善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第四十五節

善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第四十五節



質問します。
釈尊がこの世にお出ましになったのは、五濁の凡夫を救おうとするためです。つまり慈悲の心で、十善戒に反する悪業は三途の苦しみの結果を招く原因だということを明らかに示されて、平等の智慧から、人間や神々を回心させて阿弥陀如来の浄土に往生できるように理解させるためでした。
さまざまなお経には、速やかに悟りに入るための教えははっきりとした文章で記されています。いまもしある人がこの教えを公然と信じずに、お互いに誹謗し合いののしりあうならば、この人がこの人生や死後にどれほどの罪の報いを受けるかわかりません。
詳しく仏教の経典を引用して、そうした人々のために証明し、悔い改めるようにさせ、大乗仏教を信じさせ、回心させて浄土に往生させて、人々のために恵みを与えてください。


答えます。仏の経典によって答えるならば、それらの悪人については上記の五種類の悪い性質の人々についてのくだりですでに説明し終わりました。いまは直接仏教の経典を引用して明らかな証明をしましょう。
『十往生経』には以下のような意味のことが説かれています。
「仏は、山海慧菩薩に告げられました。「あなたはいま生きとし生けるものを救うために、ぜひともこの経典を受け入れて保つべきです。」と。
仏は、また山海慧菩薩に告げられました。「この経典を「阿弥陀如来の御姿を観想して解脱を正しく念じ集中する経典」(観阿弥陀仏色身正念解脱三昧経)と呼びます。また「さまざまな輪廻の中で苦しんでいる生きとし生けるものを救う経典」(度諸有流生死八難有縁衆生経)と呼びます。このように受けとめ、受けいれて保つべきです。まだ念仏に集中することに縁がない人々のために、この経典は大いなる集中への門を開きます。この経典は生きとし生けるもののために地獄の門を閉じる働きをします。この経典は生きとし生けるもののために、人を害する悪い神々(悪神)を取り除き滅ぼして、東西南北どこに向かっても安らかに穏やかに暮らせるようにします。」と。
山海慧菩薩は、仏に申し上げました。「未来には多くの誹謗する人々がいることでしょう。そのような人には、後世においてどうすればいいのでしょうか。」と。
仏はおっしゃいました。「後世においてこの世界には、出家の男女、あるいは在家の男女で、この経典を読誦する人を見て、怒りの心を起こしたり、心に誹謗中傷を抱く人がいるかもしれません。
それらの人々は、誹謗正法の罪によって、今の身体に悪い重い病気にかかり、五体が満足にならなくなります。場合によっては、耳が聞こえなくなったり、目が見えなくなったり、身体の具合が悪くなったり、悪い霊や精神的な疾患や身体が冷えたり熱が出たり、水膨れができたり、意識を失ったりすることでしょう。このようなさまざまな悪く重い病気になり、何度も生まれ変わることでしょう。このような苦しみを受けて、坐っても寝ても安らかに過ごすことができません。大小便も通じなくなります。生きたいと思っても、死にたいと思っても、思う通りにはできません。この経典を誹謗したがために、受ける苦しみはこのようなものです。場合によっては死んだ後に地獄に堕ちて八万劫も長い間大きな苦しみ悩みを受け、百万回千万回生まれ変わっても水や食べ物の名前すら聞くことができないことでしょう。場合によっては、地獄から出ることができて、この人間のいる世界に生れてきたとしても、牛や馬や猪や羊となって、人のために殺されて大きな苦しみや悩みを受けることでしょう。この経典を誹謗したがためです。後で人間の身体を受けることができたとしても、いつも下賤な身分に生れて、百万回千万回生まれ変わっても自由を得ることができず、百万回千万回生まれ変わっても仏法僧の三宝の名前を見ることもないでしょう。この経典を誹謗したがために、苦しみを受けることはこのようなものです。以上の理由があるので、愚かな人々の中ではこの経典を説かないようにしなさい。正しい観想や正しい念仏のできるような人々には、後のためにこの教えを説きなさい。いずれにしろ、この経典を敬わないならば、地獄に堕ちます。いずれにしろ、この経典を敬い重んじるならば、正しい解脱を得て阿弥陀如来の浄土に往生します。」と。
今、この経典の文章を証拠として示しました。以上の理由によって知ることができます。仏の教えを謗ったり敬うことは、間違いなく仏の予言したとおりの損害や利益を受けます。よく理解すべきです。以上、詳しく先の質問に答え終わりました。

年間自殺者数、順調に減っている模様

■若者自殺、初の千人超え…学業不振・進路で悩み
(読売新聞 - 03月09日 10:56)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120309-OYT1T00332.htm



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警察庁は9日、昨年1年間の全国の自殺者が3万651人だったと発表した。前年を1039人(3・3%)下回った
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自殺者が減ってきているのは、良いことだと思う。
さまざまな分野や場所で、地道に努力している方々のおかげだろう。

あと、あらためて統計数字を見ていて驚くのは、男性は女性の二倍も自殺しているということ。


なかなか自殺しない、という点に関して言えば、男は女を見習った方がいいのかもしれない。


おそらく、男性の場合、社会的な地位や仕事や肩書や経済状態に自分を同一視しやすいので、そういうものが不如意になった時に、女性よりも簡単に落ち込んで、場合によっては死んでしまう場合が多いように思う。


女性でも仕事を大事にしている人は多々いるだろうけれど、男ほど不必要に自分を同一視しない場合が多いように思う。


また、女性の方がいったいに男性よりも社交的で、男性の方が孤立して、落ち込んだ時に支えがなく、簡単に自殺してしまうのかもしれない。


自殺するぐらいならば、適当に肩の力を抜いて、さまざまな人との縁や自然との出会いを大切にしていった方が、よほどいいような気もする。


どうせ、百年もしないうちに、人間はこの世を去っていかねばならない。
何も、意図的に早める必要はないかもしれない。


ただ、生きていることが苦しい時は、なかなかゆったりとした気持ちにはどうしてもなれないのかもしれない。
年間三万人も自殺者が出ることによる経済的な損失ははかりしれない。
国や自治体や民間をあげて、また各人身近なところから、とりあえず自分が自殺しないこと、そして自分の周りがそうならないように、お互いに自他を大切にして、地道に自殺者数を減らしていくことが大事なのかもしれない。


ニュースはどうも悪い部分しか見ないけれど、しかし、このまま順調にいけば、来年度は久々に三万人以下に自殺者数を減らすこともできるのではないだろうか。
そうなることが願われる。

「泥仏放語百カ条」

清水公照さんという、昔東大寺の管長をされていた方の『華厳経入門』という本を読んでいたら、「泥仏放語百カ条」という、清水さんが華厳の教えを聴いて味わう中で折々に感じて書きためたという言葉が書いてあり、とても面白かった。
素晴らしい内容と思う。
繰り返し読みたい。



「泥仏放語百カ条」




1、 えび天 天かす 衣のねうち ―伝統保持の身
2、 雨の日も 風の日にも
3、 預かりもんでっせ
4、 とんだり はねたり
5、 うらやむほうが うらやまれる身でっせ
6、 気にせんときやす
7、 おかげさんだ
8、 関中忙
9、 よろこんでもらうよろこび
10、 おこりなはんなや
11、 おつづけなさいませ
12、 足のうら
13、 見物の物は 物の物でもあろうが 人物の物でもありまっせな
14、 生きるよろこびが芯にあるのが仕事
15、 聞かしてもらいなはれや 如是我聞
16、 受け入れてもらってよろこび 見はなされて教わる
17、 時のうねりというもんは 面白い
18、 腹がへったら なんでもうまい
19、 黙笑
20、 ぼやきがとまると ぼけがまわる
21、 遅々歩 遅々景
22、 問題に遊べばよい
23、 泥仏放光
24、 うっかり忘れているところに秘の秘があるんや
25、 火網三昧
26、 いつも見えるところが一番大切なところでっせ
27、 歳のうち ぼちぼち やんなはい
28、 おかげはん 生き甲斐
29、 生かされてあればこそ
30、 面っろいとこを伸ばしたら ええというこっちゃないかな
31、 そやそやと にこにこしていると すんなりいくもんでっせ
32、 いきが出入りしているのにフイッと気がついたら はっと納得できましょうぜ
33、 気張るといけまへんな
34、 そうでない自分が そうでありたいと願ってやまない
35、 よろこばにゃ なりまへん
36、 私の生命が 実は私の手の届かぬもの
37、 人に言うとむつかしくなるが 観音さんにたのむと にこにこしてくださっている
38、 二十四時間のなかには ずいぶん余った時間のあるもんや
39、 鎮魂洗垢
40、 今日無事
41、 腹を減らしてかかれ
42、 閑とはさらっとというところ
43、 「あいつ」と「こいつ」を抜け出る「脱」
44、 種々修福
45、 晴れもええし 雨もええがよ
46、 無理無用
47、 のりこぼし これ開山の椿とか
48、 歩々堂々
49、 ふとした ご縁で
50、 輪廻に よろこぶ
51、 生きてて よかった
52、 ほほえみの ひととき
53、 もっともやな
54、 しっかりやりや
55、 どもならん
56、 しゃあないなあ
57、 ぼけにも風格
58、 そやな
59、 どやねん
60、 是にも非 非にも是
61、 なーんでもないことによ 気がついたら しめたもんや
62、 なんの なんの
63、 すべっても ころんでも
64、 芽は みんなあるんでっせ
65、 そのまま そのまま そのまーんま
66、 そやけんどなー ええとこ もっとるぜ
67、 いじけちゃつまらん はねかえせ
68、 よういうてくだはった
69、 せめて 一人前に(と思うてきましたよ)
70、 そもそもこの指がよ(言うこと きいてくれまへんわ)
71、 そこあんばいとな
72、 どうも どうも
73、 ようなったやないか
74、 大丈夫やよ
75、 心の心ちゅうところかな―心の師―
76、 くわえて はなすな
77、 肉が こころを深め 心が 肉を躍らせる
78、 自由って?歩いてみなはれ
79、 満たされたものの不満ほど 処理しにくいものはないわな
80、 ひとの世話は 世話できるだけを よろこんでいればいいのよ
81、 泥まみれの手で 飯くいなはれや
82、 じたばた するなや
83、 金は金 銀は銀 鉛は鉛
84、 杉の山 渓のあゆ
85、 私のもので 私でないものといえば 預かりもんじゃろうて
86、 これでええちゅうところはないもんや
87、 道ひと筋 それもええが 道草も亦「妙」
88、 許してもらわにゃ しようおまへん
89、 気がついてみりゃ なんでもないこと
90、 ええ日も ええかげんな日も
91、 吉上上―上上吉
92、 おれにも ええとこがあるがよ
93、 そやそや
94、 根よう 繰り返しとるうちに 自分というのが消えてゆく
95、 生きてあるのが まったく不思議
96、 下りは要慎
97、 今が最高 ああでもない―こうでもない―と来たんやもの 千年もよ 一万年もよ
98、 ぼやいて 結構 よろこんどる
99、 秘とは 常のことなり あんまり近くは見えんもんや
100、 自分に「な」
一、 なまけるな
一、 おこるな
一、 いばるな
一、 あせるな
一、 くさるな
一、 おごるな
右六条 自戒 自守



清水公照華厳経入門』(光文社)(138〜142頁)