公明両党の府議らは「裏切りだ」と反発。一方で、
民主党の前衆院議員らは「人気知事の評価は心強い」と歓迎した。「戦後
60年、霞が関と一緒にやってきた自民党霞が関を解体できるかといえ
ば、無理」。橋下知事は、横浜市中田宏市長とともに記者会見に臨み、
民主党支持を決めた理由をこう説明した。府議会与党である自民、公明に
反旗を翻すことになる判断。「受けた恩は返していない」「投票してくれ
た人は納得しないと思う」。ふだんの強気の発言は影を潜め、幾度も苦渋
の表情を浮かべた。

 

結局、橋下知事も勝ち馬に乗ったと見られても仕方ないだろう。当初は民
主党のマニフェストを酷評し、それに慌てた鳩山代表からマニフェスト
正の言質を引き出し、地方分権衆院選のキーワードの一つにすることに
成功した。記者会見でも「民主が政権を取る可能性を考慮した判断なのか
」との質問に対して「客観的に見るとそうとられるかもしれない」と認め、
「うそくさいと思われるかもしれないが、どちらが国の形を変えうるかで
判断した」と強調した。言葉を額面通り受け止めれば、しがらみに囚われ
ない民主党なら霞が関を変えてくれるとのことなのだろうが、果たしてそ
れだけなのか。大阪府議会は自民・公明党両党で過半数を上回り、橋下知
事が知事選に出馬した際にも、大きな力となったのは言うまでも無い。府
政における支持勢力を切る覚悟で、民主党支持を打ち出したのだから、勝
ち馬に乗ったとは思われたくない。そんな面子の問題も見え隠れするので
ある。この決断が橋下知事にとってどう影響するか、注目したい。