塩析か変性か

10時半ごろから会社で仕事。昼食もおやつも買い込んで,会社にこもる。でも,最近は休日に出社しても,仕事があまりはかどらない。家では集中できないからと思っていたが,どこでも同じ。思ったほどにはできないのは,能力の問題かも。
ずっと根を詰めていると甘いものが欲しくなる。そんなときには甘いおやつ。このところわがブームであるクリームのかかったプリンを食べる。先週はクリームのかかったマロンプリンだったので,きょうはクリームのかかったマンゴプリン。
ひとさじすくって驚いた。クリームが固まっている。塩析だ。クリームはコロイド。たぶん親水コロイドだろうから,多量の電解液で沈殿する。この現象を塩析という。マンゴに含まれる酸で,クリームコロイドが塩析を起こしたのだろう。


いやちょっと待て。クリームを構成するタンパク質が,マンゴの酸で変性を起こして沈殿したとも考えられる。どっちなのだろうか。何だか,ごっちゃのような気もする。
こんなことで悩んでいたら,仕事ははかどらない。困ったものだ。

虫が部屋の中に

昨日の日曜日も一人で出社。そしてきょうも。明日からは打ち合わせや会議がいろいろあり,自分の仕事ができない。
出かけようと思っていたら,部屋に虫がいると。早速捕獲して撮影。


これって,何という虫だろうか。
元気なさそうだったが,撮影後に窓から投げたら,元気よく飛んでいってしまった。
でも,どこから入ったんだろうか。昨日,洗濯物を取り込むとき,虫の苦手な娘は,虫がついていたバスマットを片づけることができなかった。女房がそれを聞いてとりこんだ。虫がいると聞いていたのに,虫を払った記憶がないらしい。きっと,そのときだろう。

膨圧の実験に使った植物

水をやらないでいると植物はしおれる。そこに水をやってしばらくするとしゃきっとする。当たり前のことだが,ここに植物細胞の構造が関わっている。
水のような低張液がまわりにあると,浸透圧により低張液は細胞内に入りこもうとする。植物細胞では,細胞壁がそれを阻止する。ふくらむ細胞を細胞壁が抑えるのだ。この力が膨圧。膨圧があるから,植物はしゃきっとしている。
水をやるとしゃきっとする現象を観察,撮影するため,準備した植物。撮影後も部内に飾ってあった。それが先週の日曜日,一人で会社に出てきたときに咲いていた。最初の花は,わたし一人で見ることになった。そのときのようす。



「アレルギーとアトピー」

アレルギーとアトピー (ポピュラー・サイエンス)

アレルギーとアトピー (ポピュラー・サイエンス)

わかりやすくていねいにアレルギーの話がまとまっている。読みやすいだけでなく,著者自ら描いたと思われるイラストが,なかなかおもしろく,理解の助けにもなるだろう。

いつも通り,印象に残った内容を記録しておく。

好中球にはFcレセプターがある。抗原に結合していない抗体を,Fcレセプターで捕獲してしまったのでは,抗体の働きを妨害するので,好中球のFcレセプターは,抗原に結合した抗体のFc部をつかまえる。そして,そのもとにいる異物を食作用で分解する。

ヘルパーT細胞には,Th1細胞とTh2細胞の2種類がある。Th1細胞は,インターフェロンγやIL-2を放出し,おもにキラーT細胞に働きかける。 Th2細胞は,IL-4やIL-10を放出し,おもにB細胞に働きかける。そして,Th1細胞とTh2細胞は互いに牽制し合っている。

好中球はIgGのFcレセプターを,マスト細胞はIgEのFcレセプターをもっている。マスト細胞のFcレセプターは,IgEが抗原と結合していなくても,IgEのFc部をつかまえる。なお,好塩基球はマスト細胞に似ていて,IgEのFcレセプターをもっている。

多数の抗原と抗体が結合して免疫複合体をつくり,それがさまざまな臓器に沈着する。好中球は,免疫複合体の抗体にもくっつくが,食作用ができないので,殺菌物質やタンパク質分解酵素を放出する。これらの物質により,その臓器の組織に破壊される。

ここまで書いて思いだした。わたしは小学3年のときに腎炎で入院した。腎炎になる前に,扁桃腺が腫れて熱を出した。それまでにも何度となく感染症で熱を出していた。細菌が腎臓に感染したと思っていたが,ほんとうは急性糸球体腎炎だったのかもしれない。
なお,そのときリウマチ熱とも診断された。でも,リウマチ熱はリウマチとはまったく異なる病気だと聞いた。調べたはずなのに,もう忘れてしまった。

IgEが起こすアレルギーは,数分から数十分で反応があり,即時型アレルギーという。T細胞がもたらす炎症は,1〜2日たってからピークになる。これを遅延型アレルギーという。ツベルクリン反応は遅延型アレルギー。

アドレナリンはマスト細胞内のcAMPを増やし,化学物質の放出を抑える働きがある。また,神経細胞終端から放出される神経ペプチドの中には,マスト細胞を活性化させるものもある。したがって,ストレスなどによって,マスト細胞の働きに影響が出る可能性がある。

アドレナリンは,Th1細胞の働きを抑えるが,Th2細胞は影響を受けない。したがって,精神的ストレスによって,アドレナリンの量が多くなると,Th2細胞の働きの方が有利になり,アレルギーが起こりやすくなると考えられる。

マスト細胞が刺激されるとIL-4も放出する。これはIgE抗体を産生するB細胞を活性化する。したがって,何かでアレルギーが起こると,他のアレルギー反応も起こりやすくなる。

ロイコトリエンはリノール酸を原料にし,アラキドン酸をへてつくられる。獣肉や穀物などの脂肪は,リノール酸を多く含むので,これらをとりすぎると,ロイコトリエンがつくられやすくなる。
リノレン酸はロイコトリエンをつくるのを抑える作用がある。リノレン酸は,魚や根菜,葉菜の脂肪に多く含まれている。

アスピリンは,プロスタグランジンの生成を抑えることによって,炎症や痛みを和らげる効果を出す。プロスタグランジンもロイコトリエンもアラキドン酸からつくられる。アスピリンによって,プロスタグランジンの生成が抑制されると,ロイコトリエンの生成がふえることになる。だから,アスピリンを飲むと喘息の発作が起こる人がいる。

ここで思いついた。インフルエンザにかかっているとき,アスピリンを服用すると,特に小さい子どもで,インフルエンザ脳症を起こす。この発症のしくみにも関係しているのだろうか。

蚊に刺されたとき,すぐに腫れるのは即時型アレルギー反応。虫に刺された後,翌日くらいにかたく腫れて,水疱などを生じるのは,遅延型アレルギー反応。

ここでまた一言。わたしは6月くらいに毎年,虫さされによる遅延型アレルギー反応を起こす。この6月以外にもあるのだが,6月が特に目立つ。この虫さされによる炎症は,かなり長く続き,ときには半年たっても痒みが復活することがある。

物質がからだに入ってから変化して,それに反応してアレルギーを起こすこともある。このような場合は,アレルゲンの特定に注意が必要である。

アレルゲンを皮下注射する。その量は微量からはじめて徐々に多くしていくと,アレルギーがおさまることがある。これが減感作療法。皮下に微量注射することで,IgG抗体がつくられる。IgG抗体の割合が増せば,抗原が入ってきても,IgGと結合してしまい,IgEとの結合が減る。これによりアレルギー症状が緩和される。このときのIgGは遮断抗体と言われる。ただ,治療法は効果的な場合と,そうではない場合とがある。

腸は栄養をとりこむ働きをしているので,侵入してくる微生物に対する免疫は活発だが,物質に対する免疫反応は抑えられている。そのように抑制的な作用をするT細胞(Tr1,Th3)が全身をめぐるようになると,その抗原に対する免疫寛容ができる。
アレルゲンを経口投与することで,このような状態をつくりあげ,アレルギーを抑える治療法がある。また,うるし職人がうるしをなめることで,うるしアレルギーになるのを防いでいるのも,このような機序によるものと思われる。