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kojitakenの日記

2016-07-01 エマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』(文春新書)読了

エマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』(文春新書)読了

エマニュエル・トッドの『シャルリとは誰か?』を昨日(6/30)読了。2016年に読んだ59冊目の本だった。今年の年間目標である100冊は余裕でクリアできそうなペース。



ところで、文春新書から出ている一連のトッドの本だが、訳者の堀茂樹氏(この人は「小沢信者」である)と、そもそもトッドの本の出版元である保守的な文藝春秋は、それぞれトッドとミスマッチなのではないかとの疑念をかねてから抱いている。

今年1月に発売された『誰がシャルリか?』を読むと特にはっきりわかるが、トッドは明らかな左翼*1。それに対して、「小沢信者」の堀氏は左翼ではまったくなかろう。むしろ「『右』も『左』もない」立場の者と思われる。かつては日本の国家社会主義的な論者たち(安倍晋三の側近=内閣官房参与藤井聡や中野剛志ら)と韓国論客とトッドという3か国の論者による鼎談及びそれぞれの人たちの論考をまとめた本も出ていて、昨年、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』と一緒に買って読んだが、どう考えても論者の組み合わせはミスマッチだと思った。この組み合わせにも堀氏の意向がかなり反映されているのではないか。はっきり言って有害だ。




『シャルリとは誰か?』のアマゾンカスタマーレビューに、訳者を批判する書評があったので以下に示す。

https://www.amazon.co.jp/review/RCXVSHPFZHFB8

★★★★☆ 内容は面白いが和訳された文章が良く分からない本, 2016/4/16

投稿者 池田耕一

Amazonで購入(詳細)

レビュー対象商品: シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書) (単行本)

いわゆるシャルリエブドー問題を通じフランス宗教に関する社会問題を鋭く突いた極めて興味深い内容の本である。

しかしながら、その訳文を読む限り、分かるところは、多くて2割、後8割は何を言っているのかわからないか、言ってることは分かったとしてもそれに対する批判は一切できず「ああそうですか」と言って感心しているくらいであった。その理由は何と言っても、この本の内容を理解するにはフランス地理、歴史、文化、政治、風土、習慣など様々なことに関するかなり高度な予備知識がないと理解できないない本であることである。正に、この本は、フランス宗教事情に関する専門家が読む「専門書」と言ったほうがふさわしい内容であるにもかかわらず、新書本で、しかもタイトルがかなりキャッチーなものとなっており、ほとんど予備知識のない一般人でもそれなりに読める本のイメージを出しているためであると言える。そのような場合は、訳者が著者と読者のギャップを埋めるべく、随所に解説を入れたり、分かりやすい一般的な言葉で訳文を作ると言ったことに心がけるべきであるが、この訳者にはそのような考えは全くないようである。正に木で鼻をくくったような「横のもの(仏文)を縦のもの(和文)にしただけ」の文章のオンパレードである。この訳者は、素人にも分かりやすい文章を書く気がない不親切な人か、そのような文章がかけない能力不足な人か、大いに迷うところである。いずれにせよ、訳者としてはふさわしいとは言いがたく、読んでいたかなりフラストレーションが溜まった次第である。

確かに、ヨーロッパ人の書く文章は、アメリカ人に比べ、長く、難解であることが多いが、もう少し何とかして欲しいものである。また使われている単語も、言説、瑕瑾、多文化主義ディスクールメタファーなどと言った「文系人間」御用達の言葉が並び、若干「辟易(訳者に合わせ無理して使ってみました)」とした気分にさせられた。特に、「メタファー」にいたっては、ネットで検索しても「修辞技法のひとつとされ、比喩の一種でありながら、比喩であることを明示する形式ではないものを指す」などという説明が出てきて、かえって頭が混乱してしまうほどである。何故こんな言葉を訳語として使うのであろうか。

それはさておき、著者が言いたかった、シャルリエブドー事件と言うのは、フランス人が日ごろからイスラム教徒に対して取ってきた差別的行為の後ろめたさから陥ったイスラム恐怖症の結果、集団ヒステリー的に、フランスで静かに生活しているイスラム教徒に対し、不当な「暴力」を振るった例であることは良く分かった。正に、これは、かつて日本が関東大震災の折、「朝鮮人井戸に毒を入れる」と言うデマ(これも、日ごろから朝鮮人に対し不当な差別的行為をしていた当時の日本人の後ろめたさが引き起こした朝鮮人恐怖症と同じ心理)が飛び、朝鮮人に暴力を振るったのと同じであるといえる。

「風刺」と言うのは弱者が強者の横暴を批判するために用いられる手段であって、フランスで大多数を誇る強者のキリスト教徒が完全なる少数派で弱者のイスラム教徒批判するために、イスラム教徒の最も大切にしている「アッラー」を漫画で表すと言うのは、全く風刺の精神に反することであるのに、なぜ、フランス人の多数派はそのことに気がつかないのか不思議でならない。ドラエモンでいえば、ノビタがジャイアンを「風刺する」ことはあっても、ジャイアンがノビタを「風刺」したとしたら、それは単なる「いじめ」でしかない。

更に言うなら、シャルリ事件が起こったとき、一緒になって、意味を知ってか知らずか、SNSの自分のプロフィール写真に三色旗を重ねていた○○な日本人(○のなかにどんな文字が入るのかな?)がいたが、彼らの頭の中も見てみたいものである。

私は訳者の堀茂樹氏というのは「思い込みの強い人」で、かつ訳者はトッドの主張を本当にはよく理解していない人なのではないかと思う。訳者自身が理解していないのだから、訳文を読む読者が理解できるわけないよなあ、というのが私の感想だ。

なお、上記のレビューに「アッラー」とあるのは、いうまでもなく「ムハンマド」の誤り。それはともかく、シャルリ事件の時には、朝日新聞なんかも「私はシャルリ」という大見出しを大々的に掲げてデモに「連帯」を表明していたが、私も強い違和感を持ち、その感想をこの日記で表明したことがあった。トッドはこのデモを強く批判して、フランス国民から大ブーイングを浴びたという。

他にも翻訳を批判するレビューが何件かある。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1O76JDCSQSOSN

★★☆☆☆ 洞察は提供しているが、翻訳がひどい, 2016/3/30

投稿者 Katy

Amazonで購入(詳細)

レビュー対象商品: シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書) (Kindle版)

表現の自由ミスリードした世界的な「私はシャルリ」のデモ現象に疑問を持ち、この本を読んだ。本書は宗教または信教の視点とユーロ通貨を含むEUの問題から、「私はシャルリ」の現象をを掘り下げている。この点では、洞察を提供してくれたことは評価できると思う。しかし、翻訳がひどくわかりにくい。翻訳ソフトを使用しているのではと思わせるような文章が多々あり、日本語として非常にわかりにくい。原文自体も婉曲的な表現が多いのだろうが、内容を理解したい読者にフラストレーション与えていることで星2個。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1Z6WGBGMBQR7D

★★☆☆☆ わかりずらい本, 2016/3/6

投稿者 ボコボコ

レビュー対象商品: シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書) (単行本)

何とかトッド氏の意見は読み取ることができますが、フランス地理、歴史、宗教的背景、政治状況、人物等の広範な知識がないと読むのに苦労します。

ポンッとフランスの県別地図(しかも県名なし)を出されて、『パリで「諾」が62.5%から66.5%に増加し、イヴリーヌ県では57.4%から59.5%に、オー=ド=セーヌ県では56.7%から61.9%へと上昇した。』とか言われても何がどうなっているのか理解しがたい。オー=ド=セーヌ県ってなんだ。(数字も微妙だし。)平均的日本人にわかりやすいように地図に補足するなど何かしらの工夫はできなかったのか。

タイムリーな出版を目指すのは当然だが、急ぎすぎたのか、訳がこなれているとは言い難く、日本語としてどうなのという表現が頻出する。

トッド氏の主張は明快なので、いっそ抄訳のほうがよかったのではないか。賢い人が要約したamazonレビューを読んだほうが勉強になるのはまずいのではないか。

(「小沢信者」である)堀茂樹氏の翻訳はなんとかしてもらいたい、というのには私も同感だ。

訳者批判のレビューだけではなんなので、他のカスタマーレビューも2件ピックアップしておく。

https://www.amazon.co.jp/review/R3JLUR98G6JKR0

★★★★★ トッドの言うことに耳を傾ける価値がある, 2016/1/21

投稿者 小倉光雄

Amazonで購入(詳細)

レビュー対象商品: シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書) (単行本)

シャルリ・エブド事件(ムハンマド風刺画を載せた出版社がテロ攻撃を受けた事件)に続いてわき上がった”私はシャルリ”を掲げた人々はどのような人たちだったのか。家族の構造から社会と政治を考えるトッドによる分析だ。後書きで秋の大規模テロ事件にも言及している。

フランス各県の宗教への傾倒度、共産党保守派への投票率の分析は、2つのフランスを明らかにした。ひとつはパリ盆地とプロヴァンス核家族(そこでは兄弟は平等だ)に由来する平等主義的考えに親和的なフランスであり、それは啓蒙主義の一変種としてのフランス共産党への支持につながっていた。もうひとつはノルマンディーブルターニュ等の周縁地帯で、父権主義的家族に由来する権威主義的心性のフランスであり、伝統的にはカトリック地帯だったが、今は形骸化していて、彼は、これをゾンビカトリックと呼ぶ。実は、この地域がフランス社会党の支持基盤だから、ここにねじれがある。つまり左派政党の支持基盤が実は右派層なので、社会党は無意識的には権威主義的で反共和的だとする。各都市での"私はシャルリ"デモ参加者の分析によれば、デモは平等主義的地域ではなく、権威主義的な地方で盛んであり、階層的には中産階級の上層部が多くこれは現在の既得権益層である。つまり、フランス言論の自由を今標榜しているのは、実はあまりそれに共感してこなかった人々で、言論の自由を盾に排他的考えが吹き上がっているのは、フランスの後者の要素が拡大しているだけだと言う。シャルリ・デモの間、フランス革命以来の標語である”自由”は声高に語られたが、もうひとつの価値観である”平等”は語られなかった事が、トッドにより指摘されている。もう少し広く見れば、実はドイツでの方がこのような勢力は強いと言う。元々ドイツでは、直系家族の伝統が強く不平等に親和性が高いからだ。

トッドは反ユーロ主義者で、ユーロ圏でのドイツ支配フランス経済の低迷を促し、それが移民層の若者を直撃していることが問題の原因であるとする。貧困状態に置かれた若者はいわゆるイスラム原理主義に向かうこともあるし、同じく郊外の若者層が高い失業率に喘ぐスコットランドでは英国からの分離主義に向かうこともある。彼は両者を同じ原因からの運動であると考えている。トッドは、イスラムの教義などは問題にしていないし、コーランに何が書かれているか、なども問題にしない。そもそも、インドネシアアラブ地域を比べれば分かるように、教義よりその地域の家族構造により政治的、社会的慣習が決まるからだ。アラブ地域では男兄弟は平等だが、女性はその平等から排除されているのに対して、インドネシアでは男性より女性の権利が強い。

では、移民問題をどう考えれば良いのか。トッドによれば、フランスでの異なる民族間での結婚率は相当高く、これは同化プロセスが急激に進行している事を示すと言う。右翼国民戦線活動家が、魅力的なアラブ系女性と暮らし始めると、国民戦線などからは簡単に離脱するということだ。それでは、移民の持ち込む民族文化・家族構造はどうなるのだろうか。それによりフランス的価値観はどうなってしまうのか。トッドは、心配ないと断言する。家族構造が決定的だが、それは家庭内で子供に親から伝わるだけではなく、家族が暮らす地域からも影響をうける。移民の子が作る友人、地域社会からの規範的考え方の受け入れが子の考えをフランス的価値観へと同化させる、仕上げは移民層ともとからのフランス人との結婚である。次の世代は、もう祖父母の出身地とは違う家族関係を作る。実際、調査によればフランスカトリック信者とイスラム教徒のうち、信仰活動に無関心である層の割合はあまり変わらないのだと言う。

長期的には大変納得できる話しである。しかし、短期的に100万人単位でヨーロッパにやってくる難民問題には彼は直接答えていない。失業率が高く、ムハンマドが侮辱される権利を擁護する大デモが起きる国に来たがる難民はいないから、と言う。この点に限り不満を感じた。

全体としてみると、データに基づき分析を進めて行くので、非常に説得力を感じた。ここでは詳しく書かなかったが、なぜ国民戦線が一定の支持を得ているのか、についても1章をたてて詳しく論じている。トッドは多文化共生と言う名のきれいごとー何かあればすぐ排外主義に変化する差異をあおる考え方ーには反対で徹底した同化主義者である。この意味を我々も深く考えるべきではないか。

そう、「トッドは多文化共生と言う名のきれいごとー何かあればすぐ排外主義に変化する差異をあおる考え方ーには反対で徹底した同化主義者である」んだよね。この点を頭に入れておかないと読む時に混乱する。また、トッドといわゆる「民族主義者」との相性が最悪であることは明らかだ。

https://www.amazon.co.jp/review/R1ZP3CER0UQHZG

★★★★☆ 言論の自由』を死守するためのデモに見えたものが、実は「ユーロ経済の不平等を許容する中産階級」と「20世紀後半にカトリック信仰が希薄化した地理的周縁部の人々」のそれぞれの不安の表れだったという本。, 2016/1/30

投稿者 kuma

Amazonで購入(詳細)

レビュー対象商品: シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書) (単行本)

 『私はシャルリ』(Je suis Charlie)のデモに限ってなぜ突然あれほど大勢の人が参加したのか不思議に思っていた。著者も「マイノリティ信仰を『冒涜する権利』は命をかけて守るというくせに、マイノリティが迫害されていることには無関心」と疑問を示す。

 著者は、全国各都市でのデモ参加者数を宗教的実践状況や大統領選挙での投票結果などの地域データと比較しながら、「私はシャルリ」デモを社会学的・家族人類学的に読み解こうとする。

 著者の主張の要点は、

(1) 『言論の自由』を死守するためのデモに見えたものが、実は「ユーロ経済の不平等を許容する中産階級」と「20世紀後半にカトリック信仰が希薄化した地理的周縁部の人々」のそれぞれの不安の現れに過ぎない。イスラム移民は両者の不安のはけ口(スケープゴート)にされた。デモには都市郊外に住むイスラム移民はもちろん、国民戦線の支持層である労働者階級も含まれていなかった。

(2) 中産階級を不安にさせている原因は、共通通貨ユーロに代表される不平等な経済システムである。ドイツ企業には好都合でもフランスには経済停滞をもたらし、そのしわ寄せは若者と移民に向かう。

(3) 移民の第2・3世代フランス社会に同化するので、むやみにイスラム教徒を恐れる必要はない。穏健な「ライシテ(世俗主義)」で折り合いをつければ良い。

(1)について、

 欧米諸国を「自由尊重−権威主義」&「平等志向−不平等容認」という2軸で分類すると、英米は不平等を黙認するリベラル、独は不平等で権威主義的、露は平等で権威主義的だという。肝心のフランスは18世紀半ばに脱カソリックした中央部(パリ盆地〜ボルドー及び地中海沿岸)は「自由・平等」的であるが、カソリック信仰が残った地理的周縁部はその逆の傾向(両者の折り合いをつけるための仕組みが「ライシテ(世俗主義)」)。

 しかし、20世紀後半に周縁部でも信仰が薄れ、そのゾンビ・カトリシズムの不安感が今回のデモ参加に反映しているという。

(2)について、

 同著者の「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる」(文春新書、2015.5)に詳しい。「自由・平等」的だったはずの都市部中産階級ユーロ経済のなかで不平等を許容せざるをえなくなった。平等主義の民衆は、移民に対して、自国文化への同化(ライシテ)を望むが、エリート層による多文化主義移民同化を遅らせるという問題もある。

 なお、学歴を背景とした中産階級にのしかかられた労働者階級は、自分たちより更に下に位置する移民を攻撃し、国民戦線FNの支持層となっている。

(3)について、

 イスラム移民の2世・3世は学校でフランス文化に絶えず触れており、彼らの約半数は他のグループと結婚しているので、仏国内に「閉鎖的なイスラム社会」ができる心配などする必要はないという。他方、北東ヨーロッパでは異民族間の結婚率は低いらしい。ここでもヨーロッパがまとまろうとすることに無理があると主張する。

 本書は国内政治批判、EU・ユーロ批判カソリック批判が満載だったので、フランス本国でかなり物議を醸したそうだ。読者は仏社会党がどうかまでは承知していないが、著者はわざわざ他人を怒らせようとしているかのように挑発的である。「冒涜する権利」を守ることは著者にとっても重要なのだ。「当たり前とは違う見方」として参考になる。

*1トッドは16〜18歳であった1967〜69年にはフランス共産党の党員だったこともある。

2016-06-30 あの「自幸共闘」の女・小池百合子が勝手に都知事選出馬宣言(呆)

メルケルのEUもEUだが、キャメロンのイギリスはEUよりもっとひどい

私は何も緊縮財政政策大好きの新自由主義者経済極右)にして「ドイツ帝国」の女皇帝とでもいうべきアンゲラ・メルケルに牛耳られるEUの肩を持つつもりなど毛頭ないけれど、EU憎しのあまり「敵の敵は味方」思考でキャメロンのイギリスの肩を持つかのような一部の論調は滑稽以外の何物でもないと思う。かのマーガレット・サッチャーの流れを汲むイギリス保守党の新自由主義を甘く見るなよ、と文句の一つも言いたくなる。

きまぐれな日々 イギリス国民投票のEU離脱決定が参院選に与える影響2016年6月27日)のコメント欄より。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1444.html#comment19678

>ピース氏

(略)

朝日新聞に載っていたデータとは違うね。

http://www.asahi.com/articles/photo/AS20160627000163.html

確かに労働党支持層の中に少なからず離脱支持がいたのは事実だし、「移民が安価な労働力として扱われ、それによって“先住”の労働者所得も低下する圧力となっている現実」も直視しなければならないことではあるんだけど、一方で保守党のキャメロン政権EU同様に緊縮政策をやって福祉の切り捨てをやってしまった面もある訳で、そうした「政権を懲らしめよう」という感情が離脱への投票に結びついたとも言える訳で。

英国在住の日本人主婦(ちなみに夫はオーストラリア人)が「Brexitというパンドラの箱https://blog.ladolcevita.jp/2016/06/25/pandoras_box_called_brexit/ というエントリを上げているんだけど、離脱派が喧伝した“EU加盟による弊害”ってのは(離脱派が言っていたような移民が原因というハナシではなくて)往々にしてイギリス自体の問題だったりするし、実際に離脱票が多かった地域は移民労働者が少ない地域が目立っていたのが事実。老人が離脱・若者が残留という“世代対立”の問題ってのも単純なハナシではなくて、寧ろ移民すら来ない地域の低学歴層が「反知性主義」よろしくで離脱を支持してしまったのが事実だったりする。

最初に2つばかりコメントしたのとも重なるけど、やはり「反知性主義」で動いた人間が体制側にも体制批判側にも目立ってしまい、それに翻弄された結果って気がするんだよね。アメリカのトランプやサンダース現象・EU諸国の“Brexit”同様の騒動も似た様なもんだし、日本でも“おおさか維新”現象ばかりかそれと対立している筈の“草の根保守”にも、更には昨今流行のSealdsなどの運動として顕わになっている感があるんだよ。『反知性主義http://amzn.to/28SBcZj の著者・森本あんりが日本記者クラブで「反知性主義」について言っていた http://www.jnpc.or.jp/files/2016/03/0d1575b959d7d0764b20bcb85e349560.pdf けど、森本の指摘を読むと「反知性主義」が我々の想像以上に根の深い問題であることが解るかと。

2016.06.28 19:02 杉山真大

上記の杉山真大(id:mtcedar)さんの論考が正鵠を射ていると思う。

今回、キャメロンのイギリスの肩を持っている人たちのよりどころの一つとして、エマニュエル・トッドの「ドイツ帝国」の論考があることは明らかだろうが、そのエマニュエル・トッドの『シャルリとは誰か?』(文春新書)を今読んでいる。残るはあと30ページほどだから今日中に読み終えるだろう。昨夜、その終わりの方に下記の文章を見出し、これは日記に転記しなければ行けないなと思った。



以下、上記の本から引用する。

 スコットランド原理主義

 一月一一日のデモ行進*1では、イギリス首相デーヴィッド・キャメロンも気取って先頭を歩いていた。経済メディア普段からわれわれに彼の政策の「成功」を伝えている。ところが実は彼の政策ユーロ圏のそれと同じくらいに緊縮策で、これまたユーロ圏同様に、国民の所得の中間値が下がっていくのをいっこうに止められないでいる。とりわけ、若者たち所得の低下がひどく、ときに彼らは、大学等を卒業した後、また親の家に舞い戻ることを余儀なくされている。若者の自立を要求するアングロサクソンのコードとは絶対的に矛盾する事態だ。しばしばプチ・ブルジョワではあるが、国立行政学院(ENA)で養成されるフランスの指導層も劣化している。だが、イギリスの指導グループはそれにも輪をかけて滑稽だ。彼らは中等教育の段階からエリートとして選抜され、例のイートン校をはじめ、莫大な額の授業料を取るひと握りの私立校の卒業生ばかりで、皆が「お仲間」なのである。

 グラスゴーエディンバラにはパキスタン出身の移民は少ないし、ジハードへのスコットランドの貢献はおそらくごくささやかなものに過ぎないだろう。しかし、デーヴィッド・キャメロンは彼自身の時代の価値(とりわけ株価)を盲信して、スコットランド若者たちを統一王国(ユナイテッドキングダム)からの分離へと導いたのだ。二〇一四年九月の国民投票で、一六歳から三四歳のスコットランド人のうちの五七パーセントが、こうして統一王国からの離脱を選んだ。その離脱を阻んだのは、六五歳以上の人口層の七三%だった。統一王国の歴史を知っている者にとって、この内部的崩壊の脅威――若年層の疎外によるものだが――、これは暴力性は低いとはいえ、われわれの国の都市郊外で起こっているジハード主義に劣らずショッキングだ。一七〇七年の連合法が二つのネイション議会を一体化し、スコットランドの素晴らしい繁栄の時期を拓いたのだった。その後、この北方の小さなネイションイギリスの知的、科学的な歴史に貢献した度合いは巨大なものであった。デーヴィッド・ヒューム、アダム・ファーガソン哲学者、一七二三〜一八一六年]アダム・スミス、ジェームズ・ワット、ジェームズ・クラークマックスウェル[理論物理学者、一八三一〜七九年]ケルヴィン[名はウィリアム・トムソン物理学者、一八二四〜一九〇七年]……ネイションネイションの接合がこれほど成功した例は珍しかった。統一王国のおかげでスコットランドは近代の先頭ランナーのうちに名を連らねて*2いたのだ。したがって、スコットランド若者たちの疎外現象は、今日、リズムと形はさまざまであるにしても、いたるところで西洋社会の固有の堅固さが危うくなってきていることを示すものだ。今後はありとあらゆる離脱が考えられる。

エマニュエル・トッド堀茂樹訳)『シャルリとは誰か? - 人種差別と没落する西欧』(文春新書,2016)252-254頁)

トッドでさえもこんなことを書いている。くだらない敵味方思考にかまけている者は、いい加減目を覚ますべきだ。

興味深いのは、イギリスEU離脱国民投票では、若年層に離脱反対票が多かったが、それを阻んだのは高齢者たちの離脱賛成票だったことだ。トッドが指摘するスコットランド独立の国民投票の結果とはまさに正反対だ。それを考えると、イギリス国内、とりわけイングランドよりもスコットランドで顕著に見られると思われる「若年層の疎外」は、EUと同じくらいか、あるいはEU以上に深刻なのではないか。

今回のイギリス国民投票の結果が出た直後に日本で多く見られた、EU離脱国民投票の「再投票」との観測は実現しない一方、スコットランド独立への動きはますます加速するのではないかと私は予想している。

噴飯! あの「自幸共闘」の女・小池百合子が勝手に都知事選出馬宣言(呆)

あの「自幸共闘」の女にして週刊文春から「女舛添」との仇名を頂戴した厚顔無恥の権化・小池百合子が、なんと「安倍晋三に『相談してない』 都連の了承も『一切ない』」まま、都知事選出馬を勝手に表明した。

小池百合子氏が都知事選への出馬表明「飲食代は自腹、やせ我慢でいく」

小池百合子氏が都知事選への出馬表明「飲食代は自腹、やせ我慢でいく」

投稿日: 2016年06月29日 13時34分 JST 更新: 2016年06月30日 00時11分 JST


舛添要一知事の辞職に伴う都知事選について、自民党小池百合子防衛相が6月29日に記者会見を開き、「自民党議員として出馬の決意を固めた」「東京で初めての女性知事を目指す」と立候補の意向を表明した。

■韓国人学校への都有地の貸し出しは「白紙へ」

小池氏は、舛添前知事が進めていた韓国人学校への都有地の貸し出し問題について問われると「答えはシンプル。白紙とするべきだと考えております」と、当選した場合は計画を撤回する方針を述べた。

舛添前都知事が追求された政治資金公私混同については「テレビ東京池上彰さんの番組でも説明したが、飲食代は誰と食べて、どんな会議内容なのか分かりにくいのは事実」と述べた。その上で、「飲食代は計上しない。自腹、やせ我慢でいく」と「会議代・飲食代にまつわる政治資金上の問題はおこらない」という認識を示した。

自民党内は現時点で候補を一本化できず

ただ、自民党内で候補の一本化は未だ図られていないようだ。自民党内からは桜井俊・前総務事務次官出馬を期待する声もある。

小池氏は、仮に自民党から公認・推薦が得られなかった場合について、「これからの情勢を見極めながら決めていきたいと思います」と判断を保留した。その上で、「党のしかるべき方にご相談をした。いろいろな方々とご相談したいと思います」と述べたが、自民党東京都連から支援を得る了承は、現時点で得られていないことを明かした。名前が取り沙汰されている桜井氏については「事務次官までつとめられたたいへん立派な方」と評した。

この日、萩生田光一官房副長官は午前の会見で「東京都連執行部に何ら相談もなく出馬の意思を表明することにやや違和感がある」「正直ビックリしております」と、小池氏の出馬表明について疑念を呈した。

■元ニュースキャスター小池百合子氏とは

小池氏は衆議院東京10区選出、当選8回の63歳。カイロ大学卒業。テレビ東京ニュース番組ワールドビジネスサテライト」の初代キャスターなどを経て、参議院議員に当選。その後、衆議院に鞍替えし、これまでに環境相防衛相自民党の総務会長などを歴任した。環境相時代には「クール・ビズ」の旗振り役を担った。

この日の会見では国政経験などをアピールした上で、「2020の東京オリンピックパラリンピックの成功はもとより、ポスト2020をにらんだ新しい東京を創造する」と語った。経済政策については、「成長戦略のけん引役にならねばならない。アベノミクス東京から発信していく」と、安倍政権との連携を図る意向を述べた。

ハフィントンポストより)

自民党石原伸晃が桜井俊氏に正式に出馬要請を行ったが断られたという。石原が小池の勝手な出馬宣言に呆れて批判している様子は昨夜(6/29)の報ステで見たが、これに冠してもどっちもどっちだなあと思った。石原自身、2012年の自民党総裁選で自らの総理大臣になりたさのあまり谷垣禎一を裏切り、麻生太郎に「平成の明智光秀」「人としてどうか」などと批判され、石原が甘利明の辞任を受け後任の経済財政相に就任した時にも「得意でない分野」だなどと麻生に皮肉をかまされた人間である。もっともその麻生麻生であって、まったくどいつもこいつもとしか言いようのない三者が三者いがみ合っている醜態であって、こいつらを十把一絡げにして廃棄処分にしたいとの欲求に駆られる。

それはともかく、小池百合子で思い出されるべきは、2009年の「政権交代選挙」で見せた下記の醜態だろう。

小池百合子、幸福実現党と「自幸共闘」 - kojitakenの日記(2009年8月18日)

嘘のような本当の話。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090818-OHT1T00025.htm

小池氏、幸福実現党とタッグ結成も「金正日拘束」「ミサイルUターン」にドン引き…東京10区

 東京10区から立候補する自民党小池百合子防衛相(57)が17日、幸福実現党の泉聡彦氏(38)との共闘を宣言した。

 10区では無所属での出馬を予定していた小林興起氏(65)が民主党比例東京ブロックに公認され、民主候補の支援に転身。これに危機感を持った小池氏の陣営は、14日に泉氏に選挙協力を打診した。これに泉氏は「小池さんと志は一緒」と回答、あっさり不出馬を決めた。

 17日は、北朝鮮による拉致工作の拠点とされる東京池袋のクラブ「ニューコリアン」跡地前で2人そろって演説自公」ならぬ「自幸」の共闘に、小池氏は「幸福実現党拉致問題についてしっかりと協力していきます」と語った。

 ただ、泉氏が「北朝鮮にレンジャー部隊を送り込み、金正日を拘束して東京裁判にかける」と仰天プランをぶち上げると、小池氏の表情は若干曇り引いた感じに。さらに「小池さんは、(幸福実現党比例東京ブロック出馬する)ドクター中松さんの『ミサイルUターン技術(撃ち込まれたミサイルをUターンさせ自爆させる発明)』にも理解を示されております」と畳み掛けられるとそそくさと車に乗り込んで、演説会場を後にしていた。

スポーツ報知 2009年8月18日 6時01分)

上記はスポーツ紙の報道ではあるが、この件は今朝の朝日新聞にも出ていて、幸福実現党の泉氏側のコメントとして、小池側から選挙協力の要請があったと書かれている。

まあ、民主党の比例に回った小林興起の方も、リチャード・コシミズを頼ったような人物だから、小池と小林は似た者同士と言えなくもないけれど。

こんなやつにだけは都知事に当選させてはならない。

*12015年1月11日、週刊新聞社シャルリ・エブド襲撃事件を受けて、パリをはじめとするフランス各地で行われた「私はシャルリ」を合言葉とする反テロのデモ=引用者註

*2原文ママ=引用者註

2016-06-29 ドイツ・メルケル・富裕層・金融資本こそ「キリギリス」では?

ドイツ・メルケル・富裕層・金融資本こそ「キリギリス」では?

きまぐれな日々 イギリス国民投票のEU離脱決定が参院選に与える影響2016年6月27日)のコメント欄より。ここでは素朴な疑問を呈するにとどめる。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1444.html#comment19672

経済。日,米,英,南欧諸国の「キリギリス」兄弟がバブルの宴に踊った挙句の後遺症に苦しむのを尻目に,堅実な経済運営に徹し続けた「アリ」。

レーガン政権時代の米国から「貿易黒字を減らせ」と執拗に要求されたのは,日本もドイツ(当時は西独)も同じだったが,その後の展開は大違い。

日本は「前川リポート」を掲げ,「日米構造協議」「年次改革要望書」に従い,米国のいいなりに巨額の公共投資金融自由化,市場開放,大店法廃止に踏み切った挙句,バブル狂乱とその崩壊で奈落の底,郊外ロードサイド乱開発とシャッター商店街量産で地域経済は見る影もなくボロボロに。

片やドイツ。無茶な「内需拡大」を断固拒絶し,ブラックマンデーの後も米国の意向に逆らって金融引き締めを断行(日本は超金融緩和の続行でバブルの火に油を注ぐ破目に),金融規制も大型店舗規制も基本的に維持。確かに東西ドイツ統一の財政負担では苦しみ,ITバブルには小踊りしてずっこけ,南欧諸国のバブル景気の折には「欧州の病人」と揶揄され,リーマンショック直後には輸出激減に見舞われもしたが,今や盤石の一人勝ち。華はないが,大コケもしない。

2016.06.28 01:25 品川に今住む住まい庭が無し

ほんとかね。

ドイツメルケル富裕層金融資本こそ「キリギリス」ではないかと思うけどな。

もちろん、日本の指導層も別種の「キリギリス」なわけだけど。

とりあえず、上記の議論において、「アリ」はどこにも出てこないことだけは確かだ。

2016-06-28 毎日新聞「えらぼーと」への回答に見る国民怒りの声・小林興起の欺瞞

毎日新聞「えらぼーと」への回答に見る「国民怒りの声」小林興起の欺瞞

少し前に書いた 小林興起擁立で誰からも顧みられなくなった小林節の「国民怒りの声」 - kojitakenの日記2016年6月23日)のコメント欄より。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20160623/1466635957#c1466659674

id:nessko 2016/06/23 14:27

小林興起

郵政民営化に反対して、小泉に刺客送られて負けた人ですね。あのころのなんでも民営化熱には流されずまともなことも言っていた人だったのですが、思想的には右寄りでしょう。当人もそれをごまかしたりしたことは過去にもない。リベラル左派と相性がいいようには見えません。

何が起こっているんだと戸惑いますが、とにかく小林興起は政界にいたいし、だから、そのためにはつかめるものはなんでもつかむ、ということでしょうか?

小林興起が小泉に刺客を送られて負けた時の「郵政総選挙」の直前に、小林興起石原慎太郎フジテレビの『新・報道2001』に出たことがあります。あの時、石原は小林擁護論をぶとうとして、司会の黒岩祐治以下、小泉を応援する他の出演者の白い目にたじろいで、「うぐっ」と言って小林を擁護する言葉を飲み込んでしまい、言いたかったであろうことをろくに言えずに終わったものでした。

小林興起郵政民営化反対論は、当時評判をとった右翼国粋主義者関岡英之が書いた『拒否できない日本 - アメリカの日本改造が進んでいる』(文春新書)でも絶賛されたものでした。nesskoさんの小林興起に対するポジティブなイメージも、当時の小林の郵政民営化反対論の印象によるものと推測します。

しかし、小林興起評価できるのは、郵政民営化に反対したそのことだけだと私は思います。

小林は、2005年の郵政総選挙では、nesskoさんのお嫌いな田中康夫とつるんで新党日本から立候補し、惨敗しました。

さらに、一時あの悪名高き陰謀論者であるリチャード・コシミズを頼るまでに落ちぶれたあと、2009年の政権交代総選挙小沢一郎に拾われ、民主党比例代表名簿に載せてもらって衆院議員に復帰しました。

このあと小林は、減税日本に入ったり日本未来の党に入ったりと、小沢一派の「走狗」として活動してきましたが、2012年に(減税日本と合流した)日本未来の党から立候補して落選したあとは国政に復帰できていません。

要は、小林興起の正体は「節操のない奴」に過ぎないのです。

そのことを改めて認識させられたのが、毎日新聞の「えらぼーと」に対する小林の回答でした。

http://vote.mainichi.jp/24san/

私は東京選挙区なので、選挙区の各候補者の回答と自分の回答の一致度が表示されます。

その結果は、小林興起と私との一致度は、増山麗奈社民)81%、山添拓(共産)78%に次ぎ、小川敏夫(民進)と並ぶ74%という数字でした。他の主な立候補者との一致度は、田中康夫(お維)63%、三宅洋平無所属)59%、蓮舫(民進)52%、中川雅治自民)37%、竹谷とし子公明)37%、高樹沙耶改革)37%、椙杜徳馬(幸福)33%、鈴木麻理子(こころ)30%、朝日健太郎自民)11%などとなります。

私は国政選挙の度に「えらぼーと」をやってみるのですが、社共候補者との一致度が高いのはいつものことです。で、小林興起の回答は、民進党の中ではリベラル派なのであろう小川敏夫と同じで、社共候補者とそんなに差のない数字になっています。民進党右派候補者である蓮舫よりはるかに高い数字です。

このことから、今の小林興起が本音を隠して「リベラル左派」に媚びを売っていることは明らかでしょう。

そんな小林興起を私は嫌悪しますし、小林興起を担いだ小林節に対しては、しょせんその程度の男だったか、という失望感しか持ちません。