文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

櫻井よしこと田久保忠衛は、「ネット右翼」以下の読書量なのか?私見によれば、「ネット右翼」の特質は、読書・研究への固執より、固定観念としての思想やイデオロギーへの固執というところにある。櫻井よしこや田久保忠衛も、偏狭な固定観念があり、それが読書や研究より優先する。つまり、「ネット右翼」は、読むべき本も読まないで、古い固定観念やイデオロギーを喚き立てるのである。昔の左翼もそうだったが、今の保守・右翼と称する連中もそうだ。

dokuhebiniki2015-05-26




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櫻井よしこ田久保忠衛の対談集『国家の目醒め』を読んでみると、二人が、読むべき本は読んで、読んでいないらしいことが分かる。たとえば、「昭和天皇」や「A級戦犯合祀問題」「沖縄問題」「安保条約問題」などに関しては、これまで知れ渡った「通説」と、それを批判したり書きけえたりするような新しい「研究」がある。


たとえば、豊下樽彦に『安保条約の成立』(岩波新書)いう本がある。「昭和天皇」や「A級戦犯合祀問題」「沖縄問題」「安保条約問題」などに関しては、必読文献だろう。この本を読まずに、あるいはこの本の存在を知らずに、議論することは、「ネット右翼」以下と言うべきだろう。


櫻井よしこ田久保忠衛は、明らかに「ネット右翼」以下の読書量だ。豊下樽彦に『安保条約の成立』(岩波新書)を読んでいない。「自信満々」の議論を展開しているが、無知無学の上に成立する「自信満々」の議論である。公開された最新資料や文献などにも無関心なのだろう。


櫻井よしこ田久保忠衛らのお友達である中西輝政が、「この国が亡びるとしたら、それは情報(インテリジェンス)の不備によってであろう。それほど、この国は情報亡国の危機に立っているのである。」(『情報亡国の危機』)といっているが、「情報亡国の危機に立っている」のは、必読文献としての本も読まない「お前たち」だろう、と思うこの頃である。


たとえば、櫻井よしこ田久保忠衛中西輝政等は、三人とも、昭和天皇東条英機を批判するがない、故に、昭和天皇靖国参拝拒否は「A級戦犯合祀」が理由だ、と記した「富田メモ」の真実性も信用できないと、確信しているようだ。櫻井よしこの『右翼」以下ということだろう。異形の大国と 中国』に、田久保忠衛中西輝政も登場するが、談話とはいえ、そう語っている。


つまり、櫻井よしこだけではなく、田久保忠衛中西輝政も、豊下樽彦の論考や書籍を読んでいないということだ。櫻井よしこ等は、彼等の仲間である似非保守論壇の面々の書いたものしか読んでいないということだ。「ネット右翼」の連中と同じか、もしくは、「ネット右翼」以下ということだろう。


未だに、「マッカーサー回想記」の「天皇記述」を信じているのだろう。笑うべし。櫻井よしこの『異形の大国 中国』から。

日本が占領されたとき、昭和天皇マッカーサーに、全責任は自分にありと言って、日本国と国民を守ろうとした。マッカーサー重光葵外相に感動して伝えた天皇のお言葉は次のようなものだった。



「私は日本の戦争遂行に伴ういかなることにもまた事件にも全責任をとります。また私は日本の名においてなされたすべての軍事指揮官、軍人および政治家の行為に対しても直接に責任を負います。自分自身の運命について貴下の判断が如何様のものであろうとも、それは自分には問題でない。構わず総ての事を進めていただきたい。私は全責任を負います」



決して他人に責任転嫁されない姿勢に感動するのはひとりマッカーサーだけではないだろう。このような天皇を守り通したのが、“A級戦犯”とされた人々、就中、東条だった。



東条は極東軍事裁判で日本を犯罪国家として裁いたキーナン検事に、最初は「日本国の臣民(自分)が陛下のご意思に反してかれこれすることはありえぬことであります」と答えた。昭和天皇は「彼(東条)程朕の意見を直ちに実行したものはない」と語っているが、東条の証言はまさに真実そのものだっただろう。しかし、次の法廷で東条は「(天皇は)私の進言、統帥部その他責任者の進言によって、しぶしぶ(戦争に)ご同意になった」と述べて、証言を変えたのだ。


国際政治の専門家、京都大学教授の中西輝政氏は、

「東条、或いは広田弘毅外相のように天皇の身代わりになって処刑台に立った人々が靖国神社に祀られることに関して昭和天皇が抵抗感をお持ちなわけがありません。もし、お持ちなら、それは人の道に反します。東条も広田も平沼騏一郎も皆、開戦に反対でした。富田メモから“A級戦犯”全てについて天皇が不快に思っていたと結論づけるのは、したがって不完全な解釈だと思います」と語る。

昭和天皇がいかにこの国の基本を守ろうとしたかを知れば、部分的に公表された富田メモの中の片言隻語をひとり歩きさせることには、慎重でなければならない。

(櫻井よしこ『異形の大国 中国』)


(続く)




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