iPhone/iPadのDTCP-IP対応、現状と今後の課題

http://www.phileweb.com/review/column/201211/30/263.html

DLNA/DTCP-IP再生の互換性が問題になる背景として、日本のデジタル放送の多くがMPEG-2をベースとしているのに対し、最近のスマートフォンタブレットが採用するSoCの多くがMPEG-4 AVC/H264をメインにサポートしていることがある。
AVCであればハードウェアデコードが容易に行えるが、MPEG-2では、SoC側がハードウェア的には対応していても、機能自体がロックされていることも多いのだという。さらに、そもそもSoCにコーデックがなく、ソフトウェアデコードを行わざるを得ない場合も多い。
さらに言うとデジタル放送のビットレートは、BSデジタルでは約24Mbps程度に上る。このハイビットレートMPEG-2をソフトウェアデコードするのは非常に高負荷だ。
こういった理由から、ハイビットレートなAVC番組やMPEG-2で記録したDRモードの番組は、低ビットレートのAVCにトランスコードしながら配信することが必要となる。
レコーダー側がトランスコード配信に対応していなかったり、あるいは機能があってもアプリ側でトランスコード機能を呼び出すことができなければ、録画コンテンツによって再生できたりできなかったり、あるいは音だけが出て映像が表示されなかったりなどの問題が生じる。一般ユーザーからしてみたら機種同士に相性があると考えが及ばないだろうし、録画コンテンツごとのビットレートを記憶しているという方は稀だろうから、なぜちゃんと再生できないかがわかりにくい。

ソニーはパケットビデオ(Twonky)とタッグを組んだが、パナソニックデジオンと良好な関係にある。パナソニックデジオンに仕様を開示しており、このため、AndroidのDiXiMでDIGAにアクセスするとトランスコード配信が利用できる。将来的にiOS版が登場したら、録画番組やリアルタイムの放送番組をiPhoneiPadで視聴することも可能となるはずだ。このように、ハードとアプリの相性は、今後もしばらくは存在しそうだ。

さらにDTCP+のリモートアクセスで問題となるのは、ARIBで定められている「受信機」から直接配信することが認められていないことだ。ここで言う「受信機」とは、端的に言えばB-CASカードが入っている機器を指す。この縛りがあるため、レコーダーから外部へ、直接番組を配信することができない。番組を外部配信するには、いったんNASなどチューナーを搭載していない機器にムーブする必要がある。