協会の名称について

違法サイト委員会⇒違法サイト認定委員会

への改名キボン。

このサイトが違法サイトなんじゃ…と勘違いされるのが嫌ならば。

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/39385/1197998291/2

匿名の賛同者様から、上記のご意見をいただきましたので、これに回答します。現在のところ、当協会の名称を変更することは二つの理由から考えておりません。

第一に、当協会の活動内容が「認定」にとどまらない点が挙げられます。当協会は違法サイトからのダウンロードが違法化されようとしている情勢を踏まえ、違法サイトを認定し、インターネットユーザーに警告を発することで、インターネットユーザーが不用意に違法行為をしないようにすることを目的とした団体です。この目的を達するために、当協会の活動においては、違法サイトの認定のみならず、広く違法サイトを閲覧しないよう警告することや、来たるべきダウンロード違法化社会に向けて、そのあり方や条件整備等について研究することを活動内容にしております。このことから、当協会の内容のうち違法サイトの認定はその一部分に過ぎず、活動全体を表現する言葉として「日本違法サイト協会」という名称が適当であると考えています。

第二に、違法サイトの認定は名称によってされるべきでないという点があります。違法サイトにアクセスすることは常に違法行為をするかもしれない脅威にさらされますから、良識あるインターネットユーザーはだれもそのサイトにはアクセスしなくなり、いったん違法サイトと認定されると、サイトの言論の自由は大幅に制約されます。「名前が怪しいから」といった曖昧な理由で違法サイトとみなされることがあれば、ユーザーの過剰な萎縮を招き、ダウンロード違法化規定が「文化の発展に寄与する」とした著作権法の目的に合致しなくなってしまうことは明らかです。このような事態を防ぐため、インターネットユーザーは著作権法について熟知し、名称やドメイン名に惑わされたり、勘違いや誤解で違法でないサイトを違法サイトと誤認したりしないようにする必要があります。さもなくば、ダウンロード違法化は社会に大変な混乱を引き起こす悪法になってしまいます。

当協会の名称およびドメイン名は、こういった懸念に対する一つの実験にもなりうると考えています。

今回は貴重なご意見をたまわり、誠にありがとうございました。今後とも当協会へのご支援、ご協力をたまわりますようお願い申し上げます。

違法サイト調査検討結果について (The FCC Kids Zone Home Page)

当協会は、掲示板における匿名の賛同者の方からの情報提供に基づき、下記のサイトが違法サイトであるかどうかについて調査検討を行いました。その結果、当該サイトが違法サイトであるという結論には至りませんでしたのでお知らせします。

サイトの概要

サイト名称
The FCC Kids Zone Home Page
アドレス
http://www.fcc.gov/cgb/kidszone/
運営者の種類
政府機関(アメリカ合衆国

情報提供の要旨

ドラえもん」のそっくりキャラが使われており、実質的類似性の観点からは確実にアウトである。

調査検討結果と理由

The FCC Kids Zone Home Page(以下「当該サイト」という。)は、アメリカ合衆国で電気通信等を管理する政府機関であるFederal Communications Commission(連邦通信委員会)が、児童向けに公開しているサイトである。

当該サイトには、Broadbandという名のマスコットキャラクターが表示されている。情報提供者はこのBroadbandが日本において藤子・F・不二雄が発表した漫画キャラクター「ドラえもん」とそっくりである旨主張しているので、前者が後者の著作権を侵害しているか否かについて検討する。

著作物性および著作の先後について

ドラえもんは1969年に漫画として発表されており、Broadbandのイラストがサイトに登場したのは3年ほど前とされている。漫画及びイラストが著作権法上の著作物にあたることは著作権法第2条第1項第1号および第10条から明らかになっている。仮に一方が他方の著作権を侵害しているとすれば、それはBroadbandの作者がドラえもん著作権者の著作権を侵害していると考えられる。

日本の著作権法が適用されるか否かについて

違法サイトからのダウンロードを違法とするのは日本の著作権法であるから、当該サイトについて日本の法令が適用されるかどうかについて検討する。知的財産法については、一般に、侵害行為があったならばその行為が行なわれた地の法が適用されるとする属地主義が取られている。しかし、インターネットにおいては侵害行為が行なわれた地をどのように解釈するかについて、情報が発信された地とする説、情報が受信された地とする説があり、学説も実務上も一定していない*1。日本の法令では、法の適用に関する通則法第17条に不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。と規定されている。

では、当該サイトについて、加害行為が発生したのはどの地にあるのか。当該サイトの設置主体及び目的を考えれば、運営者がアメリカ合衆国内の児童を想定していたことは明白であるが、それが日本で閲覧されることまでを予見していたと考えられるかどうかについては明らかではない。とすると、本件については、日本の著作権法が適用される可能性と、アメリカ合衆国著作権法が適用される可能性があることになる。

著作権侵害の様態について

Broadbandとドラえもんの図柄は、一方が他方の複製と言えるまで酷似しているとは認められない。このことから、仮に著作権侵害があるのであれば、それはBroadbandがドラえもんの二次的著作物である場合に限られる。二次的著作物は、著作権法第1条第1項第11号に規定があり、「著作物を(……)翻案することにより創作した著作物をいう。」とあり、著作物を翻案する権利は著作者が専有することが同法第27条に定められている。一般に、ある著作物を二次的著作物と主張するためには、原著作物に依拠して創作されたものであることの証明が求められる。本件について、著作権(および翻案権)を有する小学館では、依拠の確実な証拠があるわけでなく、独立別個にBroadbandが創作された可能性があることを示唆しており、当該サイトの運営者では本件について見解を表明していない*2。このことから、Broadbandがドラえもんの二次的著作物であるかどうかについてはいまだ明らかではない。

まとめ

以上の調査検討内容をまとめると、下記のとおりとなる。すなわち、当該サイトに掲載されているBroadbandについて、Broadbandの作者がドラえもん著作権者の著作権を侵害している可能性はあるものの、ダウンロードを違法化する日本の著作権法が適用されるかどうかについて疑問の余地があること、侵害をしているとすれば翻案権を侵害する二次的著作物である可能性があるが、確実に侵害していることが確認できないことなどから、当該サイトは現時点において違法サイトであるとは認められない。

補足

本件については、法令の適用地および二次的著作物であるか否かについてより詳細に調査検討して結論を出すべきという立場もあり得るが、ある事項についての法令の解釈および事実関係の認定は、我が国においては最終的に司法以外がこれを行なうことは許されず、当協会の調査検討結果が最終的に覆される可能性があることを考慮し、より詳細な調査検討を行なうことは見送った。もとより、あるサイトを違法サイトと認定することは実質的にそのサイト運営者のインターネット上での言論の自由を著しく制約するものであり、その発動は慎重にも慎重を期すべきものであることは言うまでもない。しかし、このままでは違法サイトからのダウンロードを違法化した意義が乏しく、この点についての運用を改善しないことには、ダウンロード違法化はただインターネット上での活動を萎縮させるだけの結果に終わってしまうことが容易に予測できることから、当協会では改善の方法があるかどうかを含め、なお違法サイト認定の方法についても研究を進めていく予定である。

以上

*1:両説のメリット及びデメリットについては、田村善之『著作権法概説』567ページなど

*2:http://slashdot.jp/articles/04/12/28/1342249.shtml

ダウンロード違法化の動き 2007年12月19日-20日

ダウンロード違法化についてのまとめの登場

小委員会の開催から一夜明け、各所での反応がさまざまに現れたところで、それらを集積して紹介する「まとめ」が登場しました。当協会でも、ダウンロード違法化の動きとしてまとめを行なっています。

ダウンロード違法化に反対する意見の続出と、具体的な行動への動き

ダウンロード違法化に反対する意見が続々と登場しています。その多くは昨日紹介したダウンロード違法化を問題視しなければならない5つの理由 - 半可思惟の内容にほぼ収まっています*1。その中で、「アンカテ」では、現状の小委員会のような仕組みでは議論すべき当事者がそろっておらず、このままでは日本だけが世界的なコンテンツ産業の中で取り残され、グーグルのような既存の仕組みにとらわれないプレーヤーの支配が強まるだけだという意見を発表しました。

半可思惟」では、追加のエントリとして、インターネットユーザーの声は常にないがしろにされてきたとして、過去の事例をも挙げ、今後はインターネットユーザーの声がもっと声をあげるべきであると主張しています。

すでに「声をあげるべき」と主張を始めていた小倉秀夫弁護士は、具体的なロビー活動の準備に乗り出しています。また、敬和学園大学准教授の一戸信哉氏も、この問題に関心を寄せる可能性のある政治家を挙げるなどしています。

「ネットはダークサイド」発言

文部科学省のサイトで議事録・配付資料のページが掲載されるなど、小委員会当日の詳細が明らかになってくるにつれ、日本映画製作者連盟の事務局次長を務める華頂尚隆氏の「ネットでは正規品が流通しない。ネットはダークサイドで、全く別世界」という発言がクローズアップされ、インターネットを中心に活動する人たちの大きな反発を引き起こしました。

DRM私的録音録画補償金

小委員会において事務局の文化庁が提出した資料の中に「将来的にDRM(デジタル著作権管理)が普及した場合、私的録音録画を再び無許可・無保証にする」ことを検討課題とする文言があることも、話題となりました。電子機器メーカー団体JEITA会長の町田勝彦氏がこれを評価したとの報道があります。

なお、小委員会の第16回会合が12月27日に予定されていましたが、これは中止になりました。代替の開催があるかどうかについては不明です。著作権法違反を非親告罪化することを検討している法制問題小委員会のパブリックコメント後初の会合は1月11日に予定されています。

消費者のエゴを責める声

一方で、そもそも違法サイトからのダウンロードを違法にしようという動きが現れたのは、著作物を何でもただで享受しようとする、著作権意識の低いユーザーがインターネットにあふれているのがそもそもの問題であり、それが解決できないのであれば違法化もやむなし、という意見がだんだんと登場してくるようになりました。

大勢が匿名で、一つの巨大なブログを作り上げていくサービスのはてな匿名ダイアリーでも、発表当初はhttp://anond.hatelabo.jp/20071218215835のようなダウンロード違法化に反対する意見があったものの、次第にhttp://anond.hatelabo.jp/20071219131939http://anond.hatelabo.jp/20071219131939のように、ダウンロード違法化に反対するのはただ単に権利者に対価を支払いたくないというわがままに過ぎない、という向きの意見が登場しています。

当協会では、引き続き違法サイトからのダウンロードが違法となる時代に備えて、違法サイトの認定のほか、ダウンロード違法化のインターネットのあり方について研究を続けていく予定ですが、研究の方向性は、著作権法の目的である「文化の発展に寄与」するものでなくてはならないということを改めて強調します。たとえ法改正がなされなくとも、著作物のアップロードは違法であり、ヒット曲や人気アニメといった販売されている著作物を、何の加工もなしにインターネット上にアップロードする行為は何ら文化の発展に寄与するものではなく、だれにもこれを擁護できるような理屈は構築し得ないということは強く主張していきます。