問いを発してこその〈純文学〉


たとえば純文学はこんなふうにして書く―若手作家に学ぶ実践的創作術



832 :名無し物書き@推敲中?:2011/05/03(火) 12:26:32.09 ID:?
エンタメ要素が「多少ならいい」とかじゃないんだ
その要素が作品にとって必要なら、冒頭で未来社会にトリップしたっていいんだよ。

ただそれが、エンタメやSFの〈お約束〉に乗っかった運びだったら、エンタメやSFにしかならない。
むしろ「なぜ未来社会にトリップしたの?」という問いを発さなければならない。
それができているのが、いわゆるオースターであり春樹であり、安部公房でありカフカである。
カフカが、『変身』でべつに鳥獣戯画を描きたかったわけじゃないことは、誰にだって分かる。
「なぜ虫になったの?」を考えさせる。
「なぜ探偵なの?」「なぜ砂が雪崩れ込んでくるの?」
「なぜ別世界にワープしてしまうの?」
と問う。

それが、いわゆる〈純文学〉と呼ばれるものではないかしら。


833 :名無し物書き@推敲中?:2011/05/03(火) 12:32:55.23 ID:?
>>832で書かれてることは、べつにモチーフやテーマだけに留まらない。
文章自体においてもそう。
「どうしてここに句点がくるの?」などと問うタイプの作家もいる。
それが村上龍のような「、」を多用するスタイルになったり、
レーモン・クノーらの〈ウリポ〉のような活動になったり、
アンドレ・ブルトンのような速記スタイルを生んだりする。 


834 :名無し物書き@推敲中?:2011/05/03(火) 12:37:16.01 ID:?
「書くって何なの?」
と問うた作家は、たぶんオースターだね。

「どうしてこんな悲惨なことが起きるの?」
と問うたのはユーゴーじゃないの。

「なんで日本人がアメリカ文学みたいに書いちゃだめなの?」
と問うたのは若き日の村上春樹でしょう。

「べつに心理描写にこだわらなくたってよくない?」
と問うたのが谷崎。

「駄目なりの美しさってあるんじゃないの?」
と問うたのが太宰。

いま(2ch内で)流行ってる問いは、
ニートでもよくない?」
「就職するってどういうことなの?」。

ずーっと流行り続けてるのは、
「自分って何?」
と、
「人間って何?」。


835 :名無し物書き@推敲中?:2011/05/03(火) 12:39:04.21 ID:?
「書くって何?」
ってのがいわゆるポストモダンなのかな。とおもふ。


836 :名無し物書き@推敲中?:2011/05/03(火) 12:41:40.78 ID:?
「SFって何?」と問うているSFがおもしろいし、そういうSFを読むべきだとおもう。
いっぽう「純文学って何?」と問うている純文学はあまりない。
なぜなら、そういうのは〈駄作〉と言われてしまうことが多い。




問う今日
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FUTURE SHOCK (2010-12-08)



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