荘園とは、古代・中世を通じて存在した私的土地所有の一形態である。だが荘園は、単なる私的土地所有にとどまらない公的・国家的性格を有しており、中世の土地制度を構成する荘園と公領は、異質で対立していると見るよりも、共通する部分が多くあるものと見たほうが正確である。こうした見解を「荘園公領制」と言い、1973年に網野善彦によって提起されて以降、今日の荘園研究の基本理解となっている。 荘園の性質は、11世紀半ばまでの、主に開発領主が開発や管理を担う「免田・寄人型荘園」と、荘園整理令が発布されて以降の、院や摂関家、権威のある寺社など、荘園領主側が中心となって管理を行う「領域型荘園(寄進地系荘園)」の2種類…