読書『複数の時計』


18.3×10.6cm 304pp. 18- 複数の時計 アガサ・クリスティー(橋本福夫訳) No.905 早川書房 1965年9月25日発行

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 床に大の字に横たわっている男がいた。眼は半ば開いていたが、うつろだった。濃いグレイの服の胸にしめりをおびた黒ずんだしみがあった。シェイラは機械的にかがみこんだ。頬にさわってみた──ひやりとした触感──手のほうも同じ……胸のしめりをおびたしみにさわってみたとたんに、パッと手をひっこめ、恐怖の眼で指さきを見つめた。 p.11

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 わたしは一、二分のあいだ口を開かなかった。いったいおれはどう考えているのか? いますぐに行動方針を決定しなければいけない。結局は真実が明るみに出るものなのだ。シェイラがわたしの信じているとおりの人間だとすれば、当人の不利になるはずもない。
 わたしはてきぱきとした動作でポケットから一枚の絵葉書をとり出し、それを彼のほうへ押しやった。
 「こんな物が郵便でシェイラのところへ送られてきた

 ハードキャスルはその絵葉書を調べてみた。それはロンドンの建物を写した一連の絵葉書の一枚で、中央刑事裁判所を写したものだった──きちんとした活字体で、左側には、やはり活字体で、記憶せよ! と書いてあり、その下に、四・一三とあった。
 「四時十三分といえば、あの日の置き時計のさしていた時間じゃないか」とハードキャスルは言って、頭を振った」 pp.161-162

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『週間朝日』昭和三年十月七日発行

 今年のみやこめっせ「春の古書大即売会」初日は雨降り。東山の緑が雨に濡れ癒やされながらパチリ、開場5分遅れで到着すると最後尾での入館だった。参加店舗数の関係からかゆったり拝見する。アベドンや北井一夫など貴重な写真集も出品されていたけど背表紙を拝見するのみ、50年前に買わなかった物は、やはり買えません。廉価な未見で宝探し。絵葉書はないかと思いますが欧州物はありませんな。献辞のある俵青茅の詩集『秘色』に貴重な挟み物があったのだが、あまりに高価、幾度か手にとったが諦めました(トホホ)。

 二時間ほど経った頃、吉岡書店のブースで戦前の『週間朝日』が出品されているのに気付いた。同誌にはパリ外遊時の竹中郁寄稿があるかもしれない。お店には申し訳ないと思いつつ目星をつけた年代を確認する。もちろん、マン・レイの映画『ひとで』の記事は見つけられなかった。あるかどうかの確証がありません、「マン・レイのスタジオ訪問の目的は『週間朝日』や『詩と詩論』に場面写真を掲載するためだった」という当人の記述だけなのです。週刊だから年間50冊超、きりがありません。それでも、日本人たちの写生旅行が分かって興味深い記事を入手した。── 『ひとで』を鑑賞するのは三ヶ月程先のことである。

 昭和三年十月七日発行の『週刊朝日』に「フランス便り」として竹中郁の『美しい島の印象』が載っている。「パリの夏は郵便局が忙しい、丁度日本の年賀郵便時分のように忙しい」と始まるエッセイなので、当時の絵葉書集めに熱中している小生には嬉しい内容。カットに西村秀雄、小磯良平、古家新。尚、短信を寄せた古家は画家で大阪朝日新聞に勤め、挿絵やスケッチをものにしていると、帰宅後知った。

『週間朝日』16-17頁

[メモ]
 竹中郁の外遊は昭和三年三月からの二年間、『ひとで』を鑑賞したのは同年秋とされるので、昭和四年一月以降の『週間朝日』に、お宝があるかもしれない、期待しますな、ホント。

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会場を出る時も雨が降っている。京近美の505で焼きカレー、熱々で好きですねん。

四条通河原町交差点

大阪名物 みたらしだんご by 大阪前田製菓

 若い友人から『天王寺堂』のみたらしだんごを頂戴した。「ツヤツヤのみつの奥に見える焼き色が味のポイント、たれは、50年以上かわらない味を守り、お団子は、 職人が毎日お米から手間ひまかけて作って」いるというおばあちゃんの味。ウィキによると会社は1959年創業で藤井寺市にあり、『天王寺堂』の名前で甘味処喫茶店も展開している。平ぺったい団子の食感が気に入りました。京都のみたらし団子は上品で名古屋人には物足りない、これは、パンチがあって好きですね。

乗り鉄 VS 撮り鉄 in GW 最終日(京阪電鉄・プレミアムカー)

京阪電車 祇園四条 準急出町柳行 1000系(1504)
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プレミアムカーは、京阪電車の特別車両で「品格のあるデザインと快適性でプライベート空間を創出」。主に特急として運転する8000系、3000系の8両編成中の6号車に設定された座席指定有料特急車両、利用料金500円(区間により400円)。

8000系プレミアムカー

京阪電車本線 京橋駅 8000系(8008) → https://manrayist.hateblo.jp/entry/2022/04/19/060000

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JR大阪環状線 京橋駅 323系(モハ322-28他) ヘッドマークは大阪デスティネーションキャンペーン『来てな!』 これは大阪府内の自治体、観光事業者、JRグルーブ、旅行会社が一体となって「オモロイ大阪」をアピールする大キャンペーンの一環。デスティネーションというのは旅行目的地などの意味らしいが、昨今は観光客があふれ街は大混乱、地元民は難儀してます、それに横文字はやめなはれ。ネットで見ると全国規模のキャンペーンでヘッドマークがあふれている。── 茨城、神奈川、奈良などなど、確認するのがいやになるほどです。

乗り鉄 VS 撮り鉄 in GW 二日目(阪神電鉄他)

阪神電鉄今津駅で形式写真。ここでは阪神の他に山陽電鉄近鉄電車の直通運転が入り、華やかでお洒落。本数も多く撮り鉄として存分に楽しめた。ミラーレスに望遠付けてパチリしたいですな。

今津駅通過 阪神電鉄 須磨浦公園行特急 9000系(9208) 1996年導入優等列車用電車。ステンレス製車体、全面普通鋼製。阪神淡路大震災被災特急・急行系「赤胴車」33両の復旧用として川崎重工業製造5編成30両、増補はされていない。

阪神電鉄 西宮行急行 8000系(8248) 1984年導入急行用電車(8248は1994年竣工タイプIV) 電機子チョッパ制御 貫通扉ワイパー装着。武庫川車両工業製造129両(別に補充3両)、阪神電鉄「赤胴車」として知られる。

山陽電鉄 姫路行通勤特急 6000系(6107) 2016年導入3扉通勤型電車。川崎車両製造。アルミニウム合金製車体、基調色に「インセント・レッド」を採用。上図は2編成(1編成3両)6両での直通特急運用。

 

阪神電鉄 高速神戸行普通 5700系(5702) 2015年導入各駅停車用通勤型電車 レザー溶接組み立てステンレス無塗装構造 前面ガラス熱吸収強化合わせガラス。斬新なデザインで2016年ブルーリボン賞受賞。愛称「ジェット・シルバー5700」
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阪神電鉄本線 野田〜福島 高速神戸行普通 5700系(5710)

大阪梅田駅 到着 8000系

乗り鉄 VS 撮り鉄 in GW 二日目(阪急電鉄・宝塚線、今津線)

宝塚線 
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 二日目は乗り鉄氏と大回り。西院<阪急京都線>→ 十三<阪急宝塚線>→ 宝塚<阪急今津北線>→ 西宮北口<阪急今津南線>→ 今津<阪神本線>→大阪梅田<徒歩>→ 大阪梅田<阪急京都線>→ 桂<阪急京都線>→ 西院 凡そ3時間。

今津北線 宝塚〜逆瀬川 小生、初体験の今津線武庫川橋梁、左に宝塚大劇場(行ったことありません)。
仁川駅

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阪急電鉄今津南線
 今津線といえば、阪急電車西宮北口駅神戸線とのダイヤモンドクロス(平面交差)として鉄道ファンに知られた路線だったが、1984年に安全面から廃止。小生通過はしてますがパチリはしていない(惜しかった)。廃止にともない同線は北線と南線に分断、西宮北口で下車した乗り鉄氏と撮り鉄も構内を徒歩交差。南線は阪神電鉄・今津駅までの間に阪神国道駅ひとつ、乗車3分、距離1600メートル。


阪急電車 6123(6000系) 1976年導入、神戸線宝塚線専用通勤型電車量産型。アルナ工機製造。

乗り鉄 VS 撮り鉄 in GW 初日(阪急電鉄・京トレイン 雅洛)

桂駅で乗り鉄氏と合流。ホームにはお仲間の撮り鉄氏がいらっしゃいます。 西院→桂 <京トレイン 雅洛>→ 河原町<京トレイン 雅洛>→桂→西院 凡そ1時間。

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京トレイン 雅洛 7106(7000系) 桂駅10時07分発
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定点観測 桂川橋梁

桂川橋梁

ビスキュイ・シンプリシテ by タナカ

若い友人から頂戴した人気のクッキー(フランス語でビスキュイ)「AOPバターと愛知県産小麦粉、岡崎特産の八丁味噌の濃厚なコクと香りを活かし、ナッツの香ばしさが広がる」

ポスター『ドラクロワの遺産』展

 先日、哲学者の先輩からリスボンペソアプラハカフカ、ダブリンのジョイスをふまえた都市論、写真論を伺う。ハイデッカーを語り、カフカに注力する先輩はドイツ語の学習もしなくてはと……。宗教のささやきに陥らないよう、律しておられる様子。

 離席するとノドラー画廊で催された『ドラクロワの遺産』展(1964年、6月)のポスターに気がついた。 絵柄はピカソ、ムルロー刷りで限定2300のものだろうか、大手画廊ノドラーについては、いろいろな情報が飛び交う、知らんけど。

さぬきビール

2024.4.10 さぬきビール 生ビール<生>比熱処理 アルコール5% 製造者:株レクザム(大阪市中央区)、製造所: 香川ブルワリー(香川県高松市)

 ケルシュは「あっさり冴えのあるフルーティーな味と香りの」ドイツビール。室温よりやや低い温度がドイツの飲み方、ケルンで愛されるお味。高温多湿の地では、冷やしてしまいますね。とりあえず強行軍のご褒美ですねん…… 

讃岐から淡路島

17時帰途につく。まずは淡路島南PAまで。

17:11 琴電高松琴平線 栗林公園〜三条 1200形電車(元京急700形改造)と思う。今回の撮り鉄はワンチャンス、踏切進入方向が分からず、しばらくパチリ待機してました。

17:21 讃岐は台形やおむすび形の山が並ぶ独特の景観。約1400万年前に起こった激しい火山活動で流れ出た溶岩の名残で「長い年月をかけて周囲の軟らかい岩が削られ今の形」になったという。台形のものは「メサ」と呼び「水平に流れた溶岩台地が侵食」されたもの、さらに侵食されたおむすび形を「ビュート」と呼ぶ。

17:33 美しい海岸線が続く H画伯の故郷に近いですよね

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18:03 渦潮のタイミング、大鳴門橋

18:04

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明石海峡大橋を渡るころには、すっかり暗くなりました。

19:21 そして、神戸。JR大阪駅前で下車したのは20時10分。楽しく充実した強行軍、ビールは帰宅までおあずけなのでした。

栗林のくり by 湊屋


菊月亭で頂戴した白餡に刻み栗が入った栗饅頭。栗林公園に栗の木がたくさんあった時代を思い起こすという。湊屋は1953年創業、初代はシベリア抑留から引き上げされた方と聞く。お点前をされた和服の方々の楚々とした振る舞い、優しい笑顔に癒やされました。◎

栗林公園 -2 掬月亭

掬月亭は四方正面数寄屋風書院造、どこから訪ねても美しい、歴代藩主が好んだ建物で「大茶屋」と呼んだとか。特に掬月の間から南湖を望む景観は見事(パチリはしていません)、見上げる根上り五葉松もよろしおす。

掬月の間の床飾り 軸のお言葉は「菊水月有手」(月は絵で表される)。「唐の詩人干良史の作『春山夜月』と題する詩の一句『水を掬すれば月手にあり』で、掬月亭の名の由来だという。十畳の部屋に座して南湖を望めばお殿様の気分。気分だけですが、姫の筝曲でも楽しみましょう(ハハ)

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お抹茶とお菓子を頂戴したあと、奥様と商工奨励館などを見学。松の緑はわたしたちの気分に合いますな(ホント)。