【本】「ユング」と「岸田秀」から「ヤリ逃げ」を勝手に分析せんとす

ユングは、深層心理について理論を深め、分析心理学の理論創始者ユング心理学=分析心理学。

コンプレックス
コンプレックスとは、自我に服さず、ある程度の自立性をもった深層心理。
自我の統合性を乱す

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岸田秀「ものぐさ精神分析」を読み返してから、しばしば考えていた男女関係。
個人的経験の伝聞によるものだけども、一線を超えた男女の行く末の一つのケースを、勝手な解釈とコンプレックスの心理に照らし合わせて記述してみよう。

簡単にいっちゃえば、ヤリ逃げした男の心理と、逃げられたにも関わらず(逃げられたからこそか?)恋いこがれて精神的に崩壊しかかる女性心理。
なお私は専門家ではないので、これは勝手な妄想の1つです。そこんとこご理解をば。


①出会い(男性の妄想) ②男女の一線 ③発展(女性の幻想肥大化と救済の渇望)

①出会い(男性の妄想)
お互いに意識し始める恋愛初期段階。
知らないからこそ興味を抱く、という簡単な心理。
が、男性にとってはハンティング欲求が高まり、あれやこれや幻想にとらわれ始める。
まだ見ぬ獲物の味を想像し、獲得した時の快感を妄想する。
女性は、現実的に、幻想をまとわず相手を品定めする。受け入れるべきか否か、と。


②男女の一線
セックスを境に、男の態度は、ハンティング欲求が満たされ、興味の半分は失われる
女の態度は、自分の心(=股)を開いて、自分をされけ出す=受け入れる体制になる。
そのギャップが生じることで、男女の関係に変化が現れる。一線と呼ばれる所以だろう。

一線を超えた関係とは、新しい巣の出現である。と書かせて頂きたい。
男の心理は、ハンティングをしなくとも快楽を得られる安定性、縄張り意識の拡大、新たに狩猟に出ようと意識変化し、
女の心理は、相手を向かい入れるポジションを新たに作り出し、自信の内部に巣を作り出すかのように、母性的確保欲求が助長される
セックスを境に作りださ得るいわゆる新しい肉体関係は、性別の動物的本質に依るものだろう。


③発展(女性の幻想の肥大化と救済)
情事を終えた後は、男女で変化が生じる

男性:関心欠如と理性の復元
関心欠如の要因は、第一にハンティング欲求の消失。
動物学的に、多くの女性に種を巻かねばならぬ男性は、ハンティング能力(征服欲)を本能的に持ち得ている(岸田氏曰く、人間は動物としては「狂っている」からどこまで本能的に持ち得ているかは検討の余地あり)
セックスが最終地点、つまり一線を超える事で動物学的に責任を果たすのである。

第二に本能的欲求が満たれた後の、理性の復元である
今までまとっていた我を忘れる感情(=ハンティング欲求)は消え失せ、自身の客観視の段階に入る。
下半身ではなく、頭を使い始めるのである。自身の社会的関係性、プライド、周囲の意見、その他云々。
頭を使い、関係を続けるか続けないか判断を下すのだ。
男にとって幻想は、恋愛の第一段階、一線を超えるまでに訪れるものである

女性:複雑化
情事の後の女性心理は複雑化していく。
自身の受け入れ体制が整い、男性を待つ。
そこで男性が巣に戻ればハッピーな交際がまっているが、そう出ない場合は女性心理が複雑化する

たとえば、男性から連絡がこない場合を仮定する
・幻想
連絡のない空白の期間を持てば持つ程、女性にとって幻想へと昇華し、幻想は恋愛体験をうむ。
元は幻想のない人間的興味が、空白期間をへて幻想をまとい、幻想は恋愛しちゃってる!という苦しみを誘い、その恋愛しちゃってる自覚は自覚はさらなる欲求不満を露呈し始める。

・身体への影響
欲求不満からくる打撃は精神に及び、「切ない」状態に続く。
精神的に不安定となった場合は、徐々に身体へ向かう。
食欲減退。睡眠生涯。ディプレッションなど。

・救済の渇望
心身ともに落ち込みが続くと、
恋に悩める女子化(誰か聞いて!)
疑心暗鬼(彼って私のことどう思っているの!?)
男性への嫌悪感(かわいさ余って憎さ百倍)となる。
やがて自身の幻想が肥大化し、日常生活に支障を来たし出す。
そうなると救済を求め、信頼できる友人知人、はたや彼自身かもしれんが、救済を求め活動する時期となる。
(ま、彼の立場からすると、めんどくさい女、しつこい女である。)

・救済
心身におよぶ危険な幻想を断ち切るには、現実を客観視することが一番の妙薬である。
だが一線を超えて間もない内は現実を見るには勇気が必要で、その後待ち受けていよう衝撃に耐えられる状態ではないことは明白であり、現実から逃避する。
だが通常は時間と距離感が幻想を緩和し、徐々に現実を見つることが可能となるのだろう。


コンプレックスの投影と幻想
さて、女性の幻想を呼びやすい性質の人は、強いコンプレックスを無自覚に抱いており、それを相手に投影があるのではないだろうか。
コンプレックスの投影とは、たとえば「人はみな○○なもんだ」という言葉に、発言者も含まれて言ること、自身もその内の一人であること。

自身が無自覚の内に抱いているコンプレックスを、相手に投影し幻想に捕われている。(上記の疑心暗鬼)
つまり、自分と同じ相手の言動を予想する。
「彼はきっと薄情だわ」
「彼は電話をくれるはずよ。」
という投影である。
コンプレックスが強ければ、その投影も強くなり、幻想を長期間保つ事になる。
コンプレックスの強さが幻想を肥大化する一つのエッセンスであるのだろう。


ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 (岩波現代文庫)

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ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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