村上春樹の小説「風の歌を聴け」(1979)において、何度も言及される架空の小説家。
同作で彼を知った読者が彼の作品を探そうとしても、もちろん見つかることはない。日本全国の司書、書店員泣かせの作家。
以下は「風の歌を聴け*1」中に紹介されるプロフィール。
1909年、オハイオ州の小さな町に生まれ、そこで育つ。
父親は無口な電信技士、母親は星占いとクッキーを焼くのがうまい小太りな女だった。
ハイスクール卒業後は郵便局に勤めるが長続きせず小説家を志す。
1930年、5作目の小説が初めて売れて稿料を手にする。
しかし、それから8年と2ヵ月後の1938年。彼の母が死んだ時、エンパイア・ステート・ビルの屋上から飛び降りて蛙のようにペシャンコになって死んだ。
彼の小説は、「文章は読み辛く、ストーリーは出鱈目であり、テーマは稚拙だった」と評される。
言葉に「宇宙の複雑さに比べれば、この我々の世界などミミズの脳味噌のようなものだ」
(以上著作)
(伝記)
(上記の伝記の著者、トマス・マックルーアへのインタビューを所収)
*1:1979年発売。2004年9月には新装丁で文庫が再発