天天日記

中国好きのまっちゃんで、書いていたはてなダイアリーを引き継いでいます。

この国のかたち(2)

 前にも「この国のかたち」という司馬さんの文章について書いたが、斬新に感じたのは1冊目のはじめだけだろうと思っったら、2冊目も今時の情勢に関連して見逃せない文章があった。
 以下にその箇所を引用する。
 明治憲法もまた他の近代国家の憲法と同様、三権(立法・行政・司法)が明快に分立していた。ただし、天皇の地位は哲学でいう空に似ていて、行政においては内閣が各大臣ことに天皇を補弼(明治憲法の用語)し、補弼者をもって最終責任者とした。
 が、昭和初年、軍とその同調者は、憲法について異常な解釈をしたのである。三権の他に統帥権があるとし、この魔法によって張作霖の爆殺(昭和3年)とういう謀略をやり、つづいて満州事変、上海事変をやることで三権を無視しつづけ、ついには統帥権によって日本国そのものを壟断した。そのあと国そのものをつぶした。
 権力の座にある一部の人間が、勝手な憲法解釈で国を滅ぼした実績が日本にはある。この9月、憲法に違反する戦争立法を国民が反対する中で強引な採決もどきを行った。そんな法律を実行させないとばかり、いろいろなところで反対の運動が起きている。最近では雨の中、渋谷で高校生によるデモも行われた。
 同志社大学では、権力に味方した学長が再選されないということが明らかになった。良識ある人たちの間では、今の政権がやっていることが全くおかしいというということが自明であるにもかかわらず、一部のメディアでは内閣支持率が上がったかのような報道をしている。おかしな国になったものだ。
 司馬さんのこの本を読んでいると、よくよく歴史を勉強した人だということが改めてよくわかる。司馬さんが今生きていたら、この情勢をなんというだろうか。歴史から何も学ぶことのできない政治家がこの国を支配しようとしている。
 救いは、若者たちが今の政治は良くないと自ら行動していること。そういう動きを大人がちゃんと見守って、応援しなくては。