じじぃの「右脳と左脳を切断・不思議な現象・分離脳のパラドックス!逆説の雑学」

【ゆっくり解説】右脳と左脳を切断することにより起こる不可思議な現象-分離脳-

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Sb7rtvfDBtE


パーフィットの分離脳:脳を半分に分けたらどっちが本当の自分?(知的な小話61)

2019年5月10日 読むと賢くなるブログ
テクノロジーが発展し、完全な脳移植とクローンの技術が確立したとします。
そこで、あなたの脳を取り出して、2つに切り分け、それぞれをクローンの体に移植します。
2人のクローンが目覚めると2人ともがあなたの記憶を持っており、あなたの本来とるべき行動をとりました。
どちらが本当のあなたなのでしょうか?
https://tk252525.work/split-brain/

『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第1章 心を解き明かす より

分離脳のパラドックス

企業の階層構造にもとづく見方と脳の実際の構造とが異なるひとつの点は、分離脳の患者にかんする興味深い事例に見ることができる。脳が持つ変わった特徴のひとつは、左と右でふたつ、ほとんど同じ半分のもの――半球――があることだ。科学者は長いこと、脳は片方の半球をまるごと取り除いても機能するので、なぜそんな不必要な重複性を備えているのだろうかと不思議に思っていた。ふたつの企業の階層構造には、このような奇妙な特徴はない。また、もしもそれぞれの半球に意識があるとしたら、われわれはひとつの頭蓋のなかにふたつの意識の中枢を持っていることになるのだろうか?

カリフォルニア州工科大学のロジャー・W・スペリー博士は、ふたつの脳半球がそっくり同じコピーではなく、実は別々の仕事をしていることを明らかにした功績で、1981年にノーベル賞を受賞した。その成果は、神経科学の分野にセンセーションを巻き起こした(と同時に、左脳・右脳の2分法を人生に宛てはめて語るうさん臭い自己啓発書のささやかなブームも生み出した)。

スペリーは、癇癪患者の治療をおこなっていた。癇癪患者は時として大発作を起こし、それは左右の半球間におけるフィードバックループの暴走が原因であることが多い。マイクがフィードバックループによって耳をつんざくばかりのハウリングを起こすような、こうした発作は、命にかかわることもある。そこでスペリーは、ふたつの脳半球をつなぐ脳梁(のうりょう)の切断を試みた。これにより、両半径はもはややりとりができなくなり、身体の右側と左側の情報を共有できなくなった。これでたいていフィードバックループが停止し発作が治まった。
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リタ・カーターは書いている。「これが意味する可能性には度肝を抜かれる。われわれは皆、頭蓋のなかに、自分だと思っている日ごろの存在とはまるで違う人格や望みや自己認識を持つ、物言わぬ囚人を抱えているかもしれないのだ」

もしかしたら、「あいつのなかには、自由になりたがっている奴がひそんでいる」というよく聞く言葉に真実があるのかもしれない。つまり、ふたつの脳半球が別々の考えを抱くこともありうるというわけだ。じっさい、脳神経学者のV・S・ラマチャンドランは、神を信じるかと訊かれると自分は無神論者だと答えるが、右脳は神を信じると表明するような、ひとりの分離脳患者について紹介している。どうやら、ひとつの脳にふたつの正反対の宗教的観念が共存することは可能らしい。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「分離脳のパラドックス」があった。

「科学者は長いこと、脳は片方の半球をまるごと取り除いても機能するので、なぜそんな不必要な重複性を備えているのだろうかと不思議に思っていた。ふたつの企業の階層構造には、このような奇妙な特徴はない。また、もしもそれぞれの半球に意識があるとしたら、われわれはひとつの頭蓋のなかにふたつの意識の中枢を持っていることになるのだろうか?」

右脳と左脳では、その役割分担が違うことが明らかとなった。
ちなみに言語野は、右利きの人の多くは左脳にあるとされているが、左利きの人の一部では右脳にあるともいわれている。
左脳は、言語や計算などの論理的な部分を担当しているといわれ、右脳は、認知や創造などに関与しているとされている。

「つまり、ふたつの脳半球が別々の考えを抱くこともありうるというわけだ」

これを「分離脳のパラドックス」というらしい。

まあ、何かを決断するとき、「止めとけ」という自分がいる。

じじぃの「カオス・地球_310_白人がマイノリティになる日・第12章・未来のシナリオ」

米首都のモルモン教神殿、半世紀ぶりに一般公開(2022年4月撮影)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SBw0iiNGDVQ


モルモン教 (アメリカ生活・e-ニュース第15号)

モルモン教末日聖徒イエスキリスト教会)は、1827年、当時18歳のヴァージニア州の少年ジョセフ・スミス・ジュニアが、旧約、新約に続く、アメリカを舞台にした第3の聖書「モルモン書」を近所の丘で掘り出した事件から始まります。
信者はキリスト教信者の迫害を避け、ソルトレーク冬季五輪で有名なユタに集団移住しますが、1890年に神のお告げで一夫多妻制を廃止するまでユタ州は合衆国に編入を認められませんでした。今でも70%の州民はモルモン教徒です。優秀なビジネスマンも多く私も一緒に仕事をしましたが、モルモン教徒は、飲酒、喫煙ばかりかコーヒーやお茶などカフェイン飲料を禁じているので、お付き合いしているうちにすぐ分かります。信者の若者には世界各地への布教活動を勧めているので、日本語を覚えて日本でタレントになった人も大勢います。

アーミッシュは、中世風の地味な衣服を着て外出も馬車でお出かけという時代錯誤の生活をしています。
スイスで生まれた元祖バプティスト(=形だけの幼児洗礼を否定し自分の意思で再洗礼を受ける)の流れを汲むドイツ系の子孫で、ペンシルバニアオハイオに多く住んでいます。謙虚と平穏が美徳で、家でお祈りをするので教会はありません。電気など文明の利器を使わないのは、楽をして、村人が勤労により支え合う理想郷が失われないよう警戒してのことだとか...。ひっそりと暮らしているのですが、好奇心旺盛な観光客の餌食にされている村落もあるようです。
http://www.jlifeus.com/e-news/015/mormon.htm

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来

第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?

第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか? より

未来のシナリオ

非混血前の白人は、変化に取り残された田舎か東欧や、いくつかの緊密に結びついた離散ユダヤ人の間では生き残るかもしれない。だが、それが西洋の白人マジョリティ社会の結末なのだろうか? もちろん、未来のことはわからないと言われるだろう。それでも、社会科学で最も確実と思われる予測では、西洋では白人は減少するだけだという。だが、そうとは限らない。なぜその未来が不確実なのか理解するために、まずは蓋然性の低いシナリオを見て、それから実現可能性の高いシナリオを検証していこう。
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西洋の宗教離れの進行とともに、宗教復興はマジョリティの民族意識エスニシティ)にとって重要な意味ををもたなくなっている。というよりも、西洋が世俗化し、キリスト教以外の宗教マイノリティが信心深さを保っているため、問題となるのは、ポスト・キリスト教社会の世俗主義からその人々が際立っていることである。この場合、同化の手段は世俗化であり、これは非キリスト教のグループではその進行は遅いが、将来的にはその速度を増すだろう。世俗主義の時代においてマジョリティの民族意識の有無となるものは人種である。
2200年の欧州の姿を想像しようとするのなら、この主張は私たちの物語にとって重要なものになる。そこでは、混血の白人が優勢なグループとなっていて、博物館に並んだり映画のスクリーンで演じられている白人の原型は、依然として文化的な基準点となっているだろう。ウルトラナショナリスト[自国の発展を志向するナショナリズムが極端な形にまで推し進められた反動的国家・政治思想]の小集団は、かつて入れ墨をした部族のように、自らを四六しようとするのだろうか? そうでないにしても、明日の混血の親たち、特に女の子の親は、より白い肌を得るために胚を選別したり、胎児の遺伝子操作をおこなうのだろうか? これらの行為の累積的影響は、数世代で急速に社会の人種構成を変えうるのだろうか? 白人化は、非白人の存続を脅かすのだろうか?
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白人原理主義

2200年の西洋の混血の白人が、仮想現実や遺伝子工学を利用する可能性は低いだろう。
ではそれは、少数の特別な地域のみ、あるいはまったくの遺伝子の偶然でしか非混血の白人は生き残らないということだろうか? 必ずしもそうではない。拙著『信仰心の篤い人々が地球を受け継ぐのだろうか』で私が主張したのは、現代社会を拒否し、高い出生率で増加し。子孫を維持する宗教原理主義者たちの方法が、偶然にも、リベラルな社会で生き残るための最も着実な成功モデルであったということである。

彼らが寛大に扱われる限り、超正統派のユダヤ人、アーミッシュ、フッター派、伝統的メノナイト[質素な生活を送り、平和と非暴力を信条とする再洗礼派(アナパブテスト)の教会員]、レシターディウス・ルーテル派、正統主義のカルヴァン主義者、新カルヴァン主義のクイヴァーフル運動家、モルモン教徒などのグループは急激に拡大していくだろう。世界の人口の圧倒的多数を占めている、世俗もしくは中程度の進行をもつ人々は、少子化と人口減少の方向に向かっている。現在、移民は西洋の人口不足を補っているが、このペースが落ちれば、閉鎖的な原理主義者の出生率の優位性が決定的なものとなるだろう。

これらの産児増加提唱派の教派を動機づけているのは宗教だが、これの教派の信者はたまたま全員白人である。そのため、これらの教派は特定の時代や場所から運ばれた遺伝子の「タイムカプセル」だと言える。アーミッシュ、フッター派、伝統的メノナイトはドイツ系のグループで、その人数は近年数百人となっている。超正統派のユダヤ人は、主に東欧のアシュケナジムである。モルモン教徒はほとんどが英国系で、アメリカのアイルランド移民到来前のニューイングランドの民族分布を繁栄し、信者には英国系とスウェーデン系の改宗者の混血がいる。モルモン教の中心地のユタ州が、アメリカで最も民俗的にイングランド系の多い州であるのは不思議なことではない。クイヴァーフル運動は、新カルヴァン主義のために、避妊をせず、200年後にはその人口でアメリカを再び征服することを目指しているが、おそらく、これはアメリカのバイブルベルトにおいて、イングランド人、スコッツ・アイリッシュ、またはドイツ人の祖先をもつ白人が大多数を占めているためだろう。
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西洋で原理主義者の人口増加を最初に経験した国はイスラエルである。現在、超正統派はエルサレムを心配している。大きな変化がなければ、彼らの支配は今世紀末までに全イスラエルに及ぶだろう。大量の原理主義者の波は、2100年の終わりまでにはアメリカ中に拡がることになる。それが起これば、民族性や人種などという問題は消えていき、あらゆる背景をもつ世俗と穏健派の人々が結束し、原理主義的教派に反対するだろう。これは、イスラエルで「シヌイ」「イスラエル我が家」などの反ハレーディーム政党が目覚ましい成果を上げたことを見れば明らかであり、特にアラブ・ユダヤ間の紛争が鎮まっている期間には顕著である。

じじぃの「育児ネグレクト・孤独のパラドックス?逆説の雑学」

The SHOCKING Secret of the Greatest Jewish HERETIC

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NE9J85FGOIo


[Old man reading Bible in wicker chair on farmhouse porch]

Library of Congress
https://www.loc.gov/item/2006675689/

地球ドラマチック 「友情ってなに? ~科学でひもとく友人関係~」

2024年4月13日 NHK
“友情”は何のために、どのように生まれるのか。脳の反応から将来の友だちを予測する研究や、ヒトと犬の間の絆を確かめる実験など。そのメカニズムを科学的に解明していく
友情の起源はサルを研究すればわかる?ヒトと犬の間に友情は存在するの?脳の反応を見れば将来の友人が予測できる?誰もが日常生活で恩恵をうけている“友情”について、いまさまざまな研究が行われている。アカゲザルの交友範囲の広さはその個体の生存率と深く関連しイルカのオス同士の深い友情は繁殖の成功率とつながっていた。人や動物が社会の中で生きていくうえで大きなカギを握る友情。その秘密に迫る(カナダ 2023年)。

イルカは情報共有のためにさまざまな合図を使う。優れたコミュニケーション能力は、狩りをする時にも使われ、それぞれが役割を分担し効率よく魚を捕まえるという。
https://www.nhk.jp/p/dramatic/ts/QJ6V6KJ3VZ/episode/te/9W23P25GZR/

『禁断の雑学 - 誰もが口を閉ざす衝撃の雑学250』

黒い雑学研究会 彩図社 2018年発行

人は無関心に耐えられない ネグレクト実験

現代社会で大きな問題になっているのが、静かな虐待といわれている「ネグレクト」。
完全な育児放棄なら、子どもが餓死・病死する場合もあるので、発覚することも少なくない。しかし、最低限の世話はするが小どもの言動に無関心となる「情緒ネグレクト」だと、発覚しにくい。

その程度で子どもに悪影響はないと思われることもあるが、これが子どもに甚大な被害を与えることを実験で証明した人物がいる。12世紀の神聖ローマ帝国を統治した名君、フリードリヒ2世だ。

フリードリヒは「教育されない赤ん坊は何語を話すようになるのか」という疑問を解決するため、家臣に命じて帝国中から赤ん坊を集めさせた。万一の事態があってもいいよう、赤ん坊は全て孤児だったという。

そして養育係には「常に無表情で接すること」「赤ん坊に声をかけてはいけない」の2つを徹底させた。

実験の結果、なんと赤ん坊は言葉を話す前に全員が死亡という最悪の結果が出た。赤ん坊の世話は行き届いていて、身体面では死亡する要素はなかったにもかかわらずだ。

赤ん坊達の死亡原因は長年謎とされてきたが、近年、さまざまな実験が行われ、その原因は過度のストレスによる病気の発症だったと考えられるようになっている。心の傷でも、人間は死に至りうるのである。

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じじぃの日記。

黒い雑学研究会『禁断の雑学』という本に「人は無関心に耐えられない ネグレクト実験」というのがあった。

「赤ん坊達の死亡原因は長年謎とされてきたが、近年、さまざまな実験が行われ、その原因は過度のストレスによる病気の発症だったと考えられるようになっている。心の傷でも、人間は死に至りうるのである」

4月13日、NHK 地球ドラマチック 「友情ってなに? ~科学でひもとく友人関係~」を観た。

アカゲザルやイルカは、仲間との共感を通して群れで行動する。

彼らは、情報を共感し合うことで繁殖の成功率とつながっていた。

人間の能力や性格は「遺伝」と「環境」が約50%ずつ影響しているらしい。

私の場合は、子どもの頃から1人でいることが多かった。誰かと共感するということがほとんどなかった。

先日、図書館で本巡りをしていたら、印象に残る本があった。

本の口絵に籐の椅子に老人が座って本を読んでいる写真が載っていた。

写真の人物は、本を書いた著者本人だ。

見た目は孤独な老人に見える。

孤独のパラドックス

しかし、私は1人でいても、本が傍にあればそれで幸せであった。

世間では、1人でいるのは寂しい人生を送っていると思われているらしい。

そうかもしれない。

じじぃの「カオス・地球_309_白人がマイノリティになる日・第11章・坩堝のなかの白人」

【世界の豆知識】人種のサラダボウル?!ニューヨーク(#367)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iET1mE7rCi8

アメリカは坩堝か、サラダボウルか?


アメリカが「人種のるつぼ」から「サラダボウル」に変わった理由

2023-06-12 ビジネス英語習得の本質

アメリカは多くの民族から成り立っています。
白人が60%強を占めるマジョリティですが、ヒスパニック、黒人、アジア系など多くの移民がアメリカで暮らしています。
このように、アメリカが多くの民族から成り立つ様子が、「人種のるつぼ(メルティングポット)」、「人種のサラダボウル」と、たとえられます。

以下で、「人種のるつぼ」、「人種のサラダボウル」が意味する違いについて説明します。
https://ushikubou.com/culture-america-meltingpot

ゲシュタルト法則

コトバンク より
心理現象は要素の総和からは説明しえない全体性をもつと同時に構造化されているとして,このような性質を〈ゲシュタルトGestalt〉と呼んだ。
そして構造化される法則〈ゲシュタルト法則〉を見出した。各要素はその全体性の中で説明されるのであって(部分の全体依存性),その逆ではない。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚

第11章……白人マジョリティの未来

第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第11章……白人マジョリティの未来 より

坩堝のなかの白人

西洋では白人が主流を定義しているため、白人のアイデンティティは独特なものではない。異国趣味と独自性が重んじられるなら、これは白人の拡大にとってマイナスに働くはずだ。しかし、異国のアイデンティティを求める人はごく一部だけである。たとえば、アメリカでは、白人は複数の欧州の血筋を引いていることも多い。なかにはイタリア人、アイルランド人、あるいはその他の欧州の血統の1つに帰属意識をもつ人もいるが、多くの人は自らを単に「白人」または「アメリカ人」と称している。白人やアメリカ人を自称する人は、アメリカ、特に田園地帯や南部に長い家族の歴史のある人であることが多い。英国系やアイルランド系という自己意識をのある人と比べ、彼らの政治的な考え方はかなりトランプよりである。その事実は両者のアメリカ居住期間の長さが同じでも変わらない。たとえば、リベラルなニューイングランドには、英国系やアイルランドという自己意識をもつ人が多く、その一方で、軟部に住む人は、彼らと同じ血統であっても自分を「アメリカ人」と呼ぶ傾向がある。

将来、これらの混血人種の人々は、同じように政治的な考えかたによって態度を変える可能性がある。たとえば、保守主義者や権威主義者は自分を白人とみなし。リベラルは自分の非欧州人あるいは先住民の伝統を誇示するようになるかもしれない。実際、マサチューセッツ州上院議員エリザベス・ウォーレンは、ドナルド・トランプに「ポカホンタス」と呼ばれた。ビル・クリントンは、証明書はないものの、自分のアイルランドの血統について盛んに述べていた。歴史的に、英国系のリベラルと南北戦争以前のアメリカ北部の「ヤンキー」は、アングロサクソン人のアイデンティティをもち、また、英国系の保守主義者や南部のアメリカ人はノルマン騎士のアイデンティティをもっていた。
フランスでは、リベラルがガリア人の、保守主義者はフランク人の血を引くと語ってきた。ロシアやハンガリーでは、戦争によって、自らの「東洋の」非欧州系の大草原地帯の起源を好む伝統主義者と、「西洋の」欧州の血統を重視する現代現代主義者が戦った。国際的な背景もまた重要となる。権力、富、数の上で非西洋諸国は次第に有利となり、西洋の白人は、まさに今日のイスラム世界に住むエリートのように、追い詰められ、不安を感じるようになるかもしれない。それは、一部欧州人の血を引く人々に、他の血統の選択を促すことにもなる。

欧州で、将来、人種ではなく名前や文化が白人を定義する識別指標となるならば、西洋の白人マジョリティがⅣ利益を得るのは同化だけからになるだろう。白人あるいは一部白人の外見は十分な識別指標である一方で、多くの潜在的な構成韻には身体的にはっきりした違いはなくなるだろう。現在も高い地位を保つ建国集団として、セネガルではウォロフ人のような中核となるエスニック集団に向かって同化するように、同化は「白人」に近づく方向でおこなわれるはずである。一方、カリブ諸国、南アフリカモーリシャス諸島の白人の間で慣習となっているように、異人種間結婚に対して集団の境界が閉鎖され、混血人種の子孫が除外される場合は、それはうまくは働かない。西洋の白人は、異人種間結婚に対する開放性という点で、解放的クレオール西インド諸島中南米などで生まれ育ったヨーロッパ人。 特にスペイン人、フランス人をいう)やアフリカ人と、閉鎖的なアジア人との中間に位置している。そうだとしても、伝統的ば白人の外見が依然として集団の一員であるための必須条件である場合には、色の認識が白人の吸収力の可能性に制約を課している。その一方で、もし「白人」の民族性(エスニシティ)が、たとえ白人に見えなくても、欧州人の血統に帰属意識をもつ混血の人々に開かれているとしたら、「白人」は明らかなマジョリティでありつづけるはずだ。

坩堝かモザイクか?

西洋が坩堝の方向に向かうとしたら、その世界に同化する人々は、確立されたエスニック集団の周りに自分を位置づけるのだろうか、それとも新たなハイブリッドを形成するのだろうか?
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将来、北米やオーストラリア、ニュージーランドの混血の白人が、自分たちの出目について考える時、彼らは、祖先の神話としてアングロ・ヨーロッパやアフリカや先住民の血統が組み合わさっていることを重視する、メティ(カナダ・インディアンとヨーロッパ人の混血子孫)、メスティーソインディオとスペイン系白人との混血住民)、クレオールのグループに変化するかもしれない。この過程は、ゲシュタルトの法則のように、微々たる新しい要素や特色のない要素は排除するものである。植民者社会の未来の潜在的マジョリティのプロトタイプは、カナダのメティ、ニュージーランドマオリと英国系の混血集団、または欧州人とネイティヴ・インディアンとアフリカ人の血統の結合したアメリカのメランジョンのなかに見出すことができる。

ハイブリッドのグループの誕生は、新世界ではありうるが、欧州ではありそうにない。未来の様々な色合いの「白人」欧州人は自分の祖先をフランスのガリア人やガロ・ローマ人のような欧州人の祖先のなかから選ぶ可能性がある一方、非欧州人の血統はあまりにも新しいために、意味やルーツの意識を求める人々に象徴的な資産を与えることができないからである。「白人」の実際の祖先は、もっぱら欧州の血統を重視するはずである。というのも、これらの白人は身体的には次第に独自性を失っていくが、それでも依然として自らを他の人種から区別する方法は必要だからである。そのためには、他の人々と比べて若干白色人種らしく見えるだけで十分だ。

じじぃの「世界一幸せな国の幸福度・ランキング・GNHパラドックス!逆説の雑学」

Gross National Happiness (GNH) | Domains and Indicators of GNH

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=E-gP7AkzWtM

世界幸福度ランキング2020-2022


2023年世界幸福度ランキング 1位は6年連続フィンランド、日本は47位。信頼の重要性増す

2023.03.30 やまとごころ.jp

グラフの各色は以下を表している。
青=国民一人当たりのGDP
緑=社会支援(「困った時に助けてくれるものや信頼できる人がいるか」という問いへの回答)
黄緑=健康寿命
黄=人生選択の自由(「人生で何をするか選択の自由があるか」への回答)
赤(深紅)=寛容さ(「過去1ヵ国にいくら慈善団体に寄付したか」への回答のGDPに対する度合い)
ピンク=汚職や腐敗の認知(「あなたの国やビジネスに汚職・腐敗が蔓延しているか」への回答)
紫=人生評価/主観満足度。世界最低の国の平均値と3年間の調査で出た各国の残余値を合計したもので、点数が大きいほどランキングが高くなっている。
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/49773/

池上彰のニュースそうだったのか!!

2024年4月20日 テレビ朝日
【司会】池上彰宇賀なつみ 【ゲスト】カズレーザー松嶋尚美松村沙友理、その他

池上流ニューストリビア・大連発!! 日本ではあまり報道されないこと

「インターネットの普及で幸せじゃなくなった国がある!?
その国はブータン
中国とインドに挟まれた南アジアの国ブータンは、2011年に国王夫妻が来日して話題となり、かつて国民の97%が「幸せ」と答え、世界一幸福な国として有名になった。

だが最近、外の世界の影響が徐々にブータン80万の人々に根付き始めている。

ブータンは2019年度版で156ヵ国中95位にとどまって以来、このランキングには登場していない。

10代の若者たちはジーンズにイギリスのサッカーチームのユニフォームを着て、携帯電話をいじったり、インターネットカフェでゲームをして多くの時間を過ごす。
大人たちはカラオケ・バーやビリヤード場で夜を過ごしている。
一方で、工場や建設現場が町のあちこちに現れ、伝統文化を守ってきた人々に現代社会の問題が持ち込まれようとしている。

GNHパラドックス

池上彰、「2000年代、ブータンはGNH(国民総幸福量)で世界一になった。その頃ブータンでは電気も普及していない国だった。その後インターネットが普及し、よその国と比較ようになった。あまりよその国と比較するというのも良くないかもしれない」
https://www.tv-asahi.co.jp/ikegami-news/

『養老先生と遊ぶ』

養老孟司/監修 新潮ムック 2005年発行
あるがままのブータン 
養老先生の旅は、虫と森が2大テーマである。ブータンは両方を兼ね備えた「楽園」。北はヒマラヤ、南は亜熱帯属する豊かな植生と自然を誇る。

「単調な生物の分布には、貧しさを感じませんか? 子どものときから、私は整理されたものが好きじゃないんです。ブータンは手を加えようとしていない。ブータンへ行かないのはバカみたいなもんですよ。

ヒマラヤ山脈もある山国だから、シワを伸ばして平らにしたら、そうとうな面積になると思う。ブラック・マウンテンという連峰があります。ここまで大きな範囲で、原生林を一望した経験はありませんでした。壮大、荘厳・・・どう言ったらいいか。これほど言葉の限界を感じることはそうありません」

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今日(日本時間 4月24日)、ドジャース大谷選手のHR177 ロケット弾が出ました!

米国首都ワシントンDCでの試合で、ネット上で話題となったのが相手ナショナルズのユニホーム。
グレー基調に桜の刺しゅうがほどこされている“桜ユニホーム”に多くの声が寄せられた。

【海外の反応】大谷翔平、2戦連発となる第6号は時速190km越えのドジャース史上最速弾!!「ロケットだ!」と実況も絶叫、全米を驚嘆させた脅威のパワーにドジャースファンも仰天。

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FDubJNTbkDE

じじぃの「カオス・地球_308_白人がマイノリティになる日・第10章・異人種間結婚」

Loving Official Trailer 1 (2016) - Joel Edgerton Movie

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zRXuCY7tRgk

異人種間結婚


6月12日は 『Loving Day』 アメリカで異人種間結婚が合法化された歴史的な日

junglecity.com
6月12日は『Loving Day』。1967年に米国最高裁判所が異人種間の結婚を禁じる州法を違憲とする判断を示し、全米で異人種間結婚が合法化されたことを記念する日です。

そのきっかけとなったのは、白人のリチャード・ラヴィングさんと黒人のミルドレッド・ジェターさんという、バージニア州に住んでいた夫婦による訴えでした。
https://www.junglecity.com/news/loving-day-interracial-marriage-became-legal-2/#google_vignette

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加

第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚

第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚 より

異人種間結婚

白人の異人種間結婚率はほぼ確実に上昇している。この多くは数学の方式に則ったものである。つまり人口に占めるマイノリティの割合が増大するにつれ、白人の個人的な交際範囲に占めるマイノリティの割合も増大するということだ。こうして、彼らは異なる人種的背景をもつ友人や仲間を作るようになる。たとえば、非白人が99%を占め、白人が1%であるジャマイカのような国を想像してほしい。無作為に伴侶を見つけるとすれば、白人は99%の確率で異なる人種の相手と結婚することになる。これを裏返すと、黒人が大部分を占めるジャマイカでは、黒人が異なる人種の相手と結婚する確率はわずか1%だということである。小集団は、外部の人との結婚を禁じる規則を定めなければ、集団の解体を受け入れるしかないというジレンマに直面している。パーシ人は外部の人とは結婚しないとされているが、ごくわずかだが外部の人と結婚する人がいる。彼らにはそうするより他ないからだ。

他のすべての条件が同じなら、白人の異人種間結婚率は高くなり、白人の少ない環境ではマイノリティの隣人や友人をもつ機会が多くなっていくはずである。しかし、事情によっては異なる集団の間での結婚はタブーであるため、状況が常に同じとは限らない。カーストや人種のように、宗教は異集団間結婚の障壁となることがある。
インドでは、実際にヒンドゥー教徒ムスリムの間で宗教を超えた結婚はおこなわれないし、異なるカースト間の結婚には制限がある。北アイルランドでは、カトリックの相手と結婚するプロ手スタントはコミュニティから激しい非難を受ける。カリブ海地域やモーリシャス南アフリカでは、白人は人口に占める割合が小さいにもかかわらず、異なる人種の相手と結婚することはほとんどなく、緊密に結びついたマイノリティとなっている。ラテンアメリカサブサハラアフリカなどの世界の他の国々では、異民族との結婚や同化はより一般的であり、民族境界は比較的緩い。集団の境界の厳密さの決定には、祖先の規則が大きな役割を果たしている。
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民族混交の地理学

当然のことながら、混血人種の人々は、多様性に富む都市の、そのなかでも人種的に統合された地域に住む傾向がある。混血人種の人と恋愛もしくは家族関係にある白人だけとそのような関係にある白人と比べ、多様性に富む地域や、「マジョリティ・マイノリティ・エリア」にとどまる傾向が非常に強い。
2001年から2011年の期間で比較すると、2001年に異人種間結婚をしていたり、混血民族の家庭に住んでいた白人の英国人は、他の白人の英国人と比べて多様性に富む行政区から転出することが非常に少なく、それらの区に転入することが多かった。2011年のONS LSによると、ロンドンに住む白人の英国人の17%と、ロンドン以外のイングランドウェールズの「マジョリティ・マイノリティ・エリア」である区に住む白人の12%が混血民族の毛帝に住んでいた。そのほとんどは、自分とは違う民族(欧州のグループを含む)の人とパートナーになっていた。2991年から2011年の間に転居した混血民族の家庭の白人の英国人と比べ、白人の英国人の多い地域を選ぶ割合が著しく小さかったことは大きな意味をもつ。様々な地域と個人の影響を統制すると、その力の強さは、白人の英国人であることによる相殺する力(これによって個人がより白人の多い地域に引き寄せられる)の3分の1あるいは半分となっていた。このことは、混血人種の家庭が強力な統合力を及ぼして、白人が超多様な地域を離れたり避けたりするのを妨いでいることを示している。

今後、大都市圏の多様性の増大に伴い、超多様な地域にとどまっている白人の大きな割合が、人種の混交した恋愛もしくは家族関係をもつようになるだろう。アメリカの都市の非常に多様性の高い地域では、白人の人口の半分が、異人種から成る家庭に住んでいる。白人は白人の多い白人の多い地域に引き寄せられるが、多くの人は、仕事のために都市部に住む必要がある。また、民族変化の速さのために、白人の住み分けによるマイノリティの割合の低下よりもはるかに速い速度で、白人の生活環境に暮らすマイノリティの割合が増大している。アメリカでは、都市部の白人は、10年前と比べてマイノリティとの接触がはるかに多くなっている。ということは、異人種間で友情が育ったり、結婚したりしやすいということだ。もちろん、居住地域の多様性が高まれば高まるほど、白人の友情のネットワークは、予想される無作為な友情を基礎としたものからは大きく外れていく。
同じことが伴侶の選択にも言える。2011年のONS LSによると、英国では、白人の英国人が住民のわずか3分の1という最も多様性の高い統計区でも、白人の英国人の88%が単一民族の家庭で暮らしている。つまり、彼らの伴侶の選択は、主に白人居住地域に住む白人と比べても、自分の居住地域の特徴を示すとは言えないものとなっている。それでもなお、多様性に富む環境にも、ある程度、白人住民が伴侶を見つける可能性が存在する。そのため、マイノリティとの異人種間結婚率は、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、アムステルダムのような移民の玄関口となる都市で最も高くなると予測される。

じじぃの「スマートマウス・認知症・記憶のパラドックス!逆説の雑学」

『八重子のハミング』映画オリジナル予告編(100秒ver.)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YO_m9bwdXFo

八重子のハミング


『八重子のハミング』 - 映画.com

https://eiga.com/movie/85043/

人生の幸福度は「82歳以上」が最も高い?高齢者ほど幸せな「エイジングパラドックス」が起きるワケ(和田 秀樹)

マネー現代 | 講談社
●世界で研究が進む「エイジングパラドックス
このように、年をとればとるほど幸福感が高まることを、心理学の世界では「エイジングパラドックス」(加齢の逆説)と呼んでいます。
https://gendai.media/articles/-/108460?page=3

『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第5章 記憶や思考のオーダーメード より

スマートマウス

1999年、プリンストン大学とMITとワシントン大学の研究者からなるジョー・チェン博士のチームが、1個の遺伝子を新たに加えるだけで、マウスの記憶と能力が高められることを発見した。この「スマートマウス」は、迷路を速く抜けられ、出来事をよく覚えられ、多種多様なテストでほかのマウスより良い成績を残した。チームはこれを「ドギー・ハウザー」というてれびドラマに登場する神道の主人公にちなんだ名前だ。

チェンはまず、NR2B遺伝子を調べた。この遺伝子は、出来事同士を結びつける脳の能力をコントロールするスイッチの役目を果たす(これがわかっているのは、この遺伝子を働かなくするとマウスがその能力を失うためだ)。あらゆる学習は、NR2Bを利用している。この遺伝子が、記憶にかかわる海馬の細胞間のやりとりをコントロールするからである。最初にチェンが、NR2Bを欠いたマウスの系統を作ると、そのマウスは記憶障害や学習障害を示した。次に彼は、NR2Bを通常より多く持つマウスの系統を作り、この新しいマウスがほかより優れた心的能力を持つことを見出した。底の浅い容器に水をため、そこにマウスを入れて無理に泳がせると、無理に泳がせると、通常のマウスはランダムに泳ぎまわった。実は水面下に台が隠れているのは数日前には知っていたのだが、それを忘れてしまっていたのだ。ところがスマートマウスは、一度で隠れた台のところへ直行した。

それ以来、ほかの研究室でもこうした結果が確かめられ、さらにスマートな(賢い)系統のマウスが作られている。2009年、チェンはさらに別の系統のスマートマウスができたことを告げる論文を公表した。このスマートマウスの名を「ホビー・J」という(中国の漫画のキャラクターにちなむ)。
ホビー・Jは、新しい事実(おもちゃの場所など)を、それまで一番スマートと考えられていた遺伝子組み換えマウスの系統より3倍も長く覚えていられた。「これは、NR2Bが記憶形成の普遍的なスイッチだという考えを補強するものです」とチェンは述べている。また大学院生のワン・デヘンは、「まるで、マイケル・ジョーダンをスーパー・マイケル・ジョーダンにするようなものですよ」と言った。
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一部の系統のスマートマウスが、通常のマウスに比べて臆病であることも指摘しておかなければなるまい。記憶力がありすぎると、失敗や苦痛もすべて忘れられないので、もしかすると及び腰になってしまうのではないか、と言う人もいる。そうならば、記憶力がありうるのは不利になりうるのだ。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「スマートマウス」があった。

スマートマウスとは、マウスに遺伝子操作を施すことによって記憶能力が著しく高められたマウスのことだ。

陽信孝著『八重子のハミング』という本にこんなことが書かれていた。

若年性アルツハイマー病になった妻を、夫が12年間介護する闘病生活を書いた本だ。
奥さんは20歳で教職に就き、約30年間務めた。
そんな知的な仕事をしてきた人が、アルツハイマー病になるというのも不思議な感じがする。
排泄なんかで、粗相するようになっても、昔聴いた音楽のメロディーを口ずさむのだそうだ。

「記憶力がありすぎると、失敗や苦痛もすべて忘れられないので、もしかすると及び腰になってしまうのではないか、と言う人もいる。そうならば、記憶力がありうるのは不利になりうるのだ」

老人力」という言葉がある。

年取ってボケても、老人力(エイジングパラドックス)でカバーできればいいなあ。