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ウルトラマンエース42話「神秘! 怪獣ウーの復活」

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)


「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・田口成光 監督・上野英隆 特殊技術・高野宏一)
(文・久保達也)
 東京から故郷の新潟県妙高みょうこう)高原へと帰る途中の良平・小雪の父娘は飯田峠で氷超獣アイスロンの襲撃を受け、良平は小雪を助けるためにおとりとなり、谷底に転落してしまう。
 ダン・香代子とスキーに来ていた北斗は村人から超獣出現の知らせを受け、すぐさま現場に急行しようとするが、ホテルの経営主の老人に夜はあの場所は危険だからと止められ、翌朝老人の案内で捜索することにする。
 超獣を捜していた北斗は倒れていた小雪を発見。小雪は老人の孫娘だった。
 ホテルで介護されるも父を案じてばかりの小雪を見て老人はたまらなくなり、北斗の制止も聞かずに小雪を連れて飯田峠に向かう。
 老人と小雪は良平の亡骸を発見するが、再度アイスロンが出現。二人が襲われようとしたそのとき、良平は伝説怪獣ウーに姿を変え、老人と小雪を守るためにアイスロンに立ち向かう!


 『ウルトラマン』(66年)第30話『まぼろしの雪山』に登場したウーが再登場。
 前回は飯田山の住人たちに迫害される少女・ユキの母親の魂がユキを守るために怪獣化したが、今回は父親の霊がウーとなっており、造形も初代と比べ、より男性らしい顔つきとなっている。
 第2期ウルトラにおける人気怪獣の再登場はやたらとブサイクな造形だのイメージダウンなどと批判されることが多いのだが、今回のウーはオリジナルのイメージを尊重しつつも新たな解釈を加えられているという点で、『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)に登場した再登場怪獣と並ぶ理想形と云えよう。


 ただ往年の平日帯番組『ウルトラファイト』(70年)の新規撮影分で「あばれんぼう」の異名を誇ったほど数々の勝利をおさめてきたウーを見せられたあとだっただけに、実にあっさりとアイスロンに負けてしまう今回のウーは当時の子供たちにはものたりなかったのではないか?
 少しくらい優勢に立つ描写があっても良かったような気はするが。


 全編妙高高原ロケで撮影された雪一色の本編と華麗に融合し、特撮場面においても終始雪が降り注ぐ。
 第38話『復活! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070121/p1)と今回、続く第43話『怪談 雪男の叫び!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1)の「雪特撮」は全て高野宏一が担当しているが、やはり先述の『まぼろしの雪山』や『ウルトラセブン』(67年)第25話『零下140度の対決』などの経験を買われてのものだろうか。
 それだけ新進気鋭の特撮スタッフには手が負えないほどの困難な演出であるわけだが、近年の特撮作品でも冬場くらいはこうしたものに果敢に挑戦してもらいたいものである、もっとも今ならCGで雪降らせちゃうかもしれないが(笑)。



 ♪ お〜さむ こさむ〜 山から小僧が飛んできた〜


 と小雪が歌う童謡が象徴するように『冬の怪奇シリーズ』というよりは民話的イメージの趣が強いが、『まぼろしの雪山』のウーが再登場するにはこうしたファンタジー作品が最もふさわしいに違いない。



<こだわりコーナー>
小学館『小学二年生』72年2月号で描かれた内山まもるの今回のコミカライズ作品にはなんとアイスロンが登場せず、代わりに第39話『セブンの命! エースの命!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1)に登場した火炎超獣ファイヤーモンス(炎で雪を溶かして雪崩を起こす!)と前作『帰ってきたウルトラマン』第40話『冬の怪奇シリーズ まぼろしの雪女』に登場した雪女怪獣スノーゴンが登場し、ウーと激闘を繰り広げる!
 そしてエースはメタリウム光線でスノーゴンを倒し、ウルトラサンダー(近年の名称ではタイマーボルト)でファイヤーモンスにとどめを刺す!
 たとえファンタジー作品とはいえ、あくまで男子児童向け作品であることを忘れてはいないあまりに嬉しい配慮である。太田愛さん、聞いてますか?(笑)


 また良平と小雪が犬を連れており、その犬の案内で北斗が小雪を発見したり、老人の影が薄く(本編では悲しむ小雪を見てひとりで良平を捜そうと決意するなど、なかなかカッコイイのだが)、
 「誰もおとうさんのことを心配してくれない……」
 と小雪がひとりで良平を捜しに行くなど、細部にやや違いが見られる。
 ただ欄外の
 「おとうさんがひとりで雪にうまっていると思うと小雪のむねははりさけそうです」
 「小雪を思う父の心が雪の中でもえあがった。ああ、おとうさんがウーになった!」
 などの表記や、実作品で歌われた童謡も使われて、本編のムードは絶妙に醸し出されている。


 そしてラストシーンの小雪との別れではウーはなんと涙を流し、
 「毎年冬になると小雪はこの谷に来て、大さむ小さむ 山からこぞうがとんできた…… と歌うのでした。そして雪の中にウーのすがたを見るのでした」
 と締めくくられている。ちなみにラストページの欄外にはこう表記されている。


 「ウーがないた。小雪がないた。ウルトラマンエースもきっとないているでしょう……」


*アイスロンが出現し、村人たちが逃げ去る場面で1匹の犬が画面横から現れ、視線を上に向けて画面手前に走ってくる様子が撮られている。
 まるでアイスロンを威嚇して立ち向かっていくように見えるのだが、どうやらこれは撮影中にたまたま現れた犬が入りこんでしまったのだと思われ(犬が出てくるのは村人たちが完全に逃げ去ったあと)、本来ならカットの対象になるところをあまりに自然な雰囲気なのでそのまま残したのではなかろうか。偶然の産物とは云え、これも的確な演出であることには違いない。


*アイスロン攻撃の際、竜隊長と吉村・美川隊員は雪上車を使用するが、なんとTACのマーク入り(笑)。しかしタックファルコンやタックアロー、タックスペースなどの空想メカと現実の車両を防衛組織が併用することにより、地に足のついたリアリティが感じられるというものだ。


*本話監督の上野英隆氏は、円谷プロのTV特撮『緊急指令10−4・10−10(テンフォーテンテン)』(72年)を監督していた御仁。


*視聴率17.3%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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