シアラ青銅版 英訳からの重訳 断片 1
シアラ青銅版の英訳からの重訳です。
英訳
http://www.umich.edu/~classics/programs/class/cc/372/sibyl/db/H006.html
原文
http://webu2.upmf-grenoble.fr/Haiti/Cours/Ak/Senatus/Siarensis.htm
http://webu2.upmf-grenoble.fr/Haiti/Cours/Ak/Senatus/Siarensis_crawford.htm
入れ子構造をリスト化しました。現存部分はボールド、修正部分はイタリック、推定部分はノーマルにしました。ヘバ青銅版は弓削達『ローマ帝国の国家と社会』p.165−に抄訳がありますが選挙制度改革部分が中心です。アンティオキアについては『地中海都市の興亡』p.88-89、『年代記』2巻83節にゲルマニクスの栄誉決議の説明があります。
ナンバー H006 タイトル ゲルマニクスのための栄誉決議 言語 ラテン語 訳者 デヴィッド・ポッター イントロダクション スペイン南部のシアラから出土した3つの損傷がひどい青銅版は、元老院がゲルマニクス・カエサル(ティベリウスの甥で、シュリアで死んだ)にふさわしい栄誉を与えるに際しての援助を皇帝ティベリウスに依頼する書簡、に関する元老院決議を保存している。 この決議の一部は最初の2つの青銅版(ここで翻訳した)に保存されている。3番目の青銅版はゲルマニクスの栄誉についての最終決議の一部を含んでいるようだ。その一部はイタリアのヘバで発見された青銅版によっても知られている。本文は帝室の概念と政権のイデオロギーの発展に関する重大な証拠を提示する。
断片 1
…n…決して死ぬべきではなかったゲルマニクス・カエサルの記憶を保存する目的のために
この問題に関して決議された。次の事柄は元老院の意にかなう。
- 大理石の凱旋門が
- キルクス・フラミニウスに公費で建てられること。
- そしてすでにガイウス・ノルバヌス・フラックス*9によって神君アウグストゥスとアウグストゥス一家*10への彫像が建てられている場所に並べられること。
- それには征服された諸民族が描かれ、凱旋門の正面の金文字の銘文は次のように言う。ローマの元老院と市民は、ゲルマニクス・カエサルの記憶のためにこの大理石の記念物を捧げる。なぜなら彼は
- 凱旋門の天辺には凱旋戦車に乗ったゲルマニクス・カエサルの像が置かれるべき事。
- その周囲には父でありティベリウス・カエサル・アウグストゥスの実弟であるドルスス・ゲルマニクスと母アントニアと妻アグリッピナと妹リウィアと弟ティベリウス・ゲルマニクス*13と息子達と娘達の像が置かれるべきである。
- もう1つの凱旋門が
- 3基目の凱旋門が
- ガッリア人とレーヌス河の此方に住まうゲルマン人に(神君アウグストゥスによってドルススの塚で犠牲式を催すよう指示された人々と同じように)毎年ゲルマニクス・カエサルの命日*14に、同じ場所で、公費で、黄泉の世界の神々への類似の犠牲式を催すよう命じるべきである。
次のことは元老院の意にかなう。
- ゲルマニクス・カエサルを記念して大理石の墓碑をゲルマニクス・カエサルの遺体が荼毘に付された地、アンティオキアのフォルムに建てるべきである。
- そして講壇をゲルマニクス・カエサルが死んだエピダフナエ*18に建てるべきである。
- ローマ帝国の国家と社会 (1964年)
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