萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

『「みんな」のバカ! 無責任になる構造』

読み終わってから3週間も経過してから感想書こうとしているからなのか、読んだのが温泉旅行の最中だったからなのか、いざ書こうとすると、あんまり内容覚えてないことに気がついた。いやー参ったなー(笑)。ま、そのおかげで、ミステリを何度も読めて良いのだけれど。

けっこう忘れてはいるものの、それでも印象深かったのは、この本に書いてある「みんな」というのが、いわゆる「みんな」というよりこの著者的に顔が見える「みんな」というか、具体的に誰と誰とか念頭に置きつつ書かれているのかなあと、そう思ったこと。あまりにも具体性に欠けるいわゆる論文的なのは読んでも面白くないし、新書だからそんなものは期待もしていないのだが、とはいえ、あまり具体的すぎるのもね(笑)。

この本にも書いてあることだけど、日本語の「みんな」は、聞き手を含む場合も含まない場合もある。「みんなで行こうよ!」と「みんなが僕を連れて行ってくれない」とか。で、「みんな」ではないけれど「わたしたち」ということで言うと、中国語はwomen(我們)だと「あなた」以外の「わたしたち」で、zanmen(口へんに自+們)だと「あなた」も含んだ「わたしたち」。そういう単語が用意されているか用意されていないかで、やはりその言葉を母語とする人の精神構造にも影響はしてくるのだろう。

ちなみにこのあたりのネタに関してよく言われる、「イヌイットは雪に囲まれた生活をしているので雪を表す言葉がたくさんある」という話、実は正確な話ではないらしい。元々は「イヌイットは雪を表す言葉を4つ持っている」という話が、どんどん尾ひれがついて広まってしまった模様。『はじめての言語学 (講談社現代新書)』にそう書いてあった。確かにそのぐらいだったら、日本語だっていろいろあるわけで、「雪」とか「みぞれ」とか「あられ」とか「ひょう」とか。

ところでイヌイットのことを昔はエスキモーと呼んでいて、それは蔑称だからイヌイットにしよう的な流れがあるが、イヌイットというのはカナダに居住するエスキモーたちの自称なので、たとえばアラスカに住むエスキモーの人たちは「イヌイット」と呼ばれると、あえて「自分たちはエスキモーだ」と言い直したりするらしい。これは『世界のことば小事典』に書いてあった話。

なんかどんどんこの本と関係ない方向にズレて行く。また今度もう一度読もうっと。

「みんな」のバカ! 無責任になる構造 (光文社新書)

「みんな」のバカ! 無責任になる構造 (光文社新書)

★★★☆☆:普通

『歳月』

僕は佐賀県出身で、で、まあいろいろといわゆる故郷ということに関しては微妙な気持ちが多々あって特に中学のときとかは絶対にここから出ないといけないと強迫的に思っていたりもしたのだけど、やはり年を取ると丸くなるのか、はなわのおかげでネタにしてもよさそうな気がしてきたのか、最近外国人の友人ができたり外国語を勉強したりするせいで「自分ち」的なところへの視点が変わったのか、ま、実際はそれ全部なのだろうけれど、とにかく最近は、出身地的なネタについても、多少、目を向けても良いかなと思う気がしてきた。それでも、郷土愛全開みたいな物や人に関しては、どうしても(その郷土愛全開という点においてのみではあるが)違和感を感じてしまう。

さて、そんなわけで「佐賀の乱」で破れてしまった江藤新平を描いたこの『歳月』。子供のころよく行った公園に銅像があったので、なんとなく「エライ人」というイメージはあったのだけど。読んでいる間、結構イタかった・・・。

「理想を語る」ことと「理想論を語る」ことは違うわけですが、その違いの部分のイタさというか、ものすごく論理的に考えているようで、というか論理的に考えているからなのか、とても大事なところで間が抜けて能天気なところ、どうも他人事とは思えず。というか、そういう風に妙に自分に引き寄せて読んでしまうところが、地元ネタゆえということなのだろうか。

しかし、なぜ司馬遼太郎はこの本書いたんだろう。『新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)』なんかは愛にあふれているように思えるけれど、この本は要所要所で「だから江藤新平はダメなんだ」とか「どうもこの江藤新平という男はバカだ」とか、そういう話が挟まれていて。ま、そんなに司馬遼太郎の本読んでないけどね(というか実はあまり好きではない)。

激動の時代に、激動に乗り遅れた秀才が、自分の手で激動を起こそうとしてその激動を利用されつつ飲みこまれていった、ある意味ものすごくロマンチックな切ない話。

無理矢理まとめてみましたがダメですか?

歳月 (講談社文庫)

歳月 (講談社文庫)

★★★★☆:面白かった本

『秘密屋文庫 知ってる怪』

自慢じゃないが「怖い話」が苦手である。だって「怖い」から。というか僕からすると「怖い話が好き」というのはイマイチ理解不能で、好きなんだったらそれって怖いと思ってないんじゃないかと思うのだけど。

そんな僕なのでもちろん怪談とか都市伝説とかも苦手なわけで、伝承が生まれる過程等興味深い部分もあるにはあるのだがやはり怖いもんは怖い。旅行とかで怖い話になりそうになったらすぐ逃げるし、無理矢理僕にそういう話聞かせそうな奴は殴る自信があるね、大人だけど。

さて、清涼院流水なのである。この『秘密屋』はノベルズで出ているころから知ってはいたのだけど、あまりにも薄い本だったのと、『カーニバル・デイ―新人類の記念日 (講談社ノベルス)』でちょっとこりてしまったのとで買わなかった。が、文庫にもなったことだし、うちのバイトに清涼院流水好きがいるし買ってみるかと思い購入。

もう31歳なのになんで口裂け女の話とかベットの下の斧男の話とか読んで微妙に本気で怖がってんだオレと思いつつ、「秘密屋」の謎を読み進む内に最終章、『秘密屋 黒』へ。

とほほほほほほほほほ(泣笑)。

こういう、非常にイマっぽい誇大妄想チックなところがこの人のウリなんだろうなあと思いつつ、いやでもどうなのみんな本当に面白いと思ってるのと疑いつつ、とか言いながら自分も別にこの本捨てようとは思わないってことは好きなのかしらと、微妙な感想。

清涼院流水、ハジけるならハジけっぱなしで、うだうだ「あとがき」なんか書かなきゃ良いのにと毎回思う。なんか言い訳っぽいんだよなあ。

それにしても清涼院流水が良く言う「大説」、もともとの意味を、本当に知らないんじゃないかと一瞬思ってみたり。なわけないような気もするし、知らないなら知らないで、それはそれで良いような気もする。

とにかく、うじうじとした(と、僕にはそう思える)あとがきなんか書かないで、バーンと、もっと振り切れば良いのになあ。

秘密屋文庫 知ってる怪 (講談社文庫)

秘密屋文庫 知ってる怪 (講談社文庫)

★★★☆☆:普通

『方舟は冬の国へ』

なんか久しぶりの「設定もの」のような気がする。嬉しい。やはり僕は、西澤保彦は『七回死んだ男 (講談社文庫)』とか『人格転移の殺人 (講談社文庫)』とか、そういった系が好きなのだ。「ばっちりと奇妙な設定が用意された中で論理的にものごとが解決する」という、なんだろう、脳味噌がシビれる感じのするものとでも言うか、「ありえねー」って言いながらニヤニヤと楽しむと言うか。

監視カメラが自分たちを見守る中、初めてあった女性と少女とともに「家族」を演じる主人公。

本のあらすじを読んだときには、待望の「設定もの」かと思ったのだけど。

僕の好きな西澤保彦の、裏返しにしたような作品だと思った。いつもならば最初に「なんでそうなるかは聞かないでね」という設定があってその中でお話が進むのだけど、今回は最初にある程度奇妙な状況はあるものの、その状況自体の謎が徐々に明かされて行く感じ。似ているようで、ちょっと違うね。そして「家族」。西澤保彦といえば「家族ネタ」だったりして、「性格的にイヤな人」を書かせればとても上手い西澤保彦は同時に「どこかしら自分も身に覚えがありそうなイタイ家族関係」を書くのが上手いわけだけれど、今回はその「家族」が「壊れたさま」を描くのではなく「作り上げる」物語(と書いてて思ったが、今回も、ある意味壊れた家族を描いてはいるのかな)。

どーんとした「びっくり感」は無かったけれど、「家族というのは作っていくものなのねー」と、ほんのりとしんみりしながら読み終えました。

そろそろ「こっち側」に帰って来てくれるのかなと、今後にも期待できたのでよかったよかった。

方舟は冬の国へ (カッパノベルス)

方舟は冬の国へ (カッパノベルス)

★★★★☆:面白かった本

『日経Linux 2004/11』

LINUX REPORT:Windows上で動作するディストリビューションが続々登場

みんなWindowsが好きだなあ。もう何年もLinuxをメイン・デスクトップにしているけれど特に何の問題もないよ。というかとても仕事がはかどって良い感じですよ。FluxBoxとかscreenとかvimとかで。

徹底図解完全設定ガイド

そうか、図解ってGUIか。

セキュアなWebサイト構築にチャレンジ

うーん、「セキュア」って言ってて、mod_auth_pam使って/etc/passwdな認証するのってどうかと思うのだけど。まあPAM使って一元化って話だからLDAPとかスマートキーとか、なんかそういう感じでも使えるよってことなのかもしれないが。なんか見当違いのこと書いてたらごめんなさい。

特選フリーソフト:Turck MMCache for PHP

Perlで同じようなのって無いんですっけ。ていうかあるよねきっと。誰か教えてください。

特選フリーソフト:shfs

ちょっと前からいろいろと共有ファイルシステムを調べている関係で、このSSH経由で利用できるファイルシステムのことは知ってはいたのだけど「遅いでしょ」と思って試さなかった。で、この記事読んでやっぱり遅いようなのできっと試さないと思う。これ使うんだったらNFS+Zebedeeとかで良いような気がするのだけどね。

はじめて学ぶLinuxカーネル

TCP_ECNの罠」というコラム、そういえば、そういう話もありましたねー。この記事、毎回思うのだけど、なんか、そそられることはそそられるのだけど、どうもきちんと読んだことがない。こちらのパワー不足だと思われる。

Blogサイト構築で理解するXMLデータベース

基本的にはXprioriの提灯記事ではあるものの、Blogネタにしてなんとか興味がわくように工夫していたり、まだまだ情報が少い(と思う)XQueryのネタが入ってたりして良いと思う。XMLDBというとXindiceもあるけれど、ちょっと前に調べたところでは日本語がうまく検索できないらしいし(いまは知らない。ちなみにGentooでXindiceインストールしたらうまく動かなかったがbugsに登録してないや。いまはどうなんだろう)。これからも期待、って思ってたら今回で最終回らしい。短か!

ハードウエアの基本を学ぼう

自慢じゃないがハンダ付けとかできないタイプなので、こういう連載を見ると「読まなきゃ」と思ってしまう。で、読んでみたが結局ついていけない感じがする僕。実際抵抗とか買って試せば良いんだろうが、それはなんだか面倒だと思ってしまうわけで、きっと永遠にハンダ付けはできるようにならないのだろうなあ。

Perlモジュールを活用して、開発効率をとことんアップ:Pogo

自分が無知なのかもしれないけれどGOODS(Generic Object Oriented Database System)ですか。ちょっと試してみたいなそのうち。

Perlモジュールを活用して、開発効率をとことんアップ:MLDBM

どっかでも見かけたことがあって、そんときも面白そうだから使ってみようかなと思って、でもたしかDBMってひと項目のデータサイズシビアじゃなかったっけって思い結局使ったことがないことを、また思い出した。

ほげHOGE探偵団:USB接続のハンドセットを使ってインターネット電話「ただTEL」に挑戦

USB接続のハンドセットの写真がちょっと気に入りました。

ほげHOGE探偵団:USBメモリーを使ってシステム認証を強化してみよう

ふーむ、pam_usbか。

新刊紹介

Perlクックブック〈VOLUME1〉』と『Perlクックブック〈VOLUME2〉』、やっぱ買おうかなと思いつつなんで2分冊にすんだよこんにゃろーとも思う。

『Linux Magazine 2004/11』

新着ディストリビューションTurbolinux 10 Server

RRD Toolsかあ。ここだけの話SNMPをあまりちゃんと使ったことがないのでMRTGもちょっと触っただけなのだけれど。あとAmanda、どうなんだろう。

新世代GUIProject Looking Glass」登場!

どうもね、モニタって2Dなのになんでその中で3Dやるんだろうと思ってしまうのではあるが。先入観かも。

Software Showcase:ElOffice 2004

中国産か。

最新マザーボードのキホン

このページ、マザーボードのカタログは興味ないのだけど、あんまりハード詳しくない自分としては、今回のNCQのような話が載ってて助かります。

Linux SEのお仕事

うーん。なんだかなー。ヘボい。『SEのフシギな生態 失敗談から学ぶ成功のための30ヶ条』読んだときも思ったのだけど、これってトラブルじゃなくて単に自分らが能無しなだけじゃん。『システム管理者の眠れない夜【新装改訂版】―本当に価値のあるシステムを求めて―』とかだったらまだ、コミュニケーションから生まれる悲喜こもごもとして、読んでて面白いのだけれど。

探訪Ruby

なんか、まつもとゆきひろさん、どんどん文章がうまくなってるような。ちなみにこの雑誌はこの連載読みたくてつい買ってしまっている。あんまりRuby使わないけど(笑)。

Hello "UML" World

やっぱりUMLはUMLAsSketchだと思うけどね。

オープンソース・アクティビズム:ジャンク情報を通して見る世界

僕も中国からのスパムは多少中国語の勉強として見てしまうところがある。でも送らないでね。

Books

Apache辞典 (DESKTOP REFERENCE)』、ちょっと高いな。あと、『Perlクックブック〈VOLUME1〉』だけ(つまりVOLUME 1だけ)が紹介されてるのはナゼだろう。VOLUME 2は見本誌が届かなかったのかなあ(笑)。

恋の門

そろそろ終わってしまう!ってことで今日ようやく見に行った。

僕は以前編集者だったころ、子供向けのCD-ROM付き雑誌を作ったことがあるのだけど、そのときこの映画『恋の門』の原作者である羽生生純さんに「カフカの『変身』の子供版をお願いします」という、わりと無茶なお願いをしたことがある。お願いしたくせにこう言うのも何だが、引き受けてくれたことに驚いた覚えがある(笑)。ちなみにその『変身』は「朝起きてみると主人公の男の子が虫になっていて、お母さんも自分に気がついてくれない」という、子供向けにしては、かなりハードな内容。ナレーションはミッフィーの声の長沢彩さんにお願いした。あのころ子供だった子も、もう中学生だったりするのねぇ。

と、また関係ないことを書いてしまった。

映画というものをほとんど見ない僕なのだけど学生のころは月に20本ぐらい芝居を見ていて、この映画の監督である松尾スズキさんの劇団「大人計画」は当時最も好きな劇団であった。どんなところが好きだったかというと「ギリギリこっち側に踏み留まってるところ」で、この線越えるとキワモノになる直前で面白いことやってるせいで無闇にカッコ良いことになってる感じ。で、仕事を始めるとなかなか時間も取れなくなり芝居を見に行けなくなったのだけど、数年前に一度見たとき、ちょっと線を越えてしまってたような気がしてた。うーんちょっとなーやり過ぎかなーとか思って見ていたのだけど、まわりのお客さんの反応は良いし、こちらが年を取ってしまったか、芝居を見慣れなくなってしまったか、そのどちらかである可能性は大。

が、映画ということもあったのか、その線越えが感じられず(というのは僕が勝手に思っているだけですが)、無闇に楽しい映画だった。

イタくてカッコ良い人が総まくりな印象だったのだけど、その中でも酒井若菜がものすごく良かった。松田龍平も嘘っぽい感じが素敵ではあったのだが。原作自体は映画家の話を聞いたときに即購入して読んでいて、これはこれで好きだったのだけど、映画は映画でやっぱり松尾さんの作品になっていて、作家さんってのはスゴイねー。あ、あとやっぱりゲロとチューが好きなのかなとも思ったりした。

原作の味を殺さず自分の色を出して、なおかつ映画は映画として楽しく、原作も原作として面白く存在できるというのは、ものすごいことでありますね。

ちなみに、何人か知っている人がこの映画に出演していて「こんなに知り会いが沢山出てる映画は2度とないだろう」という意味でも稀有な作品だった(どうでも良いやね)。

マジック

お笑い芸人であるのぐおさんの紹介で、というか単に誘われただけなんだけど、ま、詳細はともかく、のぐおさんの知り合いのマジシャンと飲み。いわゆるクローズアップというんですか、バーのカウンターでトランプやらコインやらで華麗な技を見せて頂く。

手練な技を見ているうちに、ちょっとここのところ悩んでいた(というか悩みすぎていた)効率とコストの問題についても「あー、別に努力して頑張っても良いんだし、上手くなることって純粋に素敵やねー」と思える瞬間もあったりして良い感じ。

以前から気になっていたマジックの技法であるところのマジシャンズ・チョイスについてもレクチャーを受け、実際にマジシャンズ・チョイスが応用されている手品を見せてもらったりもした。

マジックってセキュリティともつながる部分があるし、特に社会工学的なやつ(オレオレ詐欺とかそういうやつね)との関連は深いでしょう。コインマジックを見ながら、原因と結果を混乱させることで成立するってことかと、一層その思いを深くする。

今日、酒を飲みながら学んだことは、禅語的には「遊戯三昧」とか「因果一如」とかそういうことでしょうかね(ってものすごい唐突だけど)。

ちなみに泡坂妻夫はマジック界でもやっぱり重鎮らしい。すげー。