特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『撤退するアメリカと『無秩序』の世紀』、『0717 再稼働反対!首相官邸前抗議』+『戦争法案強行採決に反対する国会前緊急抗議行動』(参加者5万人)

今日になって『新国立競技場はゼロベースで見直す』と安倍晋三が言い出しました。首相、新国立競技場「白紙に戻しゼロベースで見直す」 :日本経済新聞 それ自体は良いことですが、今まで『納期が間に合わない』、『国際的約束がある』と言って見直しを頑として拒否してたのは一体なんだったんでしょうか(笑)。ウソだったってことですよね(笑)原発、安保法案、国民にマトモな説明もしないまま結論だけ押し付ける。政府のやり方は全て共通している気がします民主党も政権時代はその傾向は強かったですが)。
                                  
今回の安保法案の強行採決は2つ問題があると思います。一つは『内閣が勝手に憲法解釈変更、それも違憲の疑いが濃い変更をしていいのか』、もう一つは『本当に日本の安全保障に資する法案なのか』ということです。前者は法治国家の根本を揺るがす問題でほぼ議論の余地がないと思います。安保法制に賛成する比較的まともな議論、例えば小川和久とか後述する岡本行夫などは、この根本的な事を無視している。
一方 民主党の辻元議員が国会で『戦争はアカン』と言ったり、『戦争法案絶対反対』とシュプレヒコールをしているのは後者の問題です。これについては意見は色々あって当然だと思います。例えば岡本行夫の国会でのこの証言【安保法制公聴会】外交評論家・岡本行夫氏「立派な責任政党が誤ったキャンペーン」「現在の法制どう考えてもおかしい」 - 産経ニュースは安保法案に反対する人だって耳を傾けなければいけないでしょう(ボク自身はこの証言は一面の真実は語っているが、集団的自衛権によるリスクを語っていない片手落ちの意見だと思います)
                                                
いずれにしても『日本の安全保障』も、まともな議論が行われていないんですね。政府の答弁が『不良に絡まれたら』とか、『火事が起きたら』とか、そんな例え話ばかりじゃ話になりません。政府は安全保障をまともに議論をする気もなければ、国民に説明する気もない、それが問題なんです。だから多くの人が怒るんです。『対案を出せ』という話がありますが、違憲の法律を、まともな説明もせずに押し付ける』のに対して、対案なんかありますか(笑)。
NO!それだけですよ。

小田嶋隆のツイート


                                               
さて、いつも書いていることですが、勉強の為にもボクは、なるべく自分と異なる意見に触れたいと思っています。怒っているときは尚更、そう思います。かといってネットにボーフラのように湧いてるネトウヨや左右を問わず陰謀論者に構っている暇はありません。時間がもったいないですから(笑)。この『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』の著者はピューリツアー賞を受賞したウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニスト、少なくとも狂人じゃないだろう(笑)と思って読んでみました。この本は『アメリカが世界の警察官の役目を降りつつある今、日本の防衛力を強化しなきゃいけない』みたいな意見の論拠として、最近 良く出てくる本でもあります。

アマゾンの解説をコピると、
 イラクアフガニスタンでの悲惨な戦争を経て、徐々にアメリカは世界に対して背を向けつつある。これはオバマ大統領による外交方針だけではなく、タカ派を多く含む共和党ですら「撤退論」を主張し始めた。しかし、アメリカが世界の警察官の役割を放棄した途端、世界の秩序は崩壊し、暴力が各地に蔓延るようになった。日本もまたその例外ではない。著者はアメリカ国内の左派と右派をどちらも批判しつつ、歴史や統計を用いながら現実的な回答を模索していていく。
                                                  
著者によるとオバマ政権がシリアに軍事介入しなかったことは大失敗だし、ランド・ポールなどのリバタリアンや右派がアメリカ軍の海外展開を減らそうと主張しているのも具の骨頂だとしています(ちなみにボクは自分ではリバタリアンだと思っています)アメリカ軍が撤収することで力の空白が生じ世界がより一層危険になる、というのだ。またブッシュ(バカ息子の方)イラク戦争も大間違い、もっと大量に軍隊を派遣すべきだったとしている。
アメリカの力の空白が生じることで独裁国家やテロ組織の勢力が増大する』という意見は現実的に一理あると思います。軍隊だけで平和は保てないし、軍隊なしに平和が保てれば理想だけど、ボクは実際に武器を持った暴漢が暴れている場合は武器が必要だと思う。『ホテル・ルワンダ』という映画は94年にルワンダで民族の大虐殺が起きた際 まともな武器・兵員を持たない国連PKOが何もできなかったことを描いていました。実際に100万人以上のジェノサイドと強姦が行われた中で、目の前で殺されようとしている難民を救うことを国連から禁じられたPKOの指揮官のカナダ人の将軍は帰国後 自責の念でアル中になって自殺未遂に追い込まれました。そういう現実はこの世の中に確かに、ある。
●大虐殺の中 丸腰で1000人以上の人を救ったホテルマンの実話。素晴らしい映画です。
                                    
だがアメリカは撤退しようとしているのではなく、軍事費の問題から撤退せざるを得ないわけです。それに対して著者は『ステルス戦闘機・軍艦などバカ高いハイテク兵器を止めて、安価な旧式兵器、B52や空母の数を揃えて対応しろ』と言っている。
え〜(笑)。懐かしの演歌特集みたいなこと言われても困りますよ(笑)。
確かにF35にしろ、ハイテク軍艦にしろ、近年のアメリカの新兵器開発が失敗続きなのは事実ですが、かといって旧式兵器の数を揃えて対抗しろって、人の命が弾より軽い中国軍や旧日本軍ならともかく(笑)、自国民の命を軽々に扱う戦略は先進国ではムリなのは誰の眼にも明らかです。

アメリカは撤退せざるを得ないのだと思います。先立つカネがないんですから。第2次大戦直後はアメリカが世界のGDPの約半分近かったらしいが、今は約20%。当時と今では軍事的に出来ることが変わるのは当然です。著者は時代遅れなリバイバルを主張しているように見える。オバマがシリアに介入しなかったのも散々非難されていたけど、介入したってどうにもならなかった可能性だってあります。アメリカが介入することで敵が一致団結(笑)、紛争が泥沼化することだってあるからです。アメリカが撤退して紛争が起きることはあるかもしれないが、アメリカが介入することで紛争を拡大させることだってあるってことです。著者の主張は部分的な事実だと思うけど、全体を包摂する論理ではないビン・ラディンを育てたのが一体 誰だったのかを思い出せば明確でしょう。
                                                        
じゃあ、日本はどうすればいいのでしょうか?著者は日本が軍事力を高めてアメリカの部分的な肩代わりをすることを期待している(あくまでも部分的に)。日本にとって、どうなんでしょうか。残念、日本はアメリカより、もっとお金がありませ〜んしかもこれから高齢化でもっとお金がなくなりますアメリカも日本も軍事力で問題を解決するだけのカネがない、ってことですよ。
つまり著者が言ってる、軍事力を増強してアメリカが世界の警察の役割を果たし続けるのは、日本がいくらそれに加わっても所詮はムリ筋なんです。
                                       
現実的に考えれば、なるべく、お金を使わないで済むような手段、つまり外交を強化していくしかないでしょう。軍隊をなくせとはボクは思わないけど、コストパフォーマンスを考えるべきです。かと言って外交を強化していろんな国と仲良くしていっても、平和が保たれるかどうかは正直わかりません世の中の大きな趨勢というものがあるからです。これからは世界が一時的に不安定になっていくのかもしれません。ジャック・アタリ先生は約10年前に書いた『21世紀の歴史』で『21世紀の中盤にかけて世界的に不安定さが増し、戦争の危険は高まるだろう』と指摘しています。

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界

                                 
これはアメリカの力の衰退や新興国の勃興のことを指しています。それに伴う紛争を軍事力だけで抑えるのはムリだけど、丸腰で全てに対処するのは難しいかも。結局はアメリカの軍備をちらつかせながら、関係各国と企業、国民が知恵を絞って平和的な手段で問題を解決していく努力をしていくしかないと思います。特に開発や教育、それに富の再配分を進めることで地域を安定化させるのが最も有効な手段なはずです。そのためにはどうしたら良いか。紛争地域の現場で活動している中村哲氏や伊勢崎賢治氏が言うように憲法9条はむしろ強力な武器になるのではないか。それが、この本を読んでの感想です。

●まさにその通り 



                                        
なになに自民党は『強行採決をしても三連休を挟めば国民は忘れるだろう』って読み、なんだって?(笑)。与党側は「3連休前に」 衆院を通過させたい? そう言われたら尚更 抗議に行かなくちゃな(笑)

ということで、官邸前+国会前
西日本を襲った台風でSEALDs関西の抗議は中止になったそうです、残念。関東は埼玉あたりは大雨警報がでていたみたいですが、夕方までには見事に雨雲は消えました。この数週間 雨に悩まされていましたが、この3日間 抗議の間は殆ど雨は降りませんでした。今日 SIELDsの子が言ってましたよ。『天気は安倍晋三ではなく、ボクたちの味方をした』って。

6時半からは官邸前で再稼働反対の抗議。官邸前へ向かう途中、人が続々と歩いてきた。若い人も年配の人も家族連れも本当に大勢の人たちが反対方向、安保法案抗議がある国会前へ向かっている。これだけ色々な人が参加しているのを目の当たりにするのは嬉しかったなあ。でも、最初は再稼働の抗議をしなくちゃ。伊方の再稼働の話が本格化している今は大事なタイミングだ。あとは地元の同意だそうだが、地元の人はそれでいいんですかね?もし事故が起きたら、あんな立地で本当に避難できると思ってるんでしょうか(笑)。
●抗議風景@官邸前





今日の参加者は2300人、久しぶりに2000人を超えた。これだって、ものすごい人数だと思います。ボクも含めて多くの人がプラカードを2種類持っていました(笑)。
●国会前へ向かう親子連れ

国会前へ着くと、『総がかり』の人たちがスピーチをしていた。昨日も書いたけどスピーチの内容は酷い。自分たちの内部の話とか一般の人たちには関係のない話ばかり。で、最後は精神論『頑張りぬきましょう』(失笑)。昔 企業の中でも良くいたじゃないですか。話がやたらと長くて、つまんない爺さん。そういう連中は山一ショックにITバブル崩壊、それにリーマンショックで企業の中からは殆ど絶滅したと思ってたけど、ここに絶滅危惧種が居た!組合だかNGOだか政党か知らないけど、こういう連中は競争がない社会でぬくぬくやってきた人たちなんだろうな。ボクの周りでも若い子が『今はお年寄りの時間だから我慢しなよ』とか言ってたり、退屈して帰り始める子まで居たもんな(笑)。昼間も含めて頑張ってもらっているのには頭が下がるけど、あれだけつまんない話を延々続けられるのは自分たちがいかに社会とずれているのか自覚がないんだろう。逆効果になるから、ああいう爺さんたちは正面に出るのは止めて、早く若い子に譲ったほうがいいよ。まあ、他人の事より、自分がいずれ、ああいう風に成らないように気をつけなければいけないんだけど(笑)。
●ボクのプラカード(笑):No War,No Abe,No Fascist

                                
SIELDsの時間になると、辺りは途端に活気づく。今日も民主党の枝野のスピーチは良かった。『集まっていただき、ありがとうと言おうかと思いましたが、違うと思いました。お疲れ様です。』、『民主主義は国会議員ではなく、ここに集まっているみなさんたちが担うものなんです。議員はそれを手助けするだけの存在なんです。』、『多数決だったら何でもいいと言うのは民主主義じゃないんです。ヒトラーだって選挙で勝ったから出てきたんです。そういうことを防ぐために憲法があるんです』。民主党が少しでもまともな政党になってくれればいいんだけど。
                                                 
●抗議風景@国会前(今日は昨日までと反対側、メインステージの向こう岸です)









[:]
                                              
SEALDsの子たちの元気やウィットは相変わらず健在だったが、男の子も女の子も声が嗄れ気味だ。この3日間、彼らは毎日4時間以上やってたんだもんなあ。ホント、彼らには頭が下がる。今日はボクが帰った後に『永続敗戦論』の白井聡もマイクを握ったらしい。どうだろう、参加者は5万人くらいだろうか。とにかく遅くまで続々と人が参加してくるから、良くわからない(主催者発表5万人)。
抗議の輪は日本全国にどんどん広がっている。この3日間が安倍内閣の終わりの始まりだよ!

●今日 最も格好良かったプラカード。『「どうせ忘れる」と言ったこと忘れないから!(そっちこそ覚えてろよ)』。持っていたのは若い女の子だった。