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memorandum † 樋口ヒロユキ

サブカルチャー/美術評論家、
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2016-12-04 お客様へ:作品のご予約について

 こんにちは、SUNABAギャラリー樋口です。このネット時代、我がギャラリーでもSNSなどで画像をご覧になって、購入をご検討してくださるお客様が増えてまいりました。それで今日はちょっと、遠方からのご予約についてご説明したいと思います。


1)お問い合わせ

 お問い合わせはお手数お掛けいたしますが、SNSでなくメールにてお願いします。お問い合わせのメールをいただいた場合、まずメールにて作品のお値段をおしらせします。これで納得していただいた場合、ご予約のお申し込みを行っていただきます。


2)ご予約

 ご予約される場合、お名前 ふりがな 郵便番号 ご住所 電話番号 DMの要不要を、メールにておしらせください。過去に幾度かお買い求めになった方は、お名前だけで結構です。このメールをいただいた段階で、会場でもし赤丸が付いていなければ、ご予約を表す青丸がつきます。

 ただ、この段階ではあくまでご予約ですので、もし現金などをお持ちになって、即金でお買い求めになりたいという方がいらした場合、大変恐れ入りますが、その方の方が優先ということになります。その折には何卒ご容赦ください。


3)ご入金

 当方指定の口座へご入金ください。お振込み先はメールにておしらせいたします。ご入金が確認できた段階で「売約済み」となり、作品には赤丸がつきます(なので、金融機関がお休みの時には、なかなか赤丸がつかないということになるのですが、何卒この点ご容赦を)。いったん売約済みの状態になれば、ほかの方にお売り渡しするということはありません。会期終了後、配送料金のみ着払いにてお支払いいただく形で、宅配便にて発送いたします。


 ネットでのご予約の手順は概ね上記の通りです。何卒よろしく今後ともSUNABAギャラリーをお引き立てくださいませ。

2016-11-22 大竹竜太個展についてのお願い

 SUNABAギャラリーから美術関係者の皆さんにお願いがあります。いまやっている大竹竜太個展「Spider on Orbtis」ですが、できれば是非この展覧会に、実際においでいただきたいのです。

大竹竜太 個展「Spider on Orbis

11月19日(土)〜11月30日(水) 14〜20時、水曜18時 

木金休廊 入場無料

http://sunabagallery.com/upcoming/20161119_otake/otake.html

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 なんだただの宣伝か、と思われるかもしれません。まあ実際そうなのですし、主催者であるギャラリー店主の自分が言うのも変な話なのですが、この展示には何か非常に深い意味があるように感じだしているのです。

 大竹はいっけんオタク風のイラストにも見える大画面のアクリル画を、幾重ものメディウムの層を重ねて描く作家です。実際ぱっと見た目は「オタク風」、よく見るとレイヤー状の技法が目に入るのですが、そうしたモチーフや技法の問題を超えて、何か作家の実存が、今回の作品群には滲み出しているような気がします。ちなみに昨年の大竹の個展のレビューはこちら、高嶋慈さん筆。

http://artscape.jp/report/review/10116839_1735.html

 この内容は私もまったく同感で、昨年ご覧になった方の最大公約数的な意見はこんな感じだったと思います。いわゆるスーパーフラットみたいなものの延長にありつつそれをヒネった、ポップな印象の展示だったんです。下がその写真です。

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 今回の作品群もまた、基本的には昨年の延長にあるものが多い。ところが今回の大竹の作品は、昨年とほぼ同一のモチーフを描いていても、なぜか身体の欠損が強く印象に残るのです。下がその作例なのですが、何か強い欠落感が印象に残る。これは一体何なのか。

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 また、今年は極端に細く描き込んだ作品と、下の写真のように極端にラフな作品とに二極分化しています。この乖離が意味するものは何なのか。単にタッチの描きわけ、というだけでは済まない何か深刻なものを、私はそこに感じてしまいます。

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 残念ながらいまの私の能力では、大竹の今回の作品が持つ意味を、はっきりと言語化することができません。きっとこれは単純な「文脈読み」みたいな方法では読み取れない、何か深い変化を大竹体験しているからだと思うのです。どなたでも結構です。この展示を見てそこに何が見えているかを、是非言葉にしていただきたい。

 子どもの頃は誰も美術史的な文脈とか気にしないで絵を見るじゃないですか。ただ上手いなとか凄いなとかカッコイイなとか気持ち悪いなとか。サブカルチャーの影響が云々とかオタク的表現がどうのとか、そういう表面的な文脈ゲームではなく、素で彼の個展を見ていただきたいのです。そこから何が見えるのか。

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 ある意味で大竹は、今回の個展でスマートな衣装をかなぐり捨てて、何か個人的で重たいものを投げかけているような気がしています。美術関係者の皆さん、コレクターの皆さん、是非今回の彼の個展をご覧になってください。何卒宜しくお願いします。

2016-11-02 リヴィア・グノス個展「集中」

企画 リヴィア・グノス個展「集中」

10月22日(土)〜11月2日(水)

14〜20時、水曜18時 木金休廊

後援:スイス大使館 入場無料

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★主催者ごあいさつ

このたびSUNABAギャラリーでは、リヴィア・グノス個展「集中」を開催いたします。リヴィア・グノス(Livia Salome Gnos)は1977年スイスツーク州生まれ。ジュネーヴ造形大学を卒業後、モントルーに在住して制作を続けています。

そのもっとも特徴的な作品は、フリーハンドで描かれた、紙全面を覆う螺旋状のドローイングの連作です。本展ではこの螺旋のシリーズのほかに、彼女が2015年の日本滞在中に出会った、薄墨の技法を用いたドローイングも発表する予定です。

タイトルの「集中」は、螺旋のドローイングそのものも意味しますが、この連続する線を描く際の、作家の精神状態も意味します。この「集中」という日本語タイトルは、リヴィア・グノスが最初日本語でつけたもので、彼女はそれを英語に直し、どちらの言語でも彼女が最初に意図した通りのダブルミーニングがあることを理解しました。

リヴィアにとって日本での展示はこれが初めて。SUNABAギャラリーにとっても外国人作家の個展は、これが初の試みとなります。フレッシュな作家とギャラリーの出会い、どうぞご高覧ください。

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★プロフィール

リヴィア・グノス(Livia Salome GNOS)

1977年スイスツーク州生まれ。ジュネーヴ造形大学を卒業。2002年以降、スイスを拠点に展覧会、受賞多数。2004〜05年に独オッフェンバック、2013年に独ベルリンでのグループ展に参加。同年、アイスランドでのレジデンスに参加。

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★個展

2016年 「集中」SUNABAギャラリー(大阪)

2013年 「Cabinet exhibition」ガラリエ・カルラ・レングリ(ツーク)

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★グループ展

2015年ウーリ州作家アニュアル」ウーリ州美術館(アルトドルフ)

「ツーク作家制作展」Chollerhalle (ツーク)

2014年ヴォー州 心拍同調2014」州立美術館(ローザンヌ)

アトリエ通信」ガラリエ・カルラ・レングリ(ツーク)

2013年 「蒸留物 ベルリンにおけるツーク州の作家たち」Kunstverein Tiergarten / Galerie Nord(ベルリン、独)

ウーリ州作家アニュアル」ウーリ州美術館(アルトドルフ)

2012年 「中央スイスアートアニュアル」ルツェルン美術博物館(ルツェルン)

ウーリ州作家アニュアル」ウーリ州美術館(アルトドルフ)

2011年ウーリ州作家アニュアル」ウーリ州美術館(アルトドルフ)

2010年 「黒を見る ギャラリーの作家たち」ガラリエ・カルラ・レングリ(ツーク)

「Urnerアニュアル展」ウーリ州美術館(アルトドルフ)

「都市文化発展の洞察」スペースレンタルセンター(ツーク)

「ツークから」Haus Zentrum(ツーク)

2007年 「はるかな近さ1」ツーク美術館(ツーク)

「はるかな近さ2」ツーク美術館(ツーク)

「小品展 ギャラリーの作家たち」ガラリエ・カルラ・レングリ(ツーク)

2004〜05年 「アニュアル展」ルツェルン美術博物館(ルツェルン)

ギャラリーアート・ワン(チューリッヒ)

「青い時間」Hafen2(オッフェンバック、独)

2002年 「最大―最小」bh9、ジュネーブ美術大学院(ジュネーブ)、カタログあり

ライトボックス」Gr?tli写真センター(ジュネーブ)

「そして船は行く」Attitudes(ジュネーブ)

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★受賞

2015年 アトリエフレックスツーク州文化局

2014年 ハインリッヒ・ダニオス芸術文化基金助成金、ユーリ州

2012年 アーティスト・イン・レジデンス、スカフトフェル・センター・オブ・ビジュアルアート、セイジスフィヨルズル、アイスランド

2011年 ツーク州文化局助成金

2005年 ツーク州文化局運搬/トレーニング部

2003年 ハインリッヒ・ダニオス芸術文化基金助成金、ユーリ州

2001/02年 ディプロマ・プロジェクトのためのグレール基金奨学金アイスランド

2002年 美術大学卒業生のための現代美術州立基金2等賞、ジュネーブ

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2016-10-14 公募グループ展「不思議博物館」

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公募グループ展「不思議博物館

10月1日(土)〜12日(水)


[招待作家]=真木環

[公募作家]=廣橋由佳子、前川実帆、田中童夏、メバエマツモト、永福聡、西脇恵、傘嶋メグ、ある紗、尾嵜藍

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真木環

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傘嶋メグ

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永福聡

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メバエマツモト

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前川実帆

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廣橋由佳子

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田中童夏

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西脇恵

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ある紗

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展示風景

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2016-09-29 公募グループ展の「平等」について

 SUNABAギャラリーでは公募グループ展に出された出品作を、SNSで紹介するということをよくやっていますが、全部を紹介しているわけではありません。何度も紹介する作品もあれば、一度も紹介しない作品もあります。

 不平等じゃないか、というご意見もいただくのですが、実際うちでは平等主義は取っていません。大変申し訳ないのですが、それがうちのスタンスです。ごめんなさい。

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 お金を頂いて出品してもらっているので、全部平等に遇される権利がある、と思う方は当然おられると思います。が、しかし、うちはそうではありません。自分の好きなもの、売れたもの、お客様が注目したものは複数回にわたって紹介することもありますが、一度も紹介されないこともあります。明らかに待遇には差があります。

 DM制作や広報の段階から、こうした差はついています。グループ展では招待作家制という制度を設けていて、招待作家となった人だけが広報用のDMに使われます。ほかの方は小さなバナーだけ、それもネット上のご紹介のみという扱いです。

 私がこのギャラリーでの仕事のなかで最優先の目標にしているのは、来て下さる、買ってくださるお客様に、できるだけ良いもの、優れたものをお届けすることです。その次に重要な目標は、若いこれからの皆さんにチャレンジの場を設けることです。順番は逆ではありません。お客様が最優先、その次が作家です。

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 アートは矛盾したものです。誰にでも自分を表現したいという熱意や希望はあり、それはある程度まで叶えられるべきだ、と私は思っています。その意味でアートは一義的には「遊び」です。「売れさえすれば良い」とか「売れない作家は要らない」といった、冷酷な気持ちは持っていません。世の中はおカネだけではありませんし、一生懸命な人の気持ちにはできるだけ答えたい。ただ、限界はあります。

 アートは自己表現であると同時に商品であり、経済行為でもあります。実を言うと当ギャラリーは、作品そのものの実売による収入が、売り上げの半分以上を占めています。グループ展の参加費やレンタル料は、売り上げの半分以下なのです。言い方を変えると、きちんと売れる作家をプッシュしていかないと、うちは潰れてしまうのです。

 売れないもの、人気のないもの、クオリティーの低いものをプッシュしていたら、お客様から審美眼を疑われることになり、人気のある作家の足まで引っ張ってしまう。同じようにお金をいただいていても、推せないものは推せないのです。申し訳ないのですが、ここは納得していただきたい。ごめんね。

 レンタルでお借りになった場合も同様です。実際に展示を見て私が納得できない水準のものだった場合、最後まで一度もSNSで言及することなく会期を終える場合も稀にあります(非常にごく稀なケースですが)。もちろん納得がいけばどんどん推しますし、SNSでの推しが奏功して、レンタルであったにもかかわらず、かなりまとまった金額を売り上げた作家もいます。要は作品次第ということです。

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 ちょっと待て、それでは全然売れてない作家もたまにプッシュしているが、あれはどういうことだ、と仰る方もおられるかもしれません。はい、その通りです。全然お金になっていない作家、注目度の低い作家も、うちではプッシュすることがありますし、本当に気に入ったものは購入することもあります。

 どこのギャラリーでもそうですが、オーナーは気に入った作品を買い上げることがあります。短期的に見ればお金が出て行く話ですから「損」なのですが、私を含む多くのギャラリーオーナーは、採算度外視で作品を買うことがあります(もちろん、やむなくのちに手放すこともあるのですが)。

 なぜそんなことをするかといえば、それこそがアートアートである理由です。アート経済行為であると同時に、理屈では割り切れない「気持ちのかたまり」のようなものです。それは作者自身の自己表現であるだけでなく、鑑賞者の気持ちをも含み込んだ、不思議な「気持ちのかたまり」になることがあります。作品を買う人は、いわば一種の自己表現、自分の気持ちを代弁してくれるものとして、その作品を買うのです。

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 売れもしないのにSNS上でプッシュする作品は、私自身の気持ちを代弁してくれる作品、私が惚れ込んだ作品です。場合によっては購入することもありますが、残念ながら会期の売り上げが低かったりして、見送るケースも多々あります(現在のところ、このパターンが多いのは悲しい限りですが)。

 アートは矛盾したものです。それをどう扱うかには、決まった正解のようなものはありません。展覧会に出品して売り買いするのは現在ではメジャーな方法になっていますが、誰にも見せずにひっそりと制作して死後に知られる、という方法もありますし、無償で誰かに贈与したり、パブリックな場所に寄贈したり、ネット上に公開するという方法もあります。要は好きな方法を選べばいいのです。

 自分で言うのもなんですが、SUNABAギャラリーはわりと魅力的なギャラリーだと思います。ですが、その一方で限界や矛盾、不足している部分もたくさんあります。どんな人でも百点満点でないのと同じように、ギャラリーも一長一短、いろんな個性や癖があります。当ギャラリーもその一つ。無矛盾、正義のギャラリーではありません。

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 そうしたことをご理解していただいた上で、ご出品されるならそれもよし。他のギャラリーが良いと仰るなら、それも仕方のないことかと思います。以上長くなりましたが、当ギャラリーのスタンスと広報についてでした。今後とも宜しくお願いします。