ロシアは”ニートカ”の近代化を検討している

 RIAノーボスチによるとロシアはウクライナにあるニートカの近代化を検討中のようです。
 ロシア国防大臣アナトリー・セルジューコフウクライナ防大臣とこの件に関して交渉を行なっているようです。セルジューコフは「ウクライナが訓練で使用しても構わない」という条件でこの話を持ちかけているようです。

(↑ニートカで着艦訓練を行うSu-33)
 ”ニートカ”(НИТКА)は正式名称を”サキ飛行実験センター”といい、ソ連時代にソ連が海軍航空隊の飛行実験センターとして建設したものです。ここでは正規空母(アドミラル・クズネツォフより大型のプロジェクト1153を想定)を模した施設などが作られ、実際の空母で発着艦を行う前の段階にあるパイロットの訓練や海軍新型機のテストなどが行われていました。1970年代末に建設が開始され1980年代前半には稼働を開始したとされます。
 蒸気カタパルトの実験なども行われており、実際に訓練でカタパルトでの射出を行える状態でした。大人の事情でカタパルト無しだったり色々と縮小されたクズネツォフが建造されることとなったためニートカにもスキージャンプが追加されましたが、旧ソ連が建造していたウリヤノフスク級空母に載せる用(プロジェクト1153系列のも)のカタパルトもここで実験されていたのでしょう。
 ソ連崩壊後、黒海艦隊帰属問題の一連としてウクライナが接収し(この時ウリヤノフスク級を建造していたドックもウクライナが接収)たため、現在はウクライナニートカを保有しています。一方ロシア海軍にはアドミラル・クズネツォフが在籍しており、新しいパイロットの育成には”陸上空母”であるニートカの使用が欠かせません。そこでロシアはウクライナと協定を結びニートカを使用させてもらっていた経緯があります。もうすぐその協定の更新時期を迎えるのですが、ロシアは新型空母を建造する予定であるためわざわざウクライナにまで出向く手間を省こうとしたのか、新しいニートカをロシア国内に作るという話も噂されていました。今回このような”ニートカ近代化”の話が出てきたのは今後もニートカを使用する意思の現れなのかどうかはわかりませんが、ロシアも新しい空母機動艦隊の創設に精力的に動いているということです。