投資ファンドに逆風、米でも 世論後押し、課税強化検討

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070713-00000065-san-bus_all

 【ワシントン=渡辺浩生】空前のM&A(企業の合併・買収)ブームを演出する投資ファンドに、米国内で逆風が強まっている。買収企業の収益力をリストラで高めて転売する手法には従来批判が強いが、最近は上場で巨額の買収資金を獲得することや、首脳の高報酬もやり玉に挙がっている。米議会は11日、一般企業より優遇された税率強化を視野に公聴会を開始。ファンド側も防戦に必死だ。

 「巨大な富を築いた者は、国家に対して特別の義務を負う」。ボーカス上院財政委員長(民主党)は公聴会の冒頭、セオドア・ルーズベルト第26代大統領の発言をひき、投資ファンド課税強化に意欲を示した。

 投資ファンドは昨年、2400億ドル(約29兆2800億円)の資金を調達。総資産規模は約1兆ドルに上る。豊富な資金力にモノをいわせ、手がけたM&Aの総額は今年すでに7470億ドル。世界全体のM&Aの26%を占めるまでになった。

 風当たりが厳しくなったきっかけは、最大手のブラックストーン・グループが先月、41億ドルを調達した新規株式公開(IPO)。同時にシュワルツマン会長兼最高経営責任者(CEO)が保有株を売却し、6億7700万ドルの現金を手にした。

 巨額資金を調達したブラックストーンは早速、ヒルトン・ホテルズを260億ドルで買収することで合意。ライバルのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)も続いてIPOを計画し、12億5000万ドルを調達する予定だ。

 ただ、投資ファンドは税制上、一般企業より優遇されている。収益の20%がファンドの運営側の利益として計上されるが、税率は法人税(35%)よりも格段に低い株式譲渡益税(15%)だ。

 一般企業より税率が低いのは、ファンドの役割が、リスクマネーを供給して民間の起業や投資を促す「パートナー」(米財務省)とされ、米経済成長に欠かせないと考えられているからだ。

 ただ、買収企業に徹底したリストラを行い、短期間で収益や株価の上昇を追求する手法には「失業が増大して所得格差を拡大させる」(労働組合)と反感も根強い。米有力格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスも9日、「最近の状況をみると、長期的視野に立って投資しているとはいえない」とのリポートを発表し、疑問を投げかけた。

 こうした厳しい世論を受けて、米議会では上場するファンドに対して一般企業と同様の法人税率を課す法案を超党派で提出。「全ファンドに法人税率を課すべきだ」という議論に発展している。

 これに対し、ファンド側も課税強化を避けようと議会のロビー活動を活発化している。11日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、KKRのクラビス共同創業者は直接有力議員と面会。ファンドに対する課税強化は、米国の国際競争力をそぐうえ、ファンドに投資する年金基金の収益が減り、中所得層にも影響を与えるとの主張を展開している。

 11日の上院公聴会で、ソロモン財務次官補(税制担当)は課税強化に消極姿勢を示した。ただ、ファンドの資金力を支えてきた世界的な低金利時代も転換期に差し掛かり、「最盛期は終わる」(英エコノミスト誌)との見方も出ている。

あいかわらず経済分かってない僕ですが、たしかにファンドに対するこういう批判ってありましたよね。今後規制強まるんですかね。