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職業安定法

社会

職業安定法

しょくぎょうあんていほう

日本の法律(昭和二十二年十一月三十日法律第百四十一号)

 第一章 総則(第一条―第五条の七)
 第二章 職業安定機関の行う職業紹介及び職業指導
  第一節 通則(第六条―第十六条)
  第二節 職業紹介(第十七条―第二十一条)
  第三節 職業指導(第二十二条―第二十五条)
  第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介等(第二十六条―第二十九条)
 第三章 職業安定機関以外の者の行う職業紹介
  第一節 有料職業紹介事業(第三十条―第三十二条の十六)
  第二節 無料職業紹介事業(第三十三条―第三十三条の五)
  第三節 補則(第三十三条の六―第三十五条)
 第三章の二 労働者の募集(第三十六条―第四十三条)
 第三章の三 労働者供給事業(第四十四条―第四十七条)
 第三章の四 労働者派遣事業等(第四十七条の二)
 第四章 雑則(第四十八条―第六十二条)
 第五章 罰則(第六十三条―第六十七条)
 附則
職業安定法

公共職業安定所ハローワーク)についてのみ記述されているかと思いきや、実は効力は一般的な求人広告等にも及び、あなたの知ってるリクナビマイナビエンジャパン等の転職サイト等もその規制等の対象になっている。

しかもこの法律、実は求人に関する不法事態を徹底して取り締まる強力な内容となっており*1組織犯罪者に対して滅法強い法律の一つである事はあまり知られていないかもしれない。

その強力さを示すために規定されている罰則についての抜粋を行うと

第六十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
一  暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
二  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
(略)
第六十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 
八  虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
職業安定法

の様になっており、なんとこの3つの条文だけで求人に関する大方の問題を焼き払えるという有用さ。

これだけで強引な依頼も犯罪依頼も違法アルバイトも、ありがちな求人広告虚偽記載も、「ハローワークブラック求人ばかり」と言われる一因にもなっている求人票?虚偽記載*2も、刑事罰懲役罰金)が設定されている事から全て刑事訴訟法に基づいた取扱い(被害届告訴告発、そしてこれからの警察・検察捜査公訴)が行えるようになるという内容になっているのは正に素晴らしいの一言である。

おまけに

第六十七条  法人代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第六十三条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 
職業安定法

という両罰規定?も付いており、よくある「知名度はあるが実はブラックヤクザ系の大手SIer」なんかにも非常に力強い効力を発揮するようになっているという行き届きよう。支店での違法な求人が、その支店だけでなく法人そのものに対しても影響するという効果があるので、これで告発が行われるなら法人として違法状況を減らしていかざるをえない事になるのは疑いない*3

広告の虚偽が発覚するのは採用試験の段階でもいいし入社した後でも良いのだが、これらの罰則規定は表顔ばかりが良くて実際の労働環境は違法状況だらけというブラック企業を根こそぎ焼き払う事が可能という必殺技クラスの有効力を持っている事は間違い無く、この法を使った全国民による告訴告発の全国的な連打は対ブラック企業の切り札兵器と言っても過言ではないだろう。

上の罰則内容だけでも覚えておくと安心して就職・転職活動に望める*4ので、どんどん広めていきましょう。

職業安定法は、「職安」だけについて書かれてると誤解されそうな名前ですが、実の所は全てのブラック企業を叩きのめしていける、本当はすごい法律なのです。


*1:不法な内容の求人はほぼ全てこの罰則規定に引っかかるようになっており、しかもその対象は不法行為を犯した者ばかりが該当するという、強力かつ副作用の少ない異常な程に社会的効用の高い有益法律である。

*2:現行体制では労働局職員は虚偽記載があった場合は指導のみを行うようになっている運用形態だが、実のところ虚偽記載を行った企業の告訴告発が可能なのである。時おり「求人票は広告ではない」と言ってこの虚偽記載が職業安定法65条8項に触れないかの様に言う職員がいたりするかもしれないが、「虚偽の条件を呈示」して「労働者の募集」を行っているので確実に引っかかるものになる。というか、公共職業安定所は法1条にあるとおり「職業紹介」事業を行っているのであり、求人票によってこれを行っているのでどう考えても求人票虚偽記載はこの項目からの除外を免れられないのである…。

*3:でないと刑事罰適用事態の蓄積でまともに活動が行えなくなるので。「過去〜〜罰金以上の刑に処せられ〜〜」という様な但し書きが書かれている法令の但し書き対象に該当してくるのは企業にとって痛いものである。

*4:でもここで個人情報には気を付けましょう。依然として戸籍謄本を求めてきたりする中小企業がありますが、各労働局からは(本当に必要である合理的な場合を除き)その禁止の通知がなされています。もしも求められたら地元労働局に通報して指導を要請しましょう。