息もできない

結局2度見てしまった。音楽だと1stアルバムのような、理屈でなく、特別なものになってしまった作品。筋書きとしては全くもってオーソドックスで、分かりやすく、どストレートのだが、それがむしろ嫌みなく、説得力になってしまっている。観客はその直球をまっすぐ受け止めるのかどうかを迫られ、まっすぐ受け止めることを選択した人は、心を震わされずにはいられないのではないか。切羽詰まった状況で、でも生きていくんだよ!っていうそういう感情を重ね合わせずにはいられなかった。それが自慰行為だとしても。

2008年、韓、130分。監督・脚本:ヤン・イクチュン、出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピ 他

予告編

Atomic@新宿PitInn 2010/4/10

1年半ぶり?ぐらいのAtomic。立ち見が出るほどの満員。人気あるんだなぁ。あいかわらず構築とインプロ、ポップとアバンのバランスが良い。楽しめました。

フレデリク・ユンクヴィスト(Sax)、マグヌス・ブルー(Tp)、ホーヴァル・ヴィーク(P)、インゲブリグト・ホーケル・フラーテン(B)、ポール・ニルセン・ラヴ(Ds)


Retrograde

Retrograde

第9地区

「単純に」おもしろかった。アパルトヘイトと重ね合わせて、うんたらかんたらは、本質的な比重は小さいと感じた。個人的にはそこをもっと練り上げてほしかった。別に重たい話にして欲しいわけではなくて、あのトーンのままで、もっといろんな寓意を持たせたり、寓意を効果的に表現する演出ができそうなのにもったいないなー、と思ったのだ。なお、できるだけ予備知識なく行くのがオススメ!

2009年、米、112分。監督・脚本:ニール・ブロンカンプ、出演:シャルト・コプリー、デイウィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ 他

予告編

バットシェバ舞踊団『マックス』@さいたま芸術劇場 2010/4/17

ダンス自体が久しぶりだが、バットシェバ、やっぱり良い。楽しい。体に来る。

ダンスに詳しいわけではないけど、俺がダンスに期待してるものと本当にマッチしている。理性と必然、身体の構造と普通の動作の理論的かつ本質的な理解、それを踏まえた上での個々の動きの導出と群舞の構成。それを支える踊り手の身体的、技術的レベルの高さ。あー、気持ちいい。

ボルベール<帰郷>

DVDで。2006年カンヌ国際映画祭 女優賞・脚本賞。のっけから、ぺネロぺ・クルスのあまりの突出ぶりに苦笑。こんなゴージャスな女が清掃員やってるかっての!

つまらなくはないけど、うまくないし、突っ込みどころ満載だし、そんな良いかね、って感じ。罪に対しての落し前もないし。ただ、ぺネロぺの歌を遠目から聞いた母親がうれし泣きするシーンはグッときた。

2006年、スペイン、120分。監督・脚本:ペドロ・アルモドバル、出演:ペネロペ・クルスカルメン・マウラ、ヨアンナ・コバ、ブランカポルティージョ、チュス・ランプレアヴェ、ロラ・ドゥエニャス 他

そして、私たちは愛に帰る

DVDで。2007年カンヌ国際映画祭 脚本賞。いやー、滋味深い。これぞ映画。

3組の親子の物語の組み立て方の妙が際立つ。一人、もしくは複数人、いずれのシーンも登場人物が言葉に出さないどんな想いを抱えているかの演出がとても上手い。娼婦の話から、若者の政治体制への反抗の話まで、単に甘い話にしない、想いを生じさせる背景の配置も鮮やかで個人的に好みだった。

2007年、ドイツ/トルコ、116分。監督・脚本:ファティ・アキン、出演:バーキ・ダヴラクハンナ・シグラ、パトリシア・ジオクロースカ、ヌルセル・キョセ、ヌルギュル・イェシルチャイ、トゥンジェル・クルティズ

予告編


そして、私たちは愛に帰る [DVD]

そして、私たちは愛に帰る [DVD]

トゥヤーの結婚

DVDで。2007年ベルリン国際映画祭金熊賞。良い映画です。

1日に水汲みを何往復という生活と、僕らとたいして変わらない生活が、すぐ隣にあり、またそんな中で考えることや、判断のロジックは、僕らとそれほど変わらない。当たり前かもしれないが、その様子がおもしろい。生活は大変でみんな必死だし、見かけの良いものなど何も出てこないけど(その意味では主人公の女性は飛びぬけてキレイ)、それも生きるということなんだろうなー、と思いながら。物語の強弱のつけ方も巧み。

2006年、中、96分。監督・脚本:ワン・チュアンアン、出演:ユー・ナン、バータル、センゲー、パン・ホンシアン、ザヤ

予告編


トゥヤーの結婚 [DVD]

トゥヤーの結婚 [DVD]