「Bootleg Live at Asagaya」に行ってきました

更新される度にid:samurai_kung_fuさんのブログを楽しく読んでいるのだが、「Bootleg」なる同人誌を出すと聞いたのが昨年の秋頃だった。
だが、自分はコミケにもワンフェスにも行かないタイプのオタクなもので、文学フリマで頒布するという件の同人誌を読む機会が無かったのだな*1
だがこの度、阿佐ヶ谷Loft Aにて「Bootleg LIVE」なる同人誌のイベントをやるという。同人誌も売るという。文学フリマよりもロフトの方が行きやすいというのも変な話だが、せっかくなので行ってみた。


イベントのスタイルは、同人誌の執筆者が登壇し、ネタ映像を流しつつトークするというもの。
編集長であるid:samurai_kung_fuさんはこのような場で喋るのが初めてとのことで緊張が垣間見えたものの、司会を勤めた速水健朗さんの仕切りが良く、楽しいイベントだった。


特に面白かったのはファミコン神拳世代にはカルロスでお馴染みのとみさわ昭仁さんのネタで、「長い灰」というもの。
とみさわ昭仁といえば強者のコレクターとして有名なのだが、近年の彼は「長い灰」を収集しているという。
何かというと、映画の中で登場人物がタバコに火をつけたにも関わらず、吸ったり灰を落とすという行為を忘れてしまって、「手に持っていたタバコが長い灰になる」というシーンがあるじゃないですか。

つまり、タバコを吸ってるキャラクターが唖然としたり強いショックを受けたりしたさまを表す演出の一つなのだけれど、そのシーンを集めてる(!)というんだよね。
長大灰画像


「シーンを集める」というのは何かというと、一応画像を保存したり、プリントアウトしたりするそうなのだが、基本的に当該シーンが画面に現れる時間をチェックし、作品名と共に記録し、「これで○○作品も集めたぜ!」と満足するのだそうだ。本人も言ってたけど、なんというメタ的行為! ポストモダン時代のコレクションとはこういうものだと思ったよ。
とみさわ昭仁がコレクションをはじめたのは『新幹線大爆破』と『エイリアン2』の二作に「長い灰」が共通していて、それが心に残っていたからだという。
で、これまでに収集した中で最も長い灰はリメイク版『日本沈没』で田所博士を演じる豊川悦司が持っていたヤツだというのだが、幸運にも樋口真嗣と一緒に飲む機会があったので聞いてみたところ、「実は『エイリアン2』が……」となり、おれはひとりじゃなかった! と喜んだとのこと。勿論、会場は爆笑だ。

ちなみに、『日本沈没』レベルに長い灰だと、普通に放っておいたら自重で灰が落ちちゃうので、何がしかの仕掛けをしているのだが、本人ブログでは伏せられていたので一応書かないでおこう。
日本が沈没しようとも長い灰 - Pithecanthropus Collectus(蒐集原人)


その他、第一号は「黒人」がテーマということで、『茶々 天涯の貴妃』に登場する織田信長に仕えた黒人兵弥助*2の安堵の溜息とか、『エボラシンドロームアンソニー・ウォンとか、『フライング・ラビッツ』の見所紹介とか、嫌いな女性監督(!)トークとか、爆笑ネタが幾つかあった。
茶々-天涯の貴妃(おんな)- 通常版 [DVD]
井上靖
B0015G9CIY


あと、あれですね。破壊屋のギッチョさんはトークがお上手ですね。ブログが面白くて、トークもイケるなんて、嫉妬します!



で、帰宅後、購入した同人誌「Bootleg vol.1 DYNAMITE」を読んだのだが、記事の内容が面白いのは当り前として、クオリティの高さに驚いた。
普通、文章系の同人誌といえば上から下までザーっとテキストが並ぶものが多いのだが、雑誌としてきちんとレイアウトされているばかりか、他人に依頼した原稿にイチイチ面白ミニコラムや脚注や関連作・関連俳優紹介コーナーをつけてるんだよね。
「初期映画秘宝を目指しているのがすぐ分かった」という速水健朗の評に深く頷いてしまったよ。次号も買おう。

*1:ビデオマーケットもそんなに行かないし、通販しないし

*2:史実ですよ