文藝春秋の新刊 2004・10 オリーブオイル©大高郁子

父が死んで我が家でもオリーブオイルを購入する食生活となりました。
どんなものを食べさせたのか分からないが、ある日母の作ったスパゲッティの昼食の途中で「俺はこんなものは好きじゃない」といったらしく、それ以来ずっとスパゲッティはわが家ではご法度であったそうです。
いやいや、わが家でオリーブオイルは使ってなかっただろうね。ママースパゲッティの缶詰か何かだったでしょう。麺類は何でも好きだった父だったから、既製品のトマト味が辛かったか、いやニンニク味が苦手だった父だから、そちらの風味が強かったかな。
オリーブオイルの香りは好きです。ただし、高級食材店にあるようなものは買えない。味の素とかメジャーの大衆的な価格のオイルで充分と思い定めてます。
目の醒める鮮やかなオリーブの実色のリーフレット。光を閉じ込めたオイルと、光の残像である影とが穏やかにでも交わることなく同じ彩度を共有し苦い親密。毎度のことなのかな、ちょっととぼけて瓶の黒い輪郭がわたしに肩の力を抜かせ、読書の楽しみをまたまた強く教えてくれている。

文庫チラシコレクション 2007年3月文春文庫チラシ


文春文庫 2007年3月の新刊

浅田次郎 輪違屋糸里 上・下
画・横山明

浅田次郎
輪違屋糸里 上・下

近藤史恵
二人道成寺

岩井志麻子
恋愛詐欺師


唯川恵
不運な女神

池井戸潤
株価暴落

丸谷才一
絵具屋の女房

小池真理子
雪ひらく

イリアムシェイクスピア
 小田島雄志訳 山本容子 銅版画

シェイクスピアソネット

御木達哉
うつ病の妻と共に

三浦佑之
古事記講義

石原慎太郎 田原総一郎
日本の力

稲泉連
僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由

有田芳生
私の家は山の向こう
テレサ・テン10年目の真実

竹内久美子
遺伝子が解く! 愛と性の「なぜ」

武光誠
広開土王の素顔 古代朝鮮と日本
猪瀬直樹
ピカレスク 太宰治

テス・ジェリッツェン 安原和見訳
白い首の誘惑

文春文庫PLUS
石原壮一郎
大人力検定

女性に贈る一冊フェア

映画案内 「あかね空」

岩井志麻子 「恋愛詐欺師」購入したのですが…

恋愛詐欺師 (文春文庫)

恋愛詐欺師 (文春文庫)

表紙は吾妻ひでお。失踪以前より線がきれいになったかなと感じさす、色っぽさにちょっとどっきりのカバーで購入…プラス岩井志麻子のドッキリ期待感です。
最近の吾妻ひでおのいい読者じゃないわたし。「うつうつひでお日記」を書店で見ただけで購入しなかった。描かれた自画像がなんだか汚かったし、おまけとして挿入されてる美少女キャラがいまいちわたし好みじゃないいなあとそそられず、でもねこうして文庫の表紙を飾れば(失踪以前も新井素子とのコラボはあったが)、ははあ、こりゃすてきな若奥さんだか元美少女だかで、雰囲気いいじゃないの…って、じゃあやっぱり表紙だけで今月は選んじゃったの?
ハハ、岩井志麻子のキャラクターは好きですし、作品のベースになる部分もけっこう惹かれるんだけど、思ったほど小説として当たりがなかなかこないんですよ。「ぼっけいきょうてえ」が凄すぎたんですね。
この小説集、まだ巻頭「罰当たりの花園」読んだだけなんだが、戯文的文体のだらだら感がかもす無思想無頓着みたいな領域にまで物語がいってないから、読み終えてもフラストレーションが緩和されないままでいらだたしい。まあ、作者には知ったことじゃないのかも知れないが。