名将たちの決定的戦術 松村劭著

目次 * 名将たちの決定的戦術

はしがき

序章 凡将が名将に変わる戦術の魔力―戦闘についての基礎知識
 戦術とは何か 18
 戦力優越は勝利の条件ではない 20
 日本と米軍の戦術はどこが違うか 23
 「アレキサンダーの作戦が彼にしか実行できない」のはなぜ? 25
 名将たちは必ず得意技(戦闘ドクトリン)を持っている 27


第1章 古代の名戦術を完全マスターする―古代ペルシャからローマ帝国までの古戦史
 ▼ティムブラ平原の戦い―紀元前五四六年【ペルシャvs.リディア】
  欧州・中東で最強のペルシャ軍を率いたキュロス大王 30
  【設問1】兵力劣勢の時に隘路で敵と戦闘 31
  屈折点に射撃を集中して撃破 34
 ▼マラトンの戦い―紀元前四九〇年【ギリシャvs.ペルシャ】 37
  将軍ミルチアデスの成長とアテネの成長 37
  【設問2】どの案も成算が薄いときの戦術 38
  ころころ変わった「アテネ市民の総意」 43
 ▼レウクトラの戦い―紀元前三七一年【テーバイvs.スパルタ】 48
  ボイオティア戦争―「戦術の父」エパメイノンダスの陣形 48
  【設問3】円陣か横陣か縦陣か? 49
  戦史に燦然と輝く「斜行陣」 52
 ▼イッソスの戦い―紀元前三三三年【マケドニアvs.ペルシャ】 57
  「戦術の父」の極意を継承したアレキサンダー大王 57
  【設問4】約三倍の敵を前にどう戦うか 59
  損害率わずか一・五パーセントの戦闘とは 62
 ▼ガウガメラの戦い―紀元前三三一年【マケドニアvs.ペルシャ】 67
  平地に展開する二〇万のペルシャ軍 67
  【設問5】四倍以上の敵を粉砕せよ 68
  敵を誘い、毒針で刺す! 73
                      ◎コラム1 戦争は言葉の暴力からはじまる 77
 ▼トレビアの戦い―紀元前二一八年【カルタゴvs.ローマ】 79
  ポエニ戦争―「戦略の父」ハンニバルの苦闘 79
  【設問6】アルプス「雪将軍」を味方につけよ 81
  そのとき将軍は私情で口を開いた! 85
 ▼カンネの戦い―紀元前二一六年【カルタゴvs.ローマ】 88
  歴史に残る最高の戦闘 88
  【設問7】退路を断たれたハンニバルがとった奇抜な戦術とは 89
  あえて敵に弱点をさらす 92
 ▼ファルサルスの戦い―紀元前四八年【シーザーの内乱】 97
  どこで「賽は投げられた」のか 97
  【設問8】局地戦において絶対的指 99揮能力を発揮せよ
  撃破すべき中核部隊を見抜く 102
                      ◎コラム2 国境は国防線ではない 106


第2章 体感!帝国の名将vs.王朝の英雄―ローマ帝国滅亡から地中海戦争までの中世戦史
 ▼シャロンの戦い―四五一年【西ローマvs.フン】 110
  西ローマ帝国の名将アエティウスの活躍 110
  【設問9】アジアの猛威から西欧を救え! 112
  「わな」を仕掛ける 117
 ▼ダラの戦い―五三〇年【東ローマvs.ペルシャ】 122
  ビザンチン帝国―名皇帝は名将を知る! 122
  【設問10】砦を活用して機動的に防御せよ 123
  作戦計画は敵の裏の裏を読んでつくる 126
 ▼トゥール・ポアチェの戦い―七三三年【フランクvs.イスラム】 130
  西欧キリスト教社会の生き残りを賭けた戦い 130
  【設問11】イスラム軍の退路を抑えて自軍の退路を守れ 131
  キリスト教社会とイスラム教社会の境界が決まった戦い 136
 ▼へースティングスの戦い―一〇六六年【ノルマンvs.サクソン】 138
  画期的武器「クロスボウ」の誕生 138
  イングランドを支配したウィリアム征服王 139
  【設問12】戦いの主導権を取り戻せ 141
  指揮の強靭性と頭脳の柔軟性を発揮したウィリアム 146
                      ◎コラム3 戦争の抑止はできるか 149
 ▼インダス河の戦い―一二二〇年【モンゴルvs.ホラズム】 150
  モンゴルの竜巻と縦型戦闘ドクトリン 150
  【設問13】隘路に布陣した守勢の敵を撃破せよ 153
  数を頼んだ力押しは損害を増やす 156
 ▼サヨ河の戦い―一二四一年【モンゴルvs.ハンガリー】 159
  名将スボタイのハンガリー征服作戦 159
  【設問14】二つの軍をいかに連携させて勝利に導くか 162
  わずか十五万で東欧全域を支配下に置く 166
 ▼クレシーの戦い―一三四六年【イングランドvs.フランス】 170
  百年戦争エドワード三世 170
  【設問15】フランス重騎兵を平原で撃破できるか 172
  軍律厳正な歩兵が欧州最強の重騎兵に勝利する 176
 ▼アジャンクールの戦い―一四一五年【イングランドvsフランス】 181
  百年戦争再び 181
  【設問16】三倍の敵を相手に血路を開くには 183
  わずか八〇〇メートルの前進が勝敗を分ける 186
  「スイス・パイク歩兵は欧州一」と呼ばれたジャコブの戦闘 190
 ▼レパントの海戦―一五七一年【神聖同盟vs.オスマントルコ】 192
  スペインの黄金時代を築いたドン・ジュアン 192
  【設問17】海上においてどこに決戦の場を求めるか 193
  大艦隊同士が激突、その結果は…… 196
                      ◎コラム4 「決定的戦闘」に勝てばいい 201


第3章 巨大な軍を統率して勝つ方法―三〇年戦争から南北戦争まで近代戦のはじまり
 ▼砂丘の戦い―一六五八年【フランス・イギリスvs.スペイン】 204
  トゥレンヌと一七世紀の戦術大転換 204
  三〇年戦争―最後で最大の宗教戦争 206
  【設問18】いかに敵の裏の裏をかくか 207
  フランス、西欧の雄となる! 213
 ▼ブレンハイムの戦い―一七〇四年【イギリス同盟軍vs.フランス連合軍】 217
  スペイン継承戦争―「昏睡の時代」の創造戦術 217
  決戦前夜の戦力比 219
  【設問19】部隊の連接点を狙え! 221
  歴史に残る二国間の共同作戦 226
 ▼プラーグの戦い―一七五七年【プロシャvs.オーストリア】 230
  七年戦争―プロシャを一大強国にしたフレデリック大王 230
  【設問20】反動によって生まれる弱点を突け 233
  軍事界の金字塔「プラーグ機動」 236
 ▼ロイテンの戦い―一七五七年【プロシャvs.オーストリア】240
  続く七年戦争フレデリック大王の決意 240
  【設問21】代替案のある作戦を立てよ 242
  ナポレオンは「機動と決断の傑作」と絶賛した! 247
                      ◎コラム5 戦闘の五つの機能 251
 ▼トレントンおよびプリンストンの戦い―一七七七年【アメリカの独立】 252
  独立戦争―追い込まれたワシントン 252
  【設問22】主力をたたくか、予備を攻撃するか 255
  消えかかっていた独立の火が再びともった 258
 ▼アウステルリッツの戦い―一八〇五年【フランスvs.オーストリア・ロシア同盟軍】 261
  天才には理由がある―ナポレオンの登場 261
  【設問23】敵を誘惑して戦機を見出せ! 264
  敵に戦闘力の逐次投入をさせよ 269
 ▼イエナの戦い―一八〇六年【フランスvs.プロシャ同盟軍】 274
  ナポレオンの「菱形陣形」 274
  【設問24】戦機を最優先せよ 276
  「名将ナポレオン」を実証した戦闘 281
 ▼七日間の戦い―一八六二年【アメリカ南軍vs.北軍】 286
  南北戦争―南軍の名将ボビー・リー 286
  【設問25】決勝点における相対戦力の優越とは 289
  友軍との連携が勝敗を分ける 292
 ▼チャンセラーズヴィルの戦い―一八六三年【アメリカ南軍vs.北軍】 297
  【設問26】正面に敵、側背にも敵、どうする? 297
  奴隷解放リンカーンの巧みな口実だった 302
                      ◎コラム6 戦術とは仕掛けである 303


終章 戦術は思考の新たな扉を開く―考える力を広げて活用するために
 「将棋の駒」に選択肢はないのか 306
 自分の「倉庫」にたくわえられたもの 308
 賢者は人の経験を利用する 310
 標準や基準どおりに仕事すれば敗北する 312
 教えられない「最後の一〇分の一」 315