特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『持たざる国の教訓』と0221 再稼働反対!首相官邸前抗議!

最近の、田母神が都知事選挙で60万票を取ったり、安倍晋三がやたらとナショナリズムを強調するような現象について、『未完のファシズム』を書いた慶應の片山杜英教授が今朝の日経BP(ネット版)で『持たざる国の教訓を学ばない日本』という記事で興味深い指摘をしていた。「持たざる国」の教訓を学ばない日本:日経ビジネスオンライン
内容はこんな感じ。
アベノミクスが狙っている、原発を動かして製造業を稼動させ、円安誘導で輸出を増やして経済発展するという筋書きは機能しない可能性がある。既に生産拠点が海外に移転しすぎているから、円安のデメリットのほうが大きいかもしれない。

安倍がいわゆるナショナリズムを強調するのは、経済面など社会的に苦しい事情のしわ寄せを受けている若い世代の人を誘導し、政権の支えにしようとしているからだ彼らは助けてくれる者、頼りがいのある者を求めているだけで、簡単に反体制になりかねない。安倍のナショナリズムの強調は日本叩きをやって国民のガス抜きをする中国政府と全く同じである。

統一された日本と言う概念は明治期以降の一時的な概念に過ぎない。経済成長によってお金が増えていくことで国民国家という概念は機能してきたが、今後は少子高齢化と経済成長の頭打ちで国民国家を維持することは難しくなってくる。ナショナリズムを強調しているのは、いかにお金をかけないで国民国家を持続させようとする切羽詰った努力の現われである。

民主主義国家は総合的な判断をできる国民が多数いるという前提で成り立っている。しかし今や 人々は総合的判断を放棄して自分に都合のいい情報しか拾わなくなっている。このままいくと大勢がとてつもなく反理性的になって暴走して国が潰れてしまいかねない。今 そういうリスクは20世紀前半並に高まっている。常に懐疑的であること。性急に正解を求めず、うまい話を信じないこと。当面はこの姿勢でいくしかないでしょう。
                                              
●欧州の第1次世界大戦で日本の指導者たちが得た理性的な知見「『持たざる国、貧乏国 日本』は国家の総力を傾ける近代戦はできない」がいつの間にか捻じれて、精神論一辺倒の狂信的な国家へ導かれていく経緯が描かれています。

                                                                                                                         
安倍晋三がそこまで意識してナショナリズムを煽っているかどうかはわからないが(そこまで頭がいいとは思えない)、言っていることはほぼ同感。経済については円安にしたって輸出が増えるわけない、というのはボクですら1年前から判っていた(笑)。
世の中が厳しくなってくると、特に若年層は反体制的なことへ走るのは世の常だ。こういうと身も蓋もないかもしれないが、『帝国以後』などで有名なフランスの歴史学者エマニュエル・トッドなどは、若年層の人口数と労働争議の件数は比例している、と指摘しているくらいだ。今から7年前に『希望は戦争』とのたまったロスジェネ世代のフリーライター赤木智弘)が居たが、一昔前のロスジェネも今のネトウヨも自分の不満を訴えるためならなんでもいい気がする。右でも左でも、ナショナリズムでも反原発でも小泉改革でも政治改革でも行政改革でも、何でもいい。全共闘の面々があっというまに企業戦士に変わったのも、反原発と言っていても、非科学的なデータを妄信する人や党派や組織の利害を優先する連中が多々いるのもその良い例だ。以前にも書いたがいわゆる『流される人』たちだ。

でもボクはそれを否定はしない。彼らは別に特別な存在ではないし、自分だっていつ『流される』かわからない。ボクらは彼らと共に生きていかなければならない。
                                                                        
この件に関してA0153さんが、田母神に投票したという若い女性の新聞投書を挙げて、細川・宇都宮はそういう層の気持ちを掴むことが足りなかったのではないか、と述べておられた。「若者の苦痛の叫び受け止めて」について思う - A0153の日記
それは確かにその通りで、大変鋭い指摘だと思う。社会に対する不満を持ちつつ、あんまり物事を考えない層(片山教授曰く『助けてくれる者、頼りがいのある者を求めている』人たち)へのアピールは、特に細川は足りなかったと思う。ボクは非常に感心した台詞ではあるが、確かに細川が『原発は文明論的問題』と訴えてもボクが失業していたら『ふざけんな』と思うだろう(笑)。

かと言って小泉や橋下が以前やったように仮想敵を作ってポピュリズムに訴えかければよい、という話でもない。そんな実態がないものは長続きしないからだ。
                                                              
片山教授が言っているように、日本と言う国民国家なんか歴史上のごく限られた現象なのだから、ボクはどうでもいいと思っている。日本なんて国は無くなってしまって、戦国時代やかってのイタリアのように地方国家が分立するのも良いし、沖縄でも北海道でも、どこかの地域が独立するのも良い。アメリカの51番目の州になるのも属国状態の今よりは良いだろう。
問題はそこに住む人間が老いも若きも希望を持って生きていけるかどうかだ。少子高齢化が進み、経済成長が頭打ちになる日本で今までどおりのやり方を続けるのはムリだ。そんな世の中で希望を作っていくには、一人ひとりが、特に先に生まれてきた人間がそれぞれの場で新しい生き方をしていくしかないと思う。カネはある程度稼ぐにしてもカネ万能ではない生き方、補助金や規制に頼らず自分の力で生きて行くけれど弱肉強食ではない生き方、男だの女だの変な固定観念に囚われない生き方、一人ひとりがマシな生きかたをして後続の世代に見せていくことが今の若い子達への希望になるのではないだろうか。あとは彼ら・彼女らが自分の人生を切り開いていけばいい。

自分がそんなに立派なわけじゃないけれど、やれることは誰にでも一杯あるだろう。この前cangaelさんにコメントでご指摘を受けて自分でもそうか〜と思ったのだが、クリスマス・ローズと男子フィギュアと「魔法の時代にあって」(有田芳生氏) - 四丁目でCan蛙、男が夕飯を作るだけでも世の中、かなり変わるんじゃないの?(笑)

第一、日本の伝統でもなんでもない靖国みたいなインチキ神社に参拝することや、岩しかないミミっちい尖閣みたいな小島に拘ったり、まして自分には関係ない誰か他人のために行われる戦争なんてものが、若い世代の希望じゃあまりにもセコ過ぎるじゃないか(笑)。
          
   
                                                                                
ということで今週も官邸前へ★0228 再稼働反対!首相官邸前抗議! | 首都圏反原発連合
ちなみに今日支度した夕飯は昨日のチリ鍋の残り(改)と豚肉のソテーゆず風味(笑)。手抜きがミエミエだけど、栄養バランスはバッチリだから(笑)。
昼間は暖かかったけど、それでも今晩は寒かった。気温は6度だけど風が冷たかった。参加者は官邸前1000人弱、国会前周辺で1000人くらい、トータル2000人くらいではないだろうか(主催者発表2300人)。なんか今日はマスコミが多くて赤旗はもちろん、ざっと見ただけでも朝日にTV東京、それにアルジャジーラまで来ていたそうだ。知事選が終わっても抗議は終わってないぞ、ということは多くの人に知ってもらいたいから大歓迎だ。そんなことくらいでは終わらないよ。
●抗議風景






                                                                
スピーチで多くの人が指摘していたが、先日の100tも漏れたという汚染水だって、安倍晋三が言ってた『UNDER CONTROL』なんてどこの国の話だよ、と思う。ボクたちが住んでいる国の総理大臣は単純に嘘つきだ。それでいいのか。

●ライトアップされた国会

                               
国会前へ行ったら中国電力の社員の人がスピーチしていた。中国電力内での賃金の男女差別の訴訟で上京したので国会前へ寄ったという。彼女は大組織の中でたった一人(正確には応援の男性がもう一人)で戦っているそうだが、自然な笑顔を絶やさない、語り口がすごくさわやかな人だった。理屈とかスピーチがうまいとかそういう話じゃなく、ただ、尊敬に値する人だ。日本の市井に数多くいる、無名でも立派な人たちに出会えるのは官邸前抗議へ行く醍醐味?だ。

●国会前。1枚目が中国電力のお二人。

●旧名ファミリーエリア


この前の選挙のようなことがあると、自分にもっとできることはないのかなあ、こんなことしかできないのかなあ、と思うけれど、今 できることはできることを続けていくしかないんだろうなあと思う。判らないことは判らない、出来ないことは出来ないと自分に正直になりながら、続けていきたいと思う。

●ちょっと陰に隠れた『原発やめろ、東電潰せ』と書いてあるセンスのないプラカードがボクです(笑)。(反原連のTwitterより)