ここ数日で読んだ4冊

 「ラカンの殺人現場案内」

ラカンの殺人現場案内

ラカンの殺人現場案内

 実際の殺人現場写真を、ラカンな視点、いや「まなざし」で分析していく。ド・クインシー「芸術としての殺人」の引用から始まり、ジジェクの解説で締め括る。
 ミステリ的な読み解きは皆無であり、あくまでも精神分析な手法から写り込んだ事物を語り、いやむしろ分析手法を語っているようだ。
 例えば殺人鬼の思考方法をシュトックハウゼンの試みと対比させたりとか、思いつきにしては興味深い飛躍もまた面白い。
 
 「カート・ヴォネガット(現代作家ガイド)」
カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)

カート・ヴォネガット (現代作家ガイド)

 伊藤優子さんが編したヴォネガット本。大江健三郎との対談ほか、初訳の短編ななども収録。
 研究本としては初心者からマニアまでも納得の平易かつ詳細な内容であり、随所に散りばめられるイラストなども素敵であります。特にキーワード辞典とか面白いなぁ。
 ヴォネガットはハヤカワの文庫本を数冊持ってるだけなので、これを機に他の作品も含めて読み直そうかと思ってしまいました。
 
 「ついてくるもの」
ついてくるもの (講談社ノベルス)

ついてくるもの (講談社ノベルス)

 伝奇系の和ものホラーな短編集。
 著者お得意の「家」ホラーなど、6話すべてクオリティがなかなか高いと思うのだけど、正直あんまり怖くなかったよ。ここ最近の三津田作品の傾向として、お話の質は上がれど怖さは減じている感があります。
 乱歩オマージュな「八幡の藪知らず」がまぁお気に入りかな。
 
 「人生これでいいのだ!!」
人生これでいいのだ!! (集英社文庫)

人生これでいいのだ!! (集英社文庫)

 赤塚不二夫の人生相談。自身のエピソードを語りつつ、バカっぽくも意外に真摯に示される人生観には、妙に納得させられてしまう。
 語り出すと止まらない映画への想いにもまたグッときます。