行動経済学―感情に揺れる経済心理 中公新書2041
2010-09-23 図書館 (819円) 2010-09-23/29 ★5
感想
行動経済学の解説書。
大竹文雄『経済学的思考のセンス』や『競争と公平感』を読んでから、行動経済学に興味を持った。今回、図書館の新着図書で目に入ったので、衝動買いならぬ衝動借りをして読んだ。
数式の展開があり、難しく感じたが、よく読めば難しいものでもなかった。いくつかの章で、科学史から入っていて興味が湧いたし、学問の系譜の位置づけも理解できた。著者は、専門領域だけでなく、広く学問を嗜んでいる方だなと思った。
行動経済学そのものは、自分の中では革命的だった。とくにヒューリスティクスは自分の中の世界観を変えた気がする。
『競争と公平感』で説明されてた時間選好率と双曲型割引について詳しく書かれていた。双曲割引については、本書でようやく理解できた。
自然科学のトピックや科学史の知識、高校レベルの数学の知識、マクロやミクロの経済学といった知識をいちおう学んできて、久しぶりに理解するための知識があって楽しめた絶好の本だった。
メモ
- 13 「経済学を学ぶ目的は経済学者にだまされないようにするためである」ジョーン・ロビンソン
- 17-19 限定合理性
- 1 選択肢を探すのにはコストがかかる
- 2 結果の確率は主観
- 3 効用は結果だけでなく過程からも得る
- 4 決定は効用最大化ではなく満足度
- 102 ケインズは、経済学者といえるかどうか怪しいらしい
- 121 アレの反例
- 128 「確率を判断する根拠のある場合をリスク、確率を判断する根拠が存在しない場合を真の不確実性と呼び分ければ、両者は異なるものである」
- 101 確率には4つの立場がある
- 古典的確率論→すべてからの割合
- 統計的頻度論→無限繰り返しの極限値
- 論理的確率論→一度限り。命題同士の論理関係
- 主観的確率論→確信の度合い
- 3章 期待効用理論→アレの反例など→プロスぺクト理論→帰結主義とか基数主義とか課題→?
- 165 非喫煙者の中では、過去喫煙者のほうが、生涯喫煙者よりも、時間選好率が最も低く、危険回避的でもあった。
- 216 「ヒューリスティクスとは、簡便な問題解決法」 直感などか?