Netflixで、「ペリーヌ物語」を観ている。
いや、よくできたストーリー。飽きないもん。
原作「家なき娘」刊行は1893年。「資本論」(1867年〜1894年)の時代。イギリスが繊維工業でトップを走っていて、労働法等が未整備で女工幼年工が普通にこき使われ使い捨てられていた時代に、植民地出身で外国籍で有色人種との混血少女が、最低賃金の女工から身を起こして、フランス紡績企業トップに昇り詰める話。
コロニアリズムとキャピタリズムと階級社会とが入り混じる産業革命勃興期、己の才覚ひとつ、身ひとつで、社会の軋轢を掻い潜る主人公には、新興自由主義の希望が託されている。働け! 甘えるな! ペリーヌは社会保障なぞ欲しがらず、児童福祉無視の低賃金肉体重労働にも文句を言わず奮闘した結果、大工場主に収まったではないか!
会社に働かせてもらっているのだ。そのおかげで生活ができるのだ。会社のおかげではないか。会社にお金を出していただいてる。金をだしてもらっている会社のためにすべてを捧げるのは当然のことじゃないか。仕事中に怪我をするのは、気が緩んでいるからだ。集中していれば怪我なぞしない。仕事中ぼおっとしてる怠け者の労災保障なぞしたら会社が儲けられない。賃金は払ってやっている。なんの問題もなかろう。会社は儲けなければならない。儲ける為に賢く振る舞うのは当然の行為。文句を言うなぞ御門違い。貧乏から出られないのは、怠け者だからだ。すべては自己責任。怠けず一心不乱に働くのだ。「Arbeit macht Frei」(ドイツの諺)。
社会保障なぞ論外だ。施しを求めるな。道は自分で切り開くものだ。ペリーヌは小銭だけを元手に自分ひとりでもやっていった。13歳少女だろうが、十分に肉体労働の働き手として働き、終業後に自給自足の生活ができるのだ。児童福祉法なぞあったら、ペリーヌのサクセスはありえなかった。甘やかしてはいけない。子どもを甘やかすのは、子どもの為にならない。
嗚呼、素晴らしい。人間やる気と根性と雇い主への無条件の感謝さえあれば、ペリーヌのようにサクセスできるのだ!「女工哀史」だ、「あゝ野麦峠」だ、あんなものは社会主義者が流したデマ。
働け! 甘えるな! 貧乏だからなどというのは甘えだ。ペリーヌは乗り切った。社会保障や児童福祉法や労働法は甘えだということを証明する秀作。
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