ダウンロード違法化の動き 2007年12月19日-20日

ダウンロード違法化についてのまとめの登場

小委員会の開催から一夜明け、各所での反応がさまざまに現れたところで、それらを集積して紹介する「まとめ」が登場しました。当協会でも、ダウンロード違法化の動きとしてまとめを行なっています。

ダウンロード違法化に反対する意見の続出と、具体的な行動への動き

ダウンロード違法化に反対する意見が続々と登場しています。その多くは昨日紹介したダウンロード違法化を問題視しなければならない5つの理由 - 半可思惟の内容にほぼ収まっています*1。その中で、「アンカテ」では、現状の小委員会のような仕組みでは議論すべき当事者がそろっておらず、このままでは日本だけが世界的なコンテンツ産業の中で取り残され、グーグルのような既存の仕組みにとらわれないプレーヤーの支配が強まるだけだという意見を発表しました。

半可思惟」では、追加のエントリとして、インターネットユーザーの声は常にないがしろにされてきたとして、過去の事例をも挙げ、今後はインターネットユーザーの声がもっと声をあげるべきであると主張しています。

すでに「声をあげるべき」と主張を始めていた小倉秀夫弁護士は、具体的なロビー活動の準備に乗り出しています。また、敬和学園大学准教授の一戸信哉氏も、この問題に関心を寄せる可能性のある政治家を挙げるなどしています。

「ネットはダークサイド」発言

文部科学省のサイトで議事録・配付資料のページが掲載されるなど、小委員会当日の詳細が明らかになってくるにつれ、日本映画製作者連盟の事務局次長を務める華頂尚隆氏の「ネットでは正規品が流通しない。ネットはダークサイドで、全く別世界」という発言がクローズアップされ、インターネットを中心に活動する人たちの大きな反発を引き起こしました。

DRM私的録音録画補償金

小委員会において事務局の文化庁が提出した資料の中に「将来的にDRM(デジタル著作権管理)が普及した場合、私的録音録画を再び無許可・無保証にする」ことを検討課題とする文言があることも、話題となりました。電子機器メーカー団体JEITA会長の町田勝彦氏がこれを評価したとの報道があります。

なお、小委員会の第16回会合が12月27日に予定されていましたが、これは中止になりました。代替の開催があるかどうかについては不明です。著作権法違反を非親告罪化することを検討している法制問題小委員会のパブリックコメント後初の会合は1月11日に予定されています。

消費者のエゴを責める声

一方で、そもそも違法サイトからのダウンロードを違法にしようという動きが現れたのは、著作物を何でもただで享受しようとする、著作権意識の低いユーザーがインターネットにあふれているのがそもそもの問題であり、それが解決できないのであれば違法化もやむなし、という意見がだんだんと登場してくるようになりました。

大勢が匿名で、一つの巨大なブログを作り上げていくサービスのはてな匿名ダイアリーでも、発表当初はhttp://anond.hatelabo.jp/20071218215835のようなダウンロード違法化に反対する意見があったものの、次第にhttp://anond.hatelabo.jp/20071219131939http://anond.hatelabo.jp/20071219131939のように、ダウンロード違法化に反対するのはただ単に権利者に対価を支払いたくないというわがままに過ぎない、という向きの意見が登場しています。

当協会では、引き続き違法サイトからのダウンロードが違法となる時代に備えて、違法サイトの認定のほか、ダウンロード違法化のインターネットのあり方について研究を続けていく予定ですが、研究の方向性は、著作権法の目的である「文化の発展に寄与」するものでなくてはならないということを改めて強調します。たとえ法改正がなされなくとも、著作物のアップロードは違法であり、ヒット曲や人気アニメといった販売されている著作物を、何の加工もなしにインターネット上にアップロードする行為は何ら文化の発展に寄与するものではなく、だれにもこれを擁護できるような理屈は構築し得ないということは強く主張していきます。