巨大銀行の損失吸収力、19年にリスク資産比16%=FSB

20カ国・地域(G20)の金融規制当局で構成する
金融安定理事会(FSB)は9日、国際的な大手銀行に
課す新たな健全性基準「総損失吸収能力(TLAC)」の
具体的水準を公表した。

自己資本規制への対応資本を含めて、損失吸収できる
社債などをリスク資産比で2019年に16%、2022年に
18%保有することを義務づけた。

日本では3メガバンクグループが対象になるが、金融庁
「経営努力の範囲内で無理なく達成可能」(幹部)とした。

昨年11月に公表した市中協議案で16〜20%の
間としていた比率は、下限の範囲で決まった。

2019年から段階的に引き上げることも決め、「相対的に
リーズナブルな結論」(外資系証券銀行アナリスト)となった。

規制の対象は「グルーバルなシステム上重要な銀行」
(G―SIBs)で、日本では三菱UFJフィナンシャル・
グループなど3メガバンクグループとなる。

TLACに算入できる対応債券は、バーゼル規制に
対応する劣後債などに加えて、持株会社が発行し、
損失吸収(ベイルイン)できる条項が付いた普通社債など。

そのほかに邦銀は、日本の預金保険制度を踏まえて
2019年に2.5%、2022年に3.5%をTLACに
カウントできることになった。

これとは別に、貸出などの資産にリスクウエートを
掛けないで算出する「レバレッジ比率」の分母対比で
2019年からTLACを最低6%、2022年から6.75%
保有することも同時に必要となった。

金融庁は、国際合意に基づき、TLACに算入できる
社債の具体的要件を定める作業に入る。

TLACは、リーマン・ショックで課題となった
巨大銀行の「大き過ぎてつぶせない」という問題に
対処するため、巨大行が経営難に陥った際に税金で
救済しなくてすむように、社債権者にも損失を負担させ、
全体として十分な資本バッファーを確保させる狙いがある。

今回の合意は、15日からトルコ・アンタルヤ
開催されるG20サミットに報告される。