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kojitakenの日記

2018-01-17 「派遣切り『2018年問題』にご注意を 法改正から3年」(朝日)

「派遣切り『2018年問題』にご注意を 法改正から3年」(朝日)

いわゆる「2018年問題」には、2013年4月施行の改正労働契約法2015年9月30日施行の改正労働者派遣法の2つの法律に定められたタイムリミットがいずれも今年で、前者は5年以上働いた有期契約労働者の無期転換、後者は3年以上同じ職場で働いた非正規雇用労働者正規雇用への転換を義務づけるものだったかと記憶する。そのいずれについても、「雇い止め」の恐れが法改正当時から指摘されていた。一昨日(15日)の朝日新聞朝刊2面に掲載された下記記事は、後者について書かれたもの。

派遣切り「2018年問題」にご注意を 法改正から3年:朝日新聞デジタル

派遣切り「2018年問題」にご注意を 法改正から3年

釆沢嘉高

2018年1月14日23時13分

 派遣社員を雇い止めする「派遣切り」が今年、多発する可能性がある。派遣労働者の直接雇用を促す目的で、派遣期間を一律3年に限る改正法の施行から秋で3年を迎え、その後、雇用契約した人たちが、派遣先の直接雇用か、雇い止めかの分岐点に立つためだ。弁護士研究者は「2018年問題」と注意を促し、ネット上で無料相談を受け付けている。

 弁護士たちが懸念するのは、例えば次のようなケースだ。大手企業で十数年、文書ファイリングの仕事をしてきた派遣社員派遣元とは1年ごとに契約を更新してきたが、派遣先からは今年中の雇い止めを示唆された。派遣社員側には「長年働いてきたのに、今後は働き続けられないのか」との思いが残る。

 このケースのような文書ファイリングのほか、秘書、翻訳など政令で定められた26の業務には従来、派遣期間に制限がなかった。厚生労働省によると、15年9月に労働者派遣法が改正される前には約134万人の派遣社員の4割が、これら26業務に就いていた。

 しかし、同法の改正で、企業が同じ派遣社員を受け入れられる期限が一律3年までとなった。

 「3年」と期限をつけた改正案について政府は「正社員を希望する人にはその道が開かれるようにする」「派遣元の責任を強化し、派遣就労への固定化を防ぐ」としていた。

 しかし、最終的に「抜け道」もできた。例えば、企業は3年たったら、別の派遣社員に切り替えられる規定がある。企業にはこうした措置に際して、労働組合の意見を聞くことが義務づけられているものの、直接雇用をせず派遣に仕事をさせ続けることが可能だ。

 期間制限が裏目に出て、26業務従事した人たちが法改正から3年の9月以降、相次いで雇い止めとなるおそれがある。

 社員の側が派遣のままで構わな…

朝日新聞デジタルより)

はてなブックマーク」のコメントを見ると、「そんな話は前からある。何を今更」という感想が多い。私もそう思うが、両法とも4月1日付人事がどうなるかで「雇い止め」がどの程度あるかが明らかになる(派遣法の方は施行が2015年10月1日ではなく9月30日になっているため10月1日付人事では間に合わない。法改正と施行が遅れたのは、国会安保法の審議で紛糾したため)。だから今記事にする意味は十分あるだろう。

私の勤めている職場では、2015年から16年にかけて、非正規雇用から正規雇用への一部転換が順次行われたが、2016年4月1日付を最後にその動きがピタリと止まった。それがどうなるかにも注目している。

2018-01-16 凋落の一途をたどる「希望+民進」が統一会派結成に「正式合意」(呆)

凋落の一途をたどる「希望+民進」が統一会派結成に「正式合意」(呆)

各社の世論調査希望の党民進党政党支持率がすごいことになっている。まず共同通信の1/13,14の世論調査より。

https://www.nikkansports.com/general/news/201801140000566.html

 政党支持率自民党が前回比1・3ポイント増の38・4%、立憲民主党は0・2ポイント増の12・7%希望の党は2・0ポイント減の1・2%公明党2・8%、民進党1・3%共産党3・8%、日本維新の会2・4%、自由党0・1%、社民党0・6%、「支持する政党はない」とした無党派層は35・4%だった。(共同)

立憲民主党政党支持率自民党の3分の1で、希望の党民進党政党支持率合計は立憲民主党の5分の1。つまり「希望+民進」は自民党の15分の1の政党支持率しかない。

JNNはもっとすごい。共同と同じ1/13,14の調査結果。

http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/yoron/backnumber/20180113/q1-2.html

自民党 33.8% (-1.9pt)

立憲民主党 11.3% (+1.5pt)

希望の党 0.6% (-0.4pt)

公明党 3.3% (+0.2pt)

共産党 3.5% (-0.2pt)

日本維新の会 1.8% (+0.7pt)

自由党 0.1% (-0.1pt)

社民党 0.4% (-0.3pt)

民進党 1.2% (±0pt)

(それ以外の政党を支持) 0.8% (-0.1pt)

(支持する政党はない) 41.3% (±0pt)

(答えない・わからない) 1.9% (+0.5pt)

やはり立民は自民の3分の1で、「希望+民進」は立民の5分の1にも満たないのだが、希望の党政党支持率0.6%を昨夜(1/15)のNEWS23の画面で見た時には腹を抱えて笑った。ざまあみろ。

しかし笑いごとでないのは希望と民進との統一会派結成合意だ。なんと合意から「安保違憲」を外してきやがった(怒)

希望執行部、分党を提案へ 民進と統一会派、党内に異論:朝日新聞デジタル

希望執行部、分党を提案へ 民進統一会派、党内に異論

2018年1月15日22時57分

 民進党希望の党は15日、基本政策に関する文書を交わし、国会での統一会派結成に正式合意した。実現すれば、衆院立憲民主党の会派を数で上回り、衆参両院で野党第1会派になる。両党は17日にも、全所属議員を対象にした会合をそれぞれ開き、了承を得る段取りを描くが、希望執行部は異論があることを踏まえて分党を提案する見通しで、いずれも分裂含みだ。

 民進増子輝彦、希望の古川元久幹事長らは東京都内で会談統一会派結成に向けた合意文書づくりで焦点だった安全保障法制への対応は、「違憲と指摘される部分を削除することを含め、必要な見直しを行う」との文言で折り合った。増子氏は記者団に、統一会派を実現したうえで、新党へ移行する可能性にも言及した。

 だが、15日の民進執行役員会では、小川敏夫参院議員会長が「希望は集団的自衛権容認している。何が違憲か明示すべきだ」と合意内容に懸念を表明。同日夜には約10人の民進議員と都内で会合を開き、会派結成阻止で一致した。民進議員らを中心とした衆院会派「無所属の会」(岡田克也代表)にも反対論がある。

 一方、希望の松沢成文参院議員団代表は玉木雄一郎代表との協議で、「総選挙公約反故(ほご)にすることになる。(民進との統一会派は)絶対に受け入れられない」と主張。執行部側は分党で沈静化を図る構えだが、民進内の情勢次第では会派構想自体が頓挫する可能性もあり、民進の動向を見極める方針だ。

朝日新聞デジタルより)

希望の党は分党などと言わず解党すべきだ。この政党は、小池百合子総理大臣にするために結成された政党であって、小池がトンズラした今、存在意義など何もない。政党支持率凋落の一途をたどるのも当たり前だ。参議院右派が多く残る民進党統一会派を組んで「衆参で野党第一党」などとはあまりにも虫が良すぎる。

それもこれも、長年にわたって「民進党信者」どもが民進党右派国会議員らを甘やかし続けた結果だ。彼らの多くは、今では何食わぬ顔をして立憲民主党支持者面しているのだろうが、彼らの心性は「小沢信者」と何ら変わるところがないので、立憲民主党や代表の枝野幸男への批判を断じて許さないという態度を取って、立民の「草の根」からの「ボトムアップ」にとっての大きな阻害要因になるだろう。

今、立憲民主党の支持者に求められるのは、そういった「信者」的体質の克服だ。

2018-01-11 「『ブラック企業』は『差別用語』か」に「答え」が出た!?

「『ブラック企業』は『差別用語』か」に「答え」が出た!?

立憲民主党が「公務員人件費総額削減」などという寝言をほざいているようだが、それを批判する記事は別途書くことにして、こたつぬこ氏のツイートで思い出した件を書く。

https://twitter.com/sangituyama/status/950314019558010880

何年か前に「ブラック企業」というときに「ブラックとか言うのは黒人差別だ」なる批判が一部左翼からされましたが、答えはこれですよ。

BBCニュース - ゴールデングローブ賞でスターの衣装は黒、黒、黒 性的暴力に抗議 http://www.bbc.com/japanese/42600676

https://twitter.com/sangituyama/status/950315120294477827

日本、だけではないのかもしれませんが、馬鹿右翼も馬鹿左翼も、歴史的、対抗的文脈を読まないで記号的にいいか悪いかの判定をやりますからね。そういうのはいいかげん突破したほうがいいですよ。

https://twitter.com/sangituyama/status/950319011211849728

年末の番組で、黒塗りしてるダウンタウンはもちろんアウト。でも、黒であることは、人間の尊厳であり、受け身でなくそれが世界をきりひらくことを称賛することが、いまはだいじなんじゃないかな。

(最後の引用文で一文字明らかな誤記を修正した=引用者註)

「一部左翼」の一例として、檜原転石という人が「『ブラック企業』というときに『ブラックとか言うのは黒人差別だ』なる批判」をしていた。檜原氏は私が開設している「きまぐれな日々」にこの主旨の批判コメントをしてきたし、村野瀬玲奈氏のブログにも同主旨のコメントをした。村野瀬氏は檜原氏の意見に説得され、それを独立したエントリにして紹介したのだが、私は檜原氏の主旨に真っ向から反対し、檜原氏のコメントを紹介した村野瀬両氏の記事について、「この記事の主張に全面的に反対する。」とのブコメをつけたほか、下記記事を公開したのだった。こたつぬこ氏のツイートを見て、いつ頃だったかなと思ったら、4年あまり前の2013年暮だった。

2013年暮の記事の最後に私は、

ブラック企業」という言葉に黒人を差別する意味合いで用いられた文脈があるという証拠が示されれば、私は立場を直ちに変えるものである。

と書いたが、その「証拠」に私は未だにお目にかかっていない。

従って今回も、こたつぬこ氏の主張に強く共感するものだ。

2018-01-10 「米国で使用制限された農薬が日本で解禁に」

「米国で使用制限された農薬が日本で解禁に」(サステナブル・ブランドジャパン)

アメリカでも規制をされている農薬が日本で解禁 : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)

あまりにもひどい。酷すぎる。

アメリカでも規制をされている農薬が日本で解禁されるそうです。

安倍政権というのはカイシャの利益のためには何でもする。

そういう開発独裁丸出しの政権と言うことでしょう。

米国で使用制限された農薬が日本で解禁に | SUSTAINABLE BRANDS JAPAN

リンク先の記事を以下引用する。

米国で使用制限された農薬が日本で解禁に

2017.12.28

国連が設置した科学者組織「IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)」の報告書によると、ハチなどの生物がもたらす経済的利益は、世界全体で最大年5770億ドル(約64兆円)に上るとしている。農林水産省は12月25日、ネオニコチノイド農薬一種である殺虫剤スルホキサフロルを農薬として新規登録した。同剤は、ミツバチへの毒性が強いことから、米国では厳しく使用制限され、フランスでも一時禁止とする予備判決が下されている。これを受け、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京新宿)は声明を発表し、厳しく批判している。(オルタナ編集部=吉田広子)

20年ほど前から、世界各地でミツバチが大量死する蜂群崩壊症候群(CCD)という現象が起きている。15カ国53人の科学者からなる「浸透性農薬タスクフォース」(TFSP)は2014年、ネオニコ系農薬をはじめとした浸透性農薬ミツバチ減少の要因であると結論付けた。ネオニコ系農薬は「神経毒性」「浸透性」「残留性」の特徴を持つ。農作物の受粉を助けるミツバチの大量死は、食糧問題にもつながる。

国連が設置した科学者組織「IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)」の報告書によると、ハチなどの生物がもたらす経済的利益は、世界全体で最大年5770億ドル(約64兆円)に上るとしている。

世界各国で規制が進む

欧州委員会は2013年から、ネオニコ系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用の暫定禁止措置を継続している。2018年春をメドにネオニコ系農薬3種は全面使用禁止(温室を除く)になる予定だ。

今回日本で農薬に登録されたスルホキサフロルは、ネオニコ系農薬と同様の浸透性農薬でありながら、物質の構造から別系統に分類するという見方がある。2018年9月からすべてのネオニコ系農薬が全面禁止されるフランスでも、スルホキサフロルは承認を受けていた。だが、環境NGO行政訴訟を起こし、2017年11月に一時禁止とする予備判決が下された。

米国では一時禁止されていたものの、2016年10月に使用条件を厳しくしたうえで再登録された。特にミツバチへの影響が懸念されるかんきつ類やウリ科野菜(キュウリなど)への使用は禁止され、リンゴやナス科野菜(トマトなど)の開花期の使用を禁止されている。

日本でスルホキサフロルが使用される作物は、キャベツ、だいこん、きゅうり、トマトミニトマトレタス、かんきつ、なし、りんご、稲である。米国のように開花期の使用制限は設けられていない。

日本でスルホキサフロルの登録申請を行ったのは、ダウ・アグロサイエンス日本(東京品川)、日産化学工業(東京千代田)、北興化学工業(東京・中央)の3社だ。

パブリックコメントに多くの反対意見

これまでスルホキサフロルの残留基準値に関するパブリックコメントは2回実施され、第1回は537件、第2回は386件の意見が寄せられた。その多くが反対意見で、第2回のうち賛成意見は16件にとどまった。

グリーンピース・ジャパン「食と農業担当」の関根彩子氏は、「私たち消費者養蜂家、科学者を含む市民は、1000件以上のパブリックコメントや約8000筆の署名を通し、厚労省に対して危険な農薬はいらないことを何度も訴えてきた。今回の決定は、その市民の度重なる声や科学的意見を無視するもので、容認しがたい結果である」と批判する。

関根氏は「スルホキサフロルは、ミツバチに毒性が強いことから米国でも使用が制限されている農薬であり、発達段階にある子どもにも悪影響を及ぼす可能性がある。厚労省は、無視できないリスクがあるにも関わらず広範囲にわたる残留基準を決め、また、農林水産省は、ミツバチへの毒性に関する情報を充分開示しないまま登録を決めている。政府は市民への説明責任、そして、健康や環境を守る責任を果たしていない。政府は、危険な農薬の使用拡大をやめ、生態系の力を生かす農業を支援するべき」と訴えている。


吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

サステナブル・ブランドジャパンより)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長

大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナ入社2011年から現職。

オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ障がい者雇用LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。運営。

人口が減少期に入って久しい日本において、1950〜60年代岸信介総理大臣をやっていた時代)を思わせるアナクロな「開発独裁」の政策を進める安倍晋三

当然ながら、その政策は "sustainable" に真っ向から反している。

昨年の総選挙前後のゴタゴタにかまけて、この日記にも読書ブログにも書く機を逸したが、昨年秋に半世紀以上前に書かれた歴史的名著であるレイチェル・カーソンの『沈黙の春』(新潮文庫)を遅ればせながら買って読んだ。


沈黙の春 (新潮文庫)

沈黙の春 (新潮文庫)


この本の中に、昨年ニュースで大きく取り上げられたヒアリの話が出てくる。カーソンはヒアリの害を過小評価していたところがあった。

で、ネット検索をかけてみたところ、産経が鬼の首を取ったようにこの件を取り上げ、下記の記事を垂れ流していた。

【産経抄】「沈黙の春」がヒアリの拡大を許した 7月12日 - 産経ニュース

産経抄

沈黙の春」がヒアリの拡大を許した 7月12日

 クラムチャウダーという料理がある。貝のむき身にジャガイモやタマネギなどの野菜を加えて作る。発祥の地である米国東海岸では、現地でよく採れるホンビノス貝が使われる。

 ▼ハマグリを大きくしたような貝が平成12年ごろから、東京湾でも見られるようになった。外国貨物船のバランスを取るために注入されるバラスト水に紛れ込んで運ばれてきたらしい。今では、江戸前の新顔として定着している。

 ▼こんな外来生物なら大歓迎だが、そうは問屋が卸さない。17年に施行された「外来生物法」で指定された、日本の生態系を乱す生物との戦いは終わりが見えない。22年前に大阪府で発見されて大騒ぎとなったセアカゴケグモは、今も生息域を広げている。

 ▼国内各地で発見の報告が相次いでいるヒアリは、この毒グモと比べても攻撃性と毒性ともに高いというから、恐ろしい。アルゼンチン原産の凶暴なアリは、1930年代に貨物船の積み荷に潜んで、米国南部侵入した。被害を大きくしたのは、環境汚染告発者として知られる米国の生物学者、レイチェル・カーソンとの指摘もある。62年に発表した『沈黙の春』で、ヒアリの被害を否定し、農薬の危険性を強調していた(『アリの社会』東海大学出版部)。

 ▼その後もオーストラリア中国台湾へと「密航」を続け、ついに日本にたどり着いたというわけだ。まさにグローバル時代を体現している生き物である。米国ではヒアリに刺されて年間約100人が死亡し、5千億円もの経済損失が出ている。

 ▼専門家によれば、ヒアリが巣を作って数年後、羽を持った女王アリが飛び立ってしまえば、駆除が難しくなる。テロとの戦いと同じように、水際作戦を成功させるしかない。

産経ニュース 2017.7.12 05:03更新)

私はこの記事を読んで、ああ、日本の右翼にはとことん「科学リテラシー」が欠けてるんだなあと思った(阪大教授の菊池誠などは左派科学リテラシーばかり問題にしつつ安倍政権ネトウヨにすり寄っているようだが、私見では科学リテラシーの悲惨さにかけては右派左派の比ではないと思う)。理由は後述する。その前に、『沈黙の春』の「アマゾンカスタマーレビュー」から、あるレビューを挙げておく。やや古く、2003年に書かれたレビューだ。

https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1AYT4CTKHPAHT/

★★☆☆☆ 必読書

投稿者 小田k 2003年11月5日

原題「生と死の妙薬」が示すとおり

農薬や殺虫剤等の化学薬品がもたらした実際の環境(生態系)破壊について書かれた言わずとしれた啓発書です。

事例はよく調べられており、表現力豊かに書かれていて読みやすい文章、訳もいいと思います。

化学薬品がどのような影響を及ぼすか実感をこめて理解することができるでしょう。

しかし同じような例がこれでもかこれでもかと出てくるので段々飽きてくるのですね。

最後まで読む方が大変でした。

そしてもう一つ。古い(本の宿命ですが)。

40年前の本です。もはや環境問題の質も激変しています。

最終章でカーソンが出した解決策も、あとがきによって解決策と成りえなかったと一蹴されてますし。

この本が鳴らした警鐘には大きな力と意義があったようですが、有名だしちょっと読んでみようか、という人には、おすすめしません。

レビュー主は「原題『生と死の妙薬』」などと書いているが、これは1964年新潮社日本語訳*1を出した時に、誰に「忖度」したのかわからないが勝手につけた頓珍漢な邦題だ。英語の原題は "Silent Spring" であり、「沈黙の春」こそその直訳になる。本の中身を読めばわかるが、「生の妙薬」に該当する記述などほとんどない。

また、「最終章でカーソンが出した解決策も、あとがきによって解決策と成りえなかったと一蹴されてます」という部分についても、評論家・筑波常治が1973年3月に書いた新潮文庫の解説文を参照すると、カーソンが推奨した「天敵の利用(による害虫の駆除)にしても、自然界のバランスの破壊であることにはかわりなく」というごく常識的な指摘に過ぎない。

どうも日本では、邦訳本のタイトルを細工したり、変なやり方で本の印象操作を行ったりして、結果的に製薬会社に塩を送って、自らを含む日本に住む人間に害をもたらそうとする自虐的な風潮が強すぎるように思う。

だから産経の破廉恥な記事や安倍政権の破廉恥な政策がまかり通ってしまうのだろう。

産経の記事についていえば、アメリカでは50年代から60年代にかけて、有機塩素系や有機リン系農薬ヘリコプターで空から散布するという野蛮なことをやっていて、そのために自然破壊はおろか人体へも悪影響を与える一方、「害虫」の中でも薬剤に抵抗力を持つ遺伝子を持った個体のみが生き延びてその子孫が繁殖した。結局「百害あって一利なし」であることは今や常識だ。私は『沈黙の春』に出てくる農薬の名前について、ネットで構造式を調べながら読んだが、有機塩素系だの有機リン系だの、こんなのをヘリで空から大量に撒いてたのかよ、と空恐ろしくなると同時に、そんな時代のアメリカに生きてなくて良かったと思った。

産経の記事は、それら一切合切を無視して、「カーソンの『沈黙の春』がなければヒアリの日本上陸もなかった」と言わんばかりの程度の低い印象操作を行っているものであって、これを書いた「産経抄」の著者(産経新聞論説委員が交代で書いているらしい)の馬鹿さ加減には開いた口がふさがらない。まさしくネトウヨ並みの知性だ。

そんな産経の熱烈な支持に支えられて、高い内閣支持率を誇る安倍晋三時代錯誤の「開発独裁」の政策を進めるのが日本という国だ。

かつてこの国には開発独裁時代のツケとして「四大公害病」を引き起こした歴史があるが、70年代の成熟期に入ると、アメリカの厳しい自動車の排ガス規制に相当する厳しい基準を国内の各自動車メーカーに課し、それをクリアさせた歴史もある。

岸信介総理大臣をやっていた「昭和30年代」(1950年代後半から60年代前半)を理想とする安倍晋三は、その1970年代の進歩さえ逆戻りさせる、どうしようもなく「持続不可能」な政策をゴリ押しし続けているのだ。人口減少でこれからどんどん電力が不要になる国で昔ながらの原発推進に猛進するのもそうだし、「アメリカでさえ規制されている」ネオニコチノイド農薬を認可するのもそうだ。

もういい加減この馬鹿な宰相を引きずり下ろさないと、日本の再生には気の遠くなるほどの時間が必要になってしまう。

*1余談だが、訳者の青樹簗一(あおき・りょういち)はドイツ文学者・南原実(1930-2013)のペンネーム南原繁の子で、ロベルト・シンチンゲルらと共編の独和辞典の編集者として知られる。その人がアメリカの生物学者が書いた英語の本を翻訳していたのだった。