大正期の作家。略称「島清」 明治32年2月26日、石川県美川に生まれる。 幼少期、早くに父をなくし、母一人子一人の不遇な生活を強いられる。
「地上」(全4部作)(大正8年)がベストセラーとなり、一躍文壇のスターとなるが、自らを天才と称する傲慢さと私生活のスキャンダルで零落。 精神疾患を疑われ、強制入院。診断名:早期性痴呆(現在の統合失調症)
昭和5年、巣鴨の保養院入院中、肺結核で死亡。享年31歳。
参考リンク:http://psychodoc.eek.jp/shimasei/
癸卯年六月初六。大暑。気温摂氏21.3/29.7度。快晴。水府は他の土地に比べるとまだほんの少し涼しいのはありがたい。 夕方からの東風の涼しさは格別。水戸市内でも海に近い東の低地は塩害も少なからずあるといふが沿岸から8kmくらいまでで旧市街の下市にもそれは及ばない。 風野春樹『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』(本の雑誌社)読む。島田清次郎『地上』通読したので島田清次郎(1899~1930)のことは金澤近代文学館の展示で少しは知つてゐたが折角だからもう少しこの作家のことを知りたいと思つたら、この本があつた。それにしても大正時代に一瞬、若き流行作家として登場し数年で狂人となり早逝の作家である。…
ひがし茶屋街、主計町、と並んで 金沢の三茶屋街のひとつ、にし茶屋街。 訪れたのは百万石まつりの少し前。 ちょうちんがいい感じで風に揺れておりました。 入口にはにし茶屋街ゆかりの作家、 島田清次郎の「地上」の一節が。 【あゝ、この感情、この真理、 これは自分一人ではあるまい。 自分のこの涙は万人の涙であろう。 自分は自分一人の寂しさに泣いていてはならない。 あゝ、自分はどうなっても構わない。 願くば、今ひしひしと身に迫り感じる 万人の涙の為めに戦おう!…略】
風野春樹『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』という本を読んだ。とても面白い、力作評伝だった。島田清次郎は誇大妄想狂気味の自己愛性人格障害のDV常習者であり、ほとんど同情の余地がないのだが、興味深く読み進むことができたのは、筆者の精緻な調査に裏付けられた冷静かつ島清への思いの籠った筆致ゆえだろう。二十歳で発表した『地上』というデビュー作がベストセラーになり注目されたものの、その傲岸不遜な振る舞いが常軌を逸しているため文壇からは嫌悪され、発狂して精神病院でわずか三十一歳の生涯を閉じた。金沢出身で、同郷の徳田秋声、加納作次郎などとわずかに交流のあったほかは、文壇からの評価は低く後述のスキャンダル以…
ここしばらく神保町の古書展がなかったと思う。悪い癖で、そうなるとネットや何かで古書に手を出してしまう。こうしていつまで経っても浪費が止まらない。もちろん数百円位の古書が大半だが、それでも、チリも積もれば、である。最近はとても本を置く場所がなくなってきており、少しずつ処分している。谷崎や三島、まあ他にいくたりかの作家の本などこれはという安値ででなければ別段すぐ必要ということもないし、なるべく必要でなければ買わないようにしているのだが、この「必要」というのが厄介で「あの原稿のための」「今後必要になるから」などと自分に言い訳しながら買ってしまうので歯止めが効かないのである。もちろん「必要」ということ…
「東京朝日新聞」1935年(昭和10年)7月20日の中央公論広告 陸軍トップといえる永田軍務局長の殺害は、軍部による政治支配確立の通過点となった。もとはといえば満州の関東軍は軍閥のような独立勢力となり、本国の政治を左右してきた。日露戦争で獲得した満鉄の利権は初期癌のような病巣だったが、満州事変で中国本土に拡大する不治の病となった。 明治維新後の元老政治から、憲法制定によって政党に支えられた君主制への転換がはかられてきた。しかし憲政の期間は短命で、階級闘争の拡大、中国侵略と国際的孤立、世界恐慌などにより政治局面は混乱の道をたどった。 国政支配をねらう軍民の野心家たちは、陸軍海軍それぞれに思惑のち…
文豪はみんな、うつ (幻冬舎文庫) 作者:岩波明 幻冬舎 Amazon 幻冬舎の電子書籍40%OFFクーポンで購入したこの本単行本が出た時は、かなりの話題作でしたよね! いつの間にか文庫になっていて、更には40%OFFにもなって、買わない理由が無かったです。たまにある40%OFFの時期に、山のように電子書籍を買いがちな私です。 この本は、10人の文豪たちの生涯を一人ひとり振り返り、統合失調症だったのか、躁うつ病だったのか、ただのうつなのかなど分析していく、極めて特殊なアプローチでお話が展開していきます。 普通に考えたら、結構失礼な話なんですよね……自分の生涯を後に分析されて「みおこんぼさん、実…
こんばんは皆様、三頌亭です。今日は以前読んで記事にしていなかった本です。西村賢太「誰もいない文学館」ですね。亡くなられた後に出版された本のようです。実はこの人の本を読むのはこれがはじめての三頌亭ですw。以前から復刻の探偵小説のあとがきや解説を彼が書いているのが不思議でしかたなかったのですが、この本を読んで納得いたしました。西村賢太さんの古書による自分の精神史(私小説)といってもいいのでしょう。こう言ってはなんですが思いのほか研究者向きの人だったんですねw。あまりはっきりとは書いておられませんが、マイナー文学館といいながら過去の大家についてもよく読んでおられる節があって感心してしまいました。ご参…
9泊10日の北陸旅行、5日目。 文化の森おでかけパスを購入。以下の金沢市中心部の16の文化施設等に2日間1,000円で入場できる。 兼六園、金沢城公園(菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門)、金沢21 世紀美術館、県立美術館、県立歴史博物館、石川四高記念文化交流館、いしかわ生活工芸ミュージアム、金沢市立中村記念美術館、金沢能楽美術館、鈴木大拙館、前田土佐守家資料館、金沢市老舗記念館、金沢ふるさと偉人館、金沢くらしの博物館、国立工芸館、武家屋敷跡 野村家(成巽閣、加賀本多博物館は割引)。 文化の森おでかけパス 加賀百万石回遊ルートアプリというものもある。 https://play.google.…
金沢 曇り、昨晩22時過ぎに少し雨が降り樹木には恵みの雨でした。今日は一日曇り予報でも気温は上がり蒸し暑くなりそうです。いろいろな金沢の観光地は人出がもどってきてますが、西茶屋街は今一つでした。徒歩圏内に寺町など見どころいっぱいです(笑) kanazawa10no3.hatenablog.com kanazawa10no3.hatenablog.com【金沢旅物語引用】ひがし茶屋街、主計町茶屋街と並ぶ金沢三茶屋街のひとつ。にし茶屋街では華やかな芸妓がたくさん活躍しています。出格子が美しい2階建ての茶屋建築に老舗割烹が軒を並べ、趣のある一角を作り上げています。作家・島田清次郎が過ごしたお茶屋の跡…
癸卯年六月初四。気温摂氏22.0/29.2度。晴。本日が中伏*1だと思ふと確かに昨晩も少し風も涼しく陋宅は冷房も使はず。日暮れゝば虫語も聞こえ始めてゐた。 普段はメガネが2本収納できる! レザー調ツーピースメガネケース使つてゐる。メガネ新調すると眼鏡店でくれるケースは厳ついものもあり2つもカバンに入れるとかなりの嵩になる。もつとシンプルなものがないかと思つて探したら見つけたのが、これ。 メガネ屋さんが作ったこだわりメガネケース これでアマゾンで478円で値段に比べたらかなり上質感あり。手元にあつた眼鏡店(白山)のメガネケースが144gに対して53gしかなかつた。 島田清次郎『地上』読む。青空文…
booksch.hatenablog.com 【本屋物語】07月05日号 | 何をもって格好良いと思うか?… #フランキー堺と#ムッシュかまやつ | #幕末太陽伝 幕末太陽傳 #川島雄三 他 #フランキー堺 と #ムッシュかまやつ 居残り佐平次こと"フランキー堺" A portrait created by Stable Diffusion 人は何をもって格好良いと思うか? 川島雄三監督の幕末太陽伝(幕末太陽傳)を見て以降、フランキー堺さんの"居残り佐平治"ぶり「手前ひとりの才覚で世渡りするからにゃ、へへ、首が飛んでも動いてみせまさあ」のセリフに惚れ、+(プラス) ムッシュで 私にとっては格好…
川島雄三監督、フランキー堺、南田洋子、左幸子、石原裕次郎、岡田眞澄、芦川いづみ、小沢昭一、梅野泰靖、菅井きん、二谷英明、山岡久乃、金子信雄ほか出演の『幕末太陽傳』。1957年作品。デジタル修復版2011年。 音楽は黛敏郎。撮影は高村倉太郎。 www.youtube.com 幕末の文久2年、品川の遊郭「相模屋」で飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げた佐平次(フランキー堺)は、一文の金も持ち合わせておらず、遊んだ分を居残りで働くことに。しかし、お調子者の佐平次は自らの困難をものともせず、遊郭に立ち寄った高杉晋作(石原裕次郎)らとも交友し、巻き起こる騒動を次々と片付けていく。(映画.comのあらすじに一部…
島田清次郎 誰にも愛されなかった男 作者:風野春樹 本の雑誌社 Amazon 島田清次郎と言っても、現在ではその名前を知る人は少ないだろう。作品も入手は難しく、すっかり忘れ去られた作家になっている。しかし、大正時代の当時は知らないものはないほどの人気作家だった。 1919年(大正8年)、島田清次郎はわずか20歳のときに長篇『地上』で華々しく文壇デビューを飾る。有名批評家がこぞって絶賛したこの作品は大ベストセラーとなり、清次郎は一躍文学青年たちのカリスマとなっていく。しかし、自分の天才を鼻にかける傲岸不遜な言動で文壇で嫌われ、おまけに海軍少将令状を誘拐監禁したというスキャンダルが新聞や雑誌を賑わ…