iCloudのバックアップ機能は使えるか?バックアップしてくれるものとしてくれないものをまとめた。

iCloudにはバックアップ機能がある。iOS5対応デバイスiCloudのアカウントを持っていれば、誰でもバックアップ機能を無料で利用できる。バックアップには気を遣いたくない。普段はまったく意識せずにいて、必要なときにだけ「やっててよかった」となるのが理想だ。iCloudはそんな使い方ができるのか、考えてみた。

iCloudバックアップ。これが出来ればオーケー。

  1. 日常のデータ保全
  2. 緊急時の復旧
  3. 買い換え時のデータ移行

2と3は、1ができていれば問題なかろう。というより母艦なしで復旧や移行ができたりと、従来の母艦バックアップ方式よりも、利便性があがっている。私は試したことがまだないが、まあネット上でも「でけたw」という報告を聞くし心配しても始まらないので、ここではまあ良しとしたい(なんだそりゃ)。

問題は1。従来の母艦バックアップ方式と比較して気になる点は「すべてのバックアップを取るわけではない」という点。バックアップを取らないデータについては別途ケアする必要があるのか?そんなのは面倒だ。しかしすべてのバックアップをクラウド上に保存してしまうとストレージやらトラフィックやらが大変なことになることも想像に難くない。そのへんどうなっているのか。

iCloudがバックアップしてくれないもの

iCloudがバックアップしてくれないものはいくつかある。それぞれについてその妥当性を考える。


  1. 音楽、動画

    まず、iTunesで購入した音楽、動画。これはバックアップはしないが、購入情報を元に再ダウンロードできるので問題ない。iCloudストレージの容量制限外でもあるため、どれだけ大量に購入しても大丈夫。

    次に、iTunesで購入していない音楽、動画。自分でCDからリッピングした音楽、ビデオカメラ等他のデバイスで撮影して取り込んだ動画など。これらはマスターデータが母艦にあるはずなので、母艦自体のバックアップがなされていれば問題ない。

    さらに「カメラロールにある写真、ビデオ」はバックアップ対象になる。つまりiPhoneで撮った動画(もちろん写真も)についてはバックアップされるので大丈夫。

    結果として、音楽、動画に関してデータが失われるといったケースは想定しづらい。


  2. カメラロールにない写真、動画

    1の内容と少し重複するが、iPhoto等からiTunes経由で同期していた写真、動画はバックアップされない。しかしこれも前述のとおり、母艦自体のバックアップがしっかりとなされていれば、iCloudでバックアップされなくても問題はない。


  3. メール

    IMAP対応のメールを使用すれば問題なしmac.com、me.com、Gmailソフトバンクのi.softbank.jpなどなど、最近の多くのメールサービスはIMAPに対応している)。


  4. アプリケーション、本(iBooks

    これも1で触れた「iTunesで購入した音楽、動画」と同じ考え方で、アプリケーションや本そのものはバックアップデータに含まれない。AppStoreから再ダウンロードする形をとることで、バックアップ時間と容量の節約に一役買っている。アプリケーション、本の設定や保存データはバックアップされるので、結果として、ゲームのセーブデータや各種設定なども含めて、すべて復元できる。よってこれも問題なし。


  5. ボイスメモ

    どうなんでしょうか?普通に考えれば「アプリケーションの保存データ」ということならバックアップとってくれていそうだが。

iCloudバックアップの留意点

次に留意点をいくつか。


  1. iCloudのストレージ容量

    デフォルトかつ無料の5GBだと足りない場合がある。私は3つのデバイスiPhone×2、iPad)の合計で6.3GBだったが、その場合は追加のストレージを有料で申し込む必要がある。足りないままだとバックアップが完了せずまったく用をなさないので注意が必要だ。ただ母艦か端末のiCloudの設定画面でちゃんとバックアップできてるかは確認できるし、アラートも出るので見落とすことはないと思われる。ちなみにこの設定画面で調べたら6.3GBのうち、5GB以上がiPhoneのカメラロールだった。ということはカメラロールの中身をマメにiPhotoに取り込むなどしてすっきりさせておけば、無料の5GBでも全然いける。またカメラロールのうち静止画については「フォトストリーム」をONにしていれば自動的に母艦と同期できる。動画を撮らないまたは撮ってもマメにケーブル繋いで取り込むよーという人は、iCloudバックアップ対象からカメラロールを外すという手もありだ。私は細かな設定や取り込みが面倒なので「全部入り」バックアップにしている。


  2. 母艦(PC、Mac)のバックアップはしっかりと

    繰り返しになるが、iCloudは「他の場所にマスターデータあるよね」という類のデータはバックアップしない。音楽、カメラロールにない写真・動画、メール、アプリすべてこのポリシーに基づいてバックアップ対象のデータが選別されている。したがって、音楽、映画などの動画、アプリなど、iTunes StoreApp Storeから再ダウンロード可能なものはともかく、自分の母艦に保存しているデータは、そちらはそちらでしっかりバックアップをとる必要がある。

    MacならばTimeMachineでバックアップしておけばよいだろう。私はさらに万全を期すために、TimeMachineのバックアップ先をRAID1に対応した外付けHDDにしている。余談だが、TimeMachineバックアップはホントに素晴らしい。積年のバックアップに対する不安がほぼ無くなった。とにかく「何も気にしなくてもいい」。これに勝る利便性はない。復旧もボリュームまるごとでもできるし、1ファイルだけさくっと復活もできるので、間違って削除や上書きしてしまって困るということがない。


  3. POP3にしか対応していないメールサービスを利用している場合

    POP3メールを使っていて、iPhone/PC/Macで送受信したメールは、それぞれが壊れれば、失われる可能性が高い。IMAPと違って元のデータは(原則として)サーバに保存されないからだ。はやめにIMAPメールに移行するのが最善なのは言うまでもないが、なかなかそうもいかない場合もある。その場合は、POP3で送受信したメールをiCloudで取得したme.comのIMAPメールボックスに移動すればよい。他にGmailなども利用しているのであればそちらでも構わない。

まとめ - iCloudバックアップを使うか否かの判断

以上から、iCloudのバックアップは、必要十分な仕様となっていると言えそうだが、考えてみれば、従来の母艦バックアップも必要十分ではなかったか?iCloudにバックアップするのと母艦にバックアップするのにはどんな違いがあるのかまとめる。


  1. ケーブルレスで勝手にバックアップしてくれる

    ケーブルに繋がなくても、知らないうちに勝手にバックアップしてくれる。今までは母艦に繋ぐとまずバックアップが始まり、データ量が多いときには結構待たされた。キャンセルしないとケーブルを外せないため、急いでいるときには断腸の思い出キャンセルしたものだが、そういうことに気を遣う必要がなくなった。上のTimeMachineのところでも触れたようrに「気にしなくていい」ところが素晴らしい。


  2. 母艦のディスク容量が気になるならiCloudバックアップ

    従来の母艦バックアップ方式だと、母艦上に平気で何十GBものバックアップファイルが作成される。私はMacBookSSD(120GB)にしてからというものこれに悩まされてきた。MacBook Airなどを使っている人も同様の問題を抱えていることだろう。そんな場合にiCloudのバックアップは助かる。


  3. 母艦なしで復元したいならiCloudバックアップ

    WiFi回線があればどこでも復元できるので、出先で緊急事態に見舞われたときは助かりそう(もちろん母艦にしかないデータは復元できない)。


  4. データをクラウド上に保管すること自体のリスクをどう考えるか

    一般的には、個人ユースのMac/PCよりも、しかるべきデータセンター内のiCloudの方が、さまざまな面でリスクは少なそうではある。いくら「TimeMachineでMacのバックアップは完璧」と言ってみたところで、家が災害等に見舞われれば、データを失う可能性は高い。自宅がどうにかなってもデータを守れそうなのは、クラウド上にバックアップしておくメリットのひとつだ。デメリットというのか留意が必要なのは、iCloud自体の情報漏えいや改ざん・不正使用などのトラブル。可能性としては当然ある。もっとも母艦がノーリスクというわけではもちろんないので、双方に相応のリスクが存在することを認識して利用するしかない話である。

そんなわけで、以上のような検討(?)の結果、iCloudのバックアップ機能を利用することにした。iCloudは発表からリリース前後までに色々な情報が飛びかい、国によって対応サービスも異なるなど少し複雑になってしまうかと危惧したが、バックアップに関しては、結局は「おまかせプラン」で大丈夫ということが判明したのでひと安心。

半月ほど経つが、今のところ何も問題はない。バックアップのことを意識したのは、最初に「容量足りねーYO」と怒られたときだけ。バックアップ中に端末動作が重くなるような気配も特に感じられなかったし、万一のときは平然と復旧してくれるのだろうという(昔のApple製品では考えられないような)安心感がある。

MobileMe(というより.Mac)から引き続き利用している、連絡先/カレンダー/ブックマークの同期機能も快適。「Macで編集した情報が一瞬にしてiPhoneiPadに同期されている」というキモさも相変わらずで頼もしい限りだ(その逆も然り)。余談だが、キーチェーン/Dock/ことえり辞書が同期しなくなったのは困る人もいるんじゃないかと思う。。。私も以前は「会社←→自宅1号←→自宅2号」でのヘビーシンクロナイザーだったが今はMacBook1台体制にしたのでなんとか事無きを得た。