ダニエル11章・現代の北の王と南の王に関する預言(3)

  今回ダニエル11章37節以降39節までの解釈に取り組んでみたいと思います。ここには、北の王のさまざまな特徴が論じられています。北の王がどれほど強大な権力を振るうようになるかが説明されています。


  37節によると、北の王は、「自分の父たちの神に何の考慮も払わない」、「他のすべての神にも考慮を払わず、すべての者に勝って自分を大いなるものとする」と述べられています。この聖句も、北の王の政治権力がさまざまな宗教権力に勝って大きなものになることが預言されています。


 そして、北の王がイスラム圏の国であったにも関わらず、イスラム教、キリスト教、その他の宗教を軽視する、もしくは統制するようになることを示しています。ですから、おそらく北の王は、大変世俗的な国家になるのでしょう。




Galata Tower From Bridge by G.OZCAN (turkey2)
北の王はどこになるでしょうか―トルコでしょうか



カシオン山から見たダマスカス (damascus2)
シリアでしょうか



Egypt-2B-002 - Cairo at Night by archer10 (Dennis)(egyptcairo3)
エジプトでしょうか



ninara;flickr.comA view of North of Tehran from Aab o Aatash (Water & Fire) ParkUploaded by Iranianson(tehran3)
イランでしょうか―または他の国でしょうか/観察を続ける必要があります



 また、北の王は、「女たちの願いにも」考慮を払わないと述べられています。(ダニエル11:37)女たちの願いとは何でしょうか。以前は、女性は普通、安全でありたいという願いを持っていますから、その願いが聞き届けられず、女たちが兵士として用いられることを意味するのだと考えていました。


 しかし、より一層聖書に基づいて解釈したいと思います。聖書の中には、ヤコブの妻レアとラケルが、妊娠して子供をもうけたいという願いを神に捧げたことが述べられています。(創世記37:17,22)また、ペルシャの王の王妃エステルは、自分と自分の民族も滅ぼされることのないようにという願いを王に述べました。(エステル7:3,4)


 それで、女たちの願いとは、自分の子供をもうけたいという願いや、また、自分の民族が無事であるようにという願いかもしれません。それで、北の王の何らかの施策により、女性が子供をあまり持てなくなるのかもしれませんし、北の国の国民が大勢命を失うことを北の王は顧みないのかもしれません。


 これは、成就していく時に、その正確な意味が分かっていくと思います。


 ダニエル11章38節には、「要害の神に対しては、自分のその地位からも栄光を帰する。その父たちの知らなかった神に対して、金により、銀により、宝石により、望ましい物によって栄光を帰する」とあります。


 要害の神とは誰でしょうか。聖書には、エホバ神が「イスラエルの子らのための要害」であると述べられています。(ヨエル3:16)さらにダニエル書にも、「聖なる所」が「要害」と述べられています。(ダニエル11:31)これらのことから、「要害の神」とはエホバ神のことだと思います。


 神に「栄光を帰する」とは神に感謝するという意味もあります。それで、北の王は少なくとも一時的には、聖書の預言の神エホバをある程度、認めるのでしょう。(ダニエル11:30)


 さらに啓示の書では、北の王であると考えられる野獣は「子羊のような二本の角」があります。(啓示13:11)ですから、イエスは象徴的に子羊ですから、北の王は、一見してキリスト教に見えるでしょう。


 また、北の王は、「聖なる契約に逆らう」と述べられており、最終的には常供のものを除き去るのですから、北の王の真の神に対する敬意は、一時的もしくは表面的です。しかし、北の王は、南の王を攻撃して最終的に倒すことになるという聖書の預言を知ることになるでしょう。


 エホバ神は北の王にとって「父たちの知らなかった神」です。(ダニエル11:38)北の王の国はもともとイスラム教なのですから、キリスト教の神エホバのことは従来なじみのない神です。しかしながら、イスラム教は、聖書の旧約聖書をある程度受け入れているので、聖書の神エホバに敬意を払うある程度の土台を持っています。


 Wikiによると、イスラム教徒は、アダム・ノア・アブラハムモーセ・イエスなどの預言者たちが説いた教えを、最後の預言者であるムハンマドが完全な形にしたと考えています。 ですから、イスラム教徒は、旧約聖書の歴史をある程度史実として認めています。


 しかし、実際には、イスラム教徒はほとんど聖書を読まないとWikiには、書かれています。そして、イスラム教徒は、クルアーン(コーラン)を最も重要な聖典と考えて、それに従って行動しています。北の王は、真のキリスト教にある程度、敬意を払い、そのために、資産を用いることが預言されています。


 また、要害とは、「とりで」という意味でもあります。「とりで」とは敵の攻撃を防ぐための要塞すなわち軍事基地を意味します。ですから要害の神に栄光を帰するとは、北の王が、聖書預言に調和して、軍備を増強するという意味もあるのかもしれません。北の王は、そのためにあらゆる財を用いることが考えられます。


 ダニエル11章39節によると、北の王は、「異国の神と共になって最強の防備の施されたとりでに対しても効果的に行動」します。古代の都市は高い城壁などが周囲を囲んでいて防備が施されていました。(申命記1:28)それで、最強の防備が施されているなら、難攻不落に見えるでしょう。北の王は、軍備で防備をしっかりと固めた難攻不落に見える所に対しても、効果的に行動できるようです。南の王も含めて、他の軍備を増強した国家に対しても効果的に行動できるのでしょう。


北の王は、「異国の神」と共になって行動します。「異国の神」とはバアル神も含めてさまざまな偶像の神を意味しているでしょう。(ゼパニヤ1:4)それで、おそらく、北の王は宗教の異なる国家と軍事同盟を結んで、軍事行動を共にするのでしょう。


 北の王の戦略は、主に人海戦術だと思われるのですが、北の王は、何らかの効果的な戦略を用いるようです。北の王と考えられる「子羊のような二本の角」がある野獣は、「火を天から地に下らせる」と述べられています。(啓示13:13)それで、核兵器、あるいは都市を火で燃えあがらせる効果をもたらす何らかの兵器を使うのでしょう。


 彼は「だれでも自分を認めた者を栄光に富ませ、それらの者を多くの者の中で支配させ」ます。また、「代価を取って土地を配分」します。(ダニエル11:39)この言い回しからすると、北の王は、土地を分配して支配権を広範囲に分け与えることができる程、権威が強大になるようです。


 北の王は、軍事攻撃をして強奪した土地を、代価をとって他の人々に配分するのかもしれません。また、啓示17章に、十人の王を表す十本の角は、「自分たちの力と権威」を緋色の野獣、すなわち「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」に「与える」ことが預言されています。(啓示17:12.13)


 ですから、荒廃をもたらす嫌悪すべきものに属する国家は、時が来ると、北の王とその設立する国際組織に自分たちの権威と力を委託することが預言されています。それで、北の王は諸国家から権威を任されてその権威が強大になることが預言されています。おそらく、それはとりわけ、北の王が「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」すなわち国際組織を設立した後のことでしょう。


 北の王が「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」を設立する時、多くの国家がそれに加わり、北の王の権威は強大なものになるのでしょう。おそらく、荒廃をもたらす嫌悪すべきものが設立された後、北の王は、諸国家から広範囲にわたる土地に対する権威を委託されるのでしょう。その権威は、他の国家の支配者を任命することができる程、強大なものになるようです。また、北の王は土地を売買で配分することになります。


  おそらく反米感情が高まり、アメリカ合衆国が行ってきたことが暴露されていくのでしょう。そのため、諸政府は北の王に権威を委ねることを考えるようになるのでしょう。(啓示17:17)北の王の権威は、広範囲に及ぶようになるようです。また、諸国家が、北の王に権威を委ねるのは、北の王とその仲間の諸国家が共に南の王を攻撃するためです。


 それで、将来北の王は、荒廃をもたらす嫌悪すべきものを設立することになりますが、その組織に加わると大患難で共に戦うように非常に強い圧力を受けることになるでしょう。


  しかし、聖書は北の王と共に攻撃を行わない諸国家も存在することを述べています。南の王と淫行を行ってきた「地の王たち」、つまり、南の王と同盟関係にあった一部の諸国家は、大患難で北の王の側に立たず、また南の王と共に軍事攻撃をすることもしないことになっています。(啓示18:9,10)


  しかし、その時、北の王は、南の王を高めて南の王のためにその国際組織を設立するというポーズを取るようです。(啓示13:11,12)それで、その国際組織に南の王も加わるようなので、南の王の同盟国がその組織に加わらないというのは難しいでしょう。


 さらに、その国際組織に加わらないと、売り買いができないという事態になるようです。(啓示13:17)それで、売買ができないということは、小さな自治体、団体レベル、あるいは小さな国家レベルでは行なえても、ある程度の規模の国家が貿易や売買を行わないというのは、ほとんど不可能でしょう。


 けれども、大患難が生じるならば、いずれにしても、諸国家の貿易は非常に難しくなるでしょう。そして、全世界は飢きんに直面することが考えられます。(ルカ21:23)このことを考えると、エネルギーに関しても、食糧に関しても、国家や地域の自給率をできるだけ高めていくのが賢明でしょう。


 可能であるならば、国家、もしくは、自治体、あるいは団体で食糧自給率を高めて、その「荒廃をもたらす嫌悪すべきもの」の組織に加わらない方が賢明でしょう。(啓示13:17,18)


また、北の王は大患難の時、人海戦術をとることが予想されるので、北の王と共に戦うならば、自国の国民の多くが兵士として戦わなければならないでしょう。おそらく、女性や子供も戦闘に加わるように強制されるのでしょう。


 また、反対に大患難までに、南の王と共に軍事行動に加わっているならば、大患難の時、北の王とその軍勢によって攻撃される可能性が高くなるでしょう。それで、今から、南の王と共に軍事活動に加わらないのが賢明です。