いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「部活アンソロジー2 「春」」(ファミ通文庫)

部活アンソロジー2 「春」 (ファミ通文庫)
部活アンソロジー2 「春」 (ファミ通文庫)

窓の向こうの美しいものを見守る共犯関係の二人を描く、野村美月『鑑賞部の不埒な倫理』、日日日『根暗男子のバスケットボール』、田尾典丈『インセンシティ部』、田口仙年堂『輝け、モ部! -Flash mob-』、岡本タクヤ『僕たちの部活動はまだ始まったばかりだ!』のWEB掲載作に文庫『僕学』に繋がる掌編、石川博品『地下迷宮の帰宅部』を加えた全七篇でお贈りする、努力と情熱の先にある何かが垣間見える部活エピソード集第2弾!


部活を題材にしたアンソロジーその2。
先月発売の「青」に比べるとカオス度高し。
好きな順番は
1.地下迷宮の帰宅部 2.インセンシティ部 3.根暗男子のバスケットボール




鑑賞部の不埒な倫理 野村美月
部活:鑑賞部
好きな人を遠くから見守るだけかと思いきや、妄想が酷かったw(当然誉め言葉
十分にストーカー思考で十二分に変態だよ、このドSどもが!
でも、二人に芽生えた友情とオチのままならなさは青春っぽくて好き。



根暗男子のバスケットボール 日日日
部活:バスケ部
これぞ直球勝負。二軍の下剋上という燃えるスポ根要素に、真面目なバスケ描写、そして甘酸っぱい初心な恋愛。
部活に求めるものがここに全部詰まっている。



インセンシティ部 田尾典丈
部活:恋愛お悩み相談をする部活
三つあるうちの一つ目の相談から先の展開がバレバレなのだが、恐らくそれこそが狙い。
先が分かっているからこそ主人公の放つ壮大なブーメラン台詞に笑わずにはいられない。
間違いなく一番笑った。



輝け、モ部 ―Flash mob― 田口仙年堂
部活:モブ役を役割とする部活
驚愕の情報収集能力と、どーしょもない活動内容。どうしてこうなった?w



僕たちの部活動はまだ始まったばかりだ! 岡本タクヤ
部活:帰宅部
地下に蔓延る裏部活をぶっ潰していく話。昭和のギャグマンガのノリ。カオス過ぎてツッコミ疲れる。
ただ最後が変に青春ぽいのが微妙。そのままの勢いで最後まで突っ走って欲しかった。



地下迷宮の帰宅部 石川博品
部活:帰宅部(一応)
ファンタジー?部活は?と思わせておいて、その部活を使って上手く立ち回ったのに感心していたところに、このオチである。
なんだこの喪失感。この話だけでなく、これまでの話の全てを攫っていった感じ。恐るべし石川博品