廃止問題に揺れる茨城交通に行ってきました。

katamachi2007-04-03

 くりはら田園鉄道を最終日に訪ねた後、4月1日は仙山線常磐線北部の相馬市や南相馬市をブラブラ回ってきました。
 残っている青春18きっぷは、あと一日分。最初、4月2日は只見線に行くつもりだったのですが、茨城交通(勝田〜阿字ヶ浦)の廃止問題の結論が3月30日にも発表される......という報道が気になり、急遽、ひたちなか市へ向かうことにしました。訪問するのは1991年以来だから16年ぶりです。

茨城交通の存廃問題の猶予は半年間

 茨城交通の湊鉄道線に関しては、

  • 2005.12 茨城交通が、湊鉄道線廃止を、ひたちなか市に申し入れる
  • 2006.9 「2008年3月廃止」と各紙で報道
  • 2007.3.28 茨城交通取締役会は「今月中に廃止届を出すかどうか、30日までに決める」と報告

という経緯がありました。債権者である金融機関の管理下で、2005年度から5カ年の再生計画に取り組んでいるが、なかなか先行きが見えない。ひたちなか市茨城県との協議次第では最悪の結論が出る可能性もありましたが、

茨城交通は30日、湊線(勝田―阿字ケ浦、14・3キロ)の存廃問題で、「30日に予定していた廃止届の提出を当面見合わせる」と発表した。
廃止届提出、当面見送り 茨城交通・湊鉄道朝日新聞、2007年03月31日

と言うことになったようです。会社側が方針を固めた3月28日、ひたちなか市長と茨城県知事とが協議を行い、「支援の在り方について対応を協議した」ことがターニングポイントとなったようです。ただ、

県・市と同社は四月早々から、財政支援を含めた支援策の枠組みについて突っ込んだ協議を行う。ただ「猶予期間」は半年程度とみられる。
茨城交通湊線 廃止届提出見送る 県も支援、半年めどに協議茨城新聞、2007年03月31日

というので、まだ楽観視はできません。
 この3月で廃止になった鹿島鉄道の場合、会社側が5年間で11億円の支援を要望したのに対し、地元自治体からは6.5億円という微妙な額しか財政支援の確約を得られなかった。茨城県が消極的だった(協議会に知事が加わっていない)のも致命傷となりました。
 でも、湊鉄道線の場合は、まだ協議継続する可能性があるということでしょうか。沿線各駅の所在地は、全て、ひたちなか市内にあります。ということは、市長と市議会の胸先三寸で、廃止or存続の方針を確定できるということです。廃止問題に対する地元の対応が後手に回っているのが気になりますが......

キハ20やキハ22が現役で活躍する茨城交通のあれこれ。

 さて、4月2日の朝、水戸のホテルから勝田駅に向かいました。
 ただ、朝のラッシュ時にもかかわらずあまり利用者はいませんでした。勝田7:21、8:01着でも乗客は20〜30人程度。春休みで高校生が不在というのが大きいのでしょうね。そんなこともあって、いつもは朝のみ2両編成2本が運用に入っているのですが、1両ワンマン運転に変更されていました(4/4まで)。ちなみに、私が訪問した日に稼働していたのは3710-01とキハ2004(国鉄準急色)でした。準急色をリアルで見るのは初めて。40年前に走っていたホンモノの色とちょっと違うような気がしましたが、まあそれはそれ。やっぱり伝説の塗色を見られて嬉しかったです。
 駅の窓口でお願いして、車庫見学させていただきました。先月までは、鹿島鉄道と一緒で訪ねてくるマニアな人がかなり多かったそうです。

キハ2004(国鉄準急色)
 さて、Wikipedia茨城交通湊線によると、現在、茨城交通で稼働しているのは10両あるそうです。でも、駅構内にキハ202・203、そして204の計3両(国鉄キハ20→鹿島臨港鉄道)がありましたが、塗装は赤錆びていて稼働している気配はなかったです。休車状態、あるいは廃車になっているのでしょうか。
 となると、動いているのは以下の8両でしょうか(今のダイヤだと、朝ラッシュ時でも必要な車両数は4両。予備車を含めても6両あれば十分なように思えます。となると、今後、休車や廃車が増えてくるかも?)。 

  • 【キハ3710グループ】新潟鐵工所(新潟トランシス)製の軽快気動車NDCシリーズの一つ。湊(みなと)線から連想された形式。3710-01(1995年)、3710-02(1998年)、そして37100-03(2002年)の3両。
  • 【キハ20グループ】国鉄のキハ20とその類似タイプの気動車。今でも動いているのは、旧羽幌炭礦鉄道車のキハ222(国鉄旧標準色<青>)とキハ223(湊線新色)、旧留萠鉄道のキハ2004(国鉄準急色)とキハ2005(湊線新色)、キハ20オリジナルのキハ205(国鉄標準色<赤>)の5両。

 キハ222(国鉄旧標準色<青>)は、車庫内でジャッキで持ち上げられていて、台車が外されていました。検査中だったのかな。また、ちょうどキハ205(国鉄標準色<赤>)が引込線内で入換作業をしていました。

キハ222(国鉄旧標準色<青>)

キハ205(国鉄標準色<赤>) 
 あと、廃車されたケハ601は車庫の隅で倉庫となっており、またHPに「ケキ102を売却致します」という記事がアップされているディーゼル機関車ケキ102は譲渡先が見つからなかったようで、2番線?ホームに留置されていました。赤サビや塗装の剥げが目立っていました。
 その他の情報。

  • 4月2日のダイヤ修正

この4月2日からダイヤ修正も行われています。JRにあわせて3月18日にダイヤ改正をしたのですが、勝田8:06発→8:08発に、阿字ヶ浦7:34発→7:32発、8:11発→8:08発の3本の発車を前倒ししている。常磐線との接続を考慮してのようですが、ダイヤ改正からわずか2週間後にもう一度改定を行うというのは、かなり珍しいこと。利用者の便を考えてフレキシブルに対応したってことでしょうか(勝田9:50着なんかももう5分ほど前倒しして欲しいような......)。

  • 駅を訪ねる

 有人駅なのは勝田(中間改札)と那珂湊。また、殿山は委託駅(平日)です。那珂湊と勝田、殿上の他、無人の金上、平磯にも券売機があります。

委託扱いの殿山駅。なかなかイイ雰囲気です。オススメ
 那珂湊と殿山では軟券の切符(水戸行きなどJR連絡も)を扱っていました。殿山では軟券の入場券(常備券)があります。また、那珂湊では、A型の硬券入場券を扱っています(2006年から)。駅名をゴム印で押すタイプで、注文すれば、阿字ヶ浦など他駅の印も押してくれます(インクは青)。企画切符は、「湊線一日フリーきっぷ」(800円 土日)と「しおさい散策フリーきっぷ」(900円)。前者はインクジェットで印刷したっぽい。それと、「日工前駅一般客乗降開始記念」の那珂湊日工前間のA型往復硬券。実用に対応している硬券はこれだけのようです。
 この日、未訪だった殿山駅など6駅を回ったのですが、なんどか地元の利用者の方から話しかけられました。話題はやっぱり、3月31日に各紙で報道された「廃止結論先送り」の話。バス輸送は不便だし、やっぱり廃止されたら困るよ......と口を揃えてぼやかれていました。地元の対応策についての話もいろいろ聞いたのですが、それはまた別の話。